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第百三十五話
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勇は案内された屋敷の囲炉裏を見つけると目を丸くしてそれを指さした。
「草ゴリラって、火使うんだ」
「火が苦手なのはあくまで毛のみ。木の枝などを使えばなんら問題はない」
長老は落ち着いて答える。
他の草ゴリラ達はそこに籠に入ったバナナを持ってきた。
「バナナ、焼くんだ。あれって、甘いらしいね」
勇は地球にいた頃テレビで見たアルミホイルで包み焚き火に入れた蒸し料理を思い出す。
「本では聞いたことあるけどやっぱりそうなのね」
リンネは知識との一致を確認した。
普段より甘いバナナを食べ終えるとアステリア王女達は湖に水浴びに向かっている。
「行くか」
しばらく経つと勇はすっと立ち上がった。
「どこにだい?」
ケイネスはその意図がよくわからない。
「もちろんアステリア達の水浴びだよ。こういう時は覗きって決まってるんだよ。昔の俺の世界じゃこうなの」
勇は人差し指を振って答えた。
「なに言ってるんだい!向こうの常識がどんなか知らないけどこっちの君は紳士で由緒正しい貴族の生まれなんだよ。恥ずかしくないのかい?」
ケイネスは困惑して両手を横に振る。
「恥ずかしくない」
勇はきっぱりと言った。
「それ、アステリア殿下達に嫌われるんじゃないかい?」
その一言には勇は瞬きしてケイネスを見る。
「それはやめよう」
一呼吸して言った。それだけは避けたいのだ。勇はアステリア王女達に嫌われるのだけはいやだった。メンタルが持ちそうにない、持ち直せる自信もなかった。
「草ゴリラって、火使うんだ」
「火が苦手なのはあくまで毛のみ。木の枝などを使えばなんら問題はない」
長老は落ち着いて答える。
他の草ゴリラ達はそこに籠に入ったバナナを持ってきた。
「バナナ、焼くんだ。あれって、甘いらしいね」
勇は地球にいた頃テレビで見たアルミホイルで包み焚き火に入れた蒸し料理を思い出す。
「本では聞いたことあるけどやっぱりそうなのね」
リンネは知識との一致を確認した。
普段より甘いバナナを食べ終えるとアステリア王女達は湖に水浴びに向かっている。
「行くか」
しばらく経つと勇はすっと立ち上がった。
「どこにだい?」
ケイネスはその意図がよくわからない。
「もちろんアステリア達の水浴びだよ。こういう時は覗きって決まってるんだよ。昔の俺の世界じゃこうなの」
勇は人差し指を振って答えた。
「なに言ってるんだい!向こうの常識がどんなか知らないけどこっちの君は紳士で由緒正しい貴族の生まれなんだよ。恥ずかしくないのかい?」
ケイネスは困惑して両手を横に振る。
「恥ずかしくない」
勇はきっぱりと言った。
「それ、アステリア殿下達に嫌われるんじゃないかい?」
その一言には勇は瞬きしてケイネスを見る。
「それはやめよう」
一呼吸して言った。それだけは避けたいのだ。勇はアステリア王女達に嫌われるのだけはいやだった。メンタルが持ちそうにない、持ち直せる自信もなかった。
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