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第二百四十五話 キカイニストの本家だから王族ほどじゃないけどいい家、だと思うわよ

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「紅茶もってるくよ」

   

    勇はケトルの中身がないことが分かるとそれを持って立ち上がって部屋を出ていく。



 「一つ、聞いていいかしら?」



    紅茶を入れ終わり部屋に戻ろうとするとカイルナが勇を壁に追い立てダンと音を立てて壁に手をぶつけた。



    いわゆる壁ドンをされ勇は苦い顔をする。まさか男である自分がお嬢様にそれをされるとは思わなかったのだ。



「えと……………なにを聞きたいて?」



     カイルナの顔が遥か上に見えた勇はやや恐がりながら聞き返す。



「わたしのこと、本気で貰ってみない?キカイニストの本家だから王族ほどじゃないけどいい家、だと思うわよ」



    カイルナは怯えながら問うた。



「いい家って、言われても……………」



    王族と結婚できると確定している勇にとってはそれは理由にはならないのだ。



「だめ、かしら……………」



    だがその赤らめた頬と逸らした目を見れば何を言いたいか伝わってくる。



「つうか、なんで俺?幼馴染だけどいつもいるわけじゃないじゃん。むしろいないほうが多いし」



    勇は思ってもない強い好意を向けられてむしろ困惑してしまう。



「そういう飾らない性格だから欲しいのよ。貴族なのにまるで昔からこうなることが分かってたみたいな性格、悪くはなかったけど勇者になるて言われて合点が言ったわ」



   カイルナは眉を潜めて苦しみを吐き出すように理由を言った。



「そういうの、よく言われるんだよね。いや二人しかいないけど……………」



    勇はこの手の文句は聞き飽きたとそっぽを向いてため息をつく。



「都合のいい女で悪かったわね。でも、あなたが欲しいのは昔からよ。あなたはリンネにばかりべったりだったから気を遣ってたのよ。でも、あなたが他の女の子とも婚約するっていうなら馬鹿らしく思えたの」



    カイルナは罰が悪くなったがそんな上っ面のものではないと告白した。

 

    やはりみんな勇者という地位を都合より利用してるのではと勇は感じる。



「ありがとう。でも今は気持ちだけもらっておくよ。この国の守りもやって欲しいし。てかそうなると実際結婚したら国離れそうだけど平気なの?ネットとか電気とかエアカーとか全然ないよ?」



    勇はお礼を言うも段々別の不安のが大きくなってきた。



「馬鹿ね。愛する男のためならそんなの気にしないわよ…………」



    カイルナは腕を壁から離し身体の前で組むと穏やかに微笑む。





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