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第二百五十話 やはり君はここの世界の住人ではないのかい?
しおりを挟むその日の夜、勇が入浴しているとケイネスが言った。
「一つ、いいかい?」
その顔はかなり神妙だ。
「なによ、そんな真面目な顔でさあ…………男同士よ?俺たち」
勇はあまり聞きたくない話だろうと顔を歪める。
「そういう話じゃないよ。君はマシナリティにいる間懐かしいと思っていた。異世界に近いものが多いあの国を。やはり君はここの世界の住人ではないのかい?」
ケイネスは不安な声で聞いた。
「あー、それ。多分元から俺、纏勇だと思うんだよなあ?記憶戻ったのは最近だけど、一番最初に来た時も懐かしいとは思ってたはずなんだよな」
勇は眉を潜めて記憶と自分を辿る。
「ま、まあ君は貴族にしては昔からおかしいところあるけど……………」
ケイネスはまだ不安が拭えない。今まで自分の隣にいた義兄弟がまるで違う生き物のように思えて来たのだから。
「そうだな…………。俺は15年かけてイサミ・ユーディラドになったといえばいいかな。で、マシナリティ行ったら先祖返り?前世帰りするだけって感じ」
勇は両手を広げて説明した。
「君は、元々違う世界の生き物だった。ということか……………」
ケイネスは受け入れるしかないと呟く。
「参ったな……………。もしかしてリンネや先輩もそう思ってるかも」
勇も思わず呟いた。他人に受け入れられないかもしれないというのはいかに勇者と呼ばれていても彼に暗い影を落とすことになる。
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