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第二百五十五話 エルステンウェル、なのか
しおりを挟む兵に紹介されたもう一人は神聖大教会の司祭である。
勇は大仰な名前の教会だなと思うと同時にあまりの髭の長さに神様みたいな司祭と見た。
「よくぞ来た、勇者パー……………お前は、まさか…………!」
国王は勇達を歓迎しようとするとエルハを見て目を丸くする。
勇達はやはりそうなのかとエルハを見た。
「エルステンウェル、なのか…………」
オレンジの髪を七三分けにしたアルンベル王子はエルハを見てその名前を言う。
「いえ、わたしはエルハ・イノリンテです」
エルハは緊張したが思わず顔を歪めて否定した。
「いや、そのオレンジの髪、整った目、麗しい顔、やはりわたしの最愛の妻に違いない!」
国王はエルハの肩をがっしり掴み叫ぶ。
「え、ええ……………」
エルハは本当に自分がこの国の王女かと思いたくなく顔を歪めた。
勇達は元々国王の横の席にいた女王を遠目に見る。
「すいません、ちょっと失礼します」
そこでは判別できないため女王の目の前まで寄って確認した。
朗らかな笑み、穏やかな目、細みがあるようで丸みを帯びた顔をしている。
「うん、よく似ている」
勇は思わず呟いた。
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