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第百九十話駆ける、乱れ撃つ、クリムゾンキカイニストモード
しおりを挟む「ちょっと、なにもたついてんのよ!多分あいつの狙いはあんたの足止めよ!」
勇が思ったより時間をかけて戦っていることでリンネが苛立ち叫ぶ。
おかげで勇ははっとした。そうだ、相手が強くてもまともに戦ってはいけない。そして今回の相手は恐らくマーダッドと呼ばれる首領の可能性がある。
それを落とせば敵軍は瓦解すると推測した。
「リンネ、行くよ!」
ならばと勇者のデバイスを構えて叫ぶ。
「ええ!」
勇のやろうとしたことを察したリンネはすぐ頷いた。
プリンセスクロス!と勇は叫ぼうとしたがいい加減敵の前で言うのは恥ずかしくなりマイクが認識する程度の声量にする。
リンネが合体することでその姿は外套が赤に黒が混じり右腕にバラ型の砲身が二本、左腕にガトリング砲が二本それぞれ装着されたものになる。
「はぁっ!」
「くっ!」
勇はガトリング砲からあられのような強烈な弾丸を大量に放ち黒騎士が盾で受ける。
だが盾では受けきれず馬が巻き添えくらってしまった。
「しまった!」
その馬はダメージから吹き飛び黒騎士が馬から飛んで離れる。
「よし」
「しまった!」
勇は隙ありとばかりに黒騎士の横を駆けぬけた。
漏らしながら黒騎士はそう来たかと驚く。
「なにぃぃぃ!」
黒騎士をやり過ごして接近してきたことでマーダッドは声を上げた。
「たぁぁぁぁぁ!」
「応戦しろ!」
バラの二本の砲身それぞれから凄まじい量の炎が飛びマーダッドを狙う。マーダッドは咄嗟に部下に指示を出し氷魔法で応戦した。
「ぐぁぁぁぁぁ!」
が、あっという間に冷気は押しきられマーダッドに直撃、吹き飛び大火傷となる。
「しっかりしてください族長!」
「おい、マーダッド!」
部下達が彼に駆け寄った。
「総員退却じゃ!すまん黒騎士殿!我々は引かせてもらう!」
マーダッドの父親は叫んで同族に指示しつつ黒騎士に謝罪する。
黒騎士はため息をつき失敗かと感じた。護衛対象が重傷を負った上逃げては意味がない。
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