プリンセスクロッサー勇と王王姫纏いて魔王軍に挑む

第三百五十一話疾風の弟

「イサミ、わたしにも手貸してちょうだい」



「へいへい」



   リンネはむっとして自分も勇に手を貸してもらう。



    二人の美少女に助けを求められるというあまりない経験に勇は役得と感じた。



「むぅ、二人とも情けないんだけど。と、つつつ……………」



「あまり無茶はいけませんよ」



    アステリア王女は苛立ちつつ一人で立とうとするもふらついて疾風に支えられた。



「ありがとうございます」



   アステリア王女はお礼を言うも格好をつけておきながら助けられたことで不甲斐なさを覚える。





「お姉様ー！」



     外を歩いていると前髪の長い幼い少年が疾風に抱きつく。



「弟さん？」



   勇は疾風に尋ねた。



「ええ、早丸といいます。まだ13歳なので戦いにはでれませんが。というより、強くないのでもう少し鍛えて欲しいです…………」



     疾風はやや悲しい顔で紹介する。