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第百七話
しおりを挟む「さ、今度こそどうぞ」
「はいー」
仮面伯爵に促されハーメルイトンは脚やら腕の痛みを堪えて離れる。
「はー。今すっごい悪い気分て気がするよ」
勇は眉を下げ息を長く吐いて苛立ちを示す。
「わたしはそこそこいい気分ですね」
仮面伯爵は仮面越しでも分かる笑みを示した。
「とりあえず邪魔したツケは、払ってもらう!」
勇は突きの連続を仕掛ける。
「ふふっ、中々いい連撃です」
仮面伯爵はマントでレイピアの連続攻撃を防いだ。
「落ち着いて!多分この間のゴリラやアンデッドとは違う!」
エルハに言われ勇の動きが止まる。
「そこの美しい女性、中々いい線ですよー。わたしはあの格下ゴリラやら脳筋男とはわけが違うのです」
仮面伯爵はエルハを褒めると大仰に人差し指を振って勝ち誇った。
「あらやだ、でもあなたのものにはならないわ」
エルハはフフッと余裕を崩さず笑い返す。
「人の先輩口説いてんじゃねえし!」
勇は顔を歪めた。
「わたしというものがありながらなに言ってんの勇くん!」
「ごめんって」
勇は頭にアステリア王女の怒号が響き謝る。
「仲のいいことで。では今日はこの辺で」
「待てっ!」
仮面伯爵は勇が止める間もなくまたもやいなくなってしまった。
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