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第三百二十一話 あー、新しいギター作ってくれねえか。昨日派手にぶっ壊しちまってさあ

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「クソっ」



    ヘヴィメタルデーモンは一晩経ってもあまり気は収まらず悪態をついたままだ。



「ヘヴィーメタルぅぅデーモンくーん。ちょっといいかな」



     シュタイナーは彼の後方から右に左に動きながら近づく。



「なんだ、てめえ。話しかけんなし。俺は今機嫌が悪いんだよぉ」

 

     ヘヴィメタルデーモンは顔を凄まじく歪めた。  



「いいものがあるんだよ。勇者共を一網打尽にするためのねぇ…………」



    シュタイナーはねっとりとまとわりつくように発明品を差し出す。



    小型のスピーカーのようだがやや長い棒で二箇所が繋がっていた。



「これはいったいなんだ…………」



「この下の板を動かして横のネジでギターに固定するのさ。効果は洗脳だよ、一人にしか効かないけど強力だよ」



   シュタイナーはヘヴィメタルデーモンに答える。



    それを見下ろしてヘヴィメタルデーモンは少し考えて頬をかいた。そして躊躇いがちに問う。



「あー、新しいギター作ってくれねえか。昨日派手にぶっ壊しちまってさあ」



    彼の頭の中には柄から真っ二つに折れたギターがあった。



「予備のはないのかい。楽器は専門外なんだがねえ…………」



     シュタイナーはさすがにそれはと眉を潜める。



「一応な。新しい予備を頼むよ。きっとてめえならこの洗脳装置みたいなのを外づけ?の装置なしで作れるだろ?」



    ヘヴィメタルデーモンはニカッと笑った。



「まったく……………。君は思ったより反則的な存在なようだ」



     屈託のない表情にシュタイナーは呆れて肩を竦めてしまう。このような頼まれ方では断れなかったのだ。

    

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