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第百七十三話マーダッドと最高幹部との通信
しおりを挟む拠点に戻ったマーダッドは上司のパンドラドに通信魔法を使う。
「報告します。先日同様ローゼルト王国の国境を攻撃、しかし今回は敵の中に奇妙なやつがおりまして……………」
「ふーん……………」
魔王パンドラドは興味深そうに目を細めた。
下手に喋れば抹殺されるかもしれない、マーダッドは通信魔法でもその懸念をする。
「それが赤い該当に薔薇の火を噴く大砲を持っておりまして、情報にあった勇者と思われます!」
「意外と早いわね。どうすればいいかしら」
パンドラドは目を丸くして眉を潜めた。
「困ったわね、どうしましょ?」
すると首を斜めに振って部下達に話を振る。
「ふむ、今から行っても大軍を送るのは難しいですね」
仮面伯爵は手を上に向けて諦めた。
「俺はパス、気がのらん」
壊羅も肩をすくめる。
「なら、わたしが行こう。やつの力を直接見ておきたい」
黒騎士が名乗り出た。
「だって、安心していいわよ」
「は、はあ…………」
マーダッドはパンドラドの軽い言葉に呆れてしまう。叱責がないのは安心だがそれどころではない気分になってしまった。
この軍にいて自分は本当に出世できるのか?幹部のフランデンすら倒してしまった勇者を同じ幹部が一人増えたところで倒せるのかとマーダッドは不安になった。
同族ごと魔王軍から抜けた方がいいのではとさえ思ってしまう。
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