プリンセスクロッサー勇と王王姫纏いて魔王軍に挑む

第七十九話リンネとイサミ

    幼いイサミにとってリンネは一目惚れだった。家同士の交流で子供達も自然と会うことになりその美貌に惚れたのだ。



「結婚して！」



「な、なによいきなり！いやですわ！」



   といきなり幼声で言うイサミに対しリンネはびっくりして拒否した。



「コラッ、失礼でしょ！」



   当然その場にいた両親にイサミは怒られてしまう。



「ごめん。君がちょー可愛かったからつい勢いで言っちゃった。えーとあれだ、友達からはじめていいかな？」



   イサミは自分の言葉を恥じて頬をかきながら言った。自分でもおかしなことだとこの時はあくまで思った。



「か、可愛いだなんてそんな……………。まあ、友達なら別にいいですわ」



   リンネはその時は変わった男だと思ったのだ。



   だがその時の彼女は同時に絶対結婚しないとも思っていた。男などという野蛮な生き物には絶対なびかない強い女になるのだと意識していたからだ。



    結婚こそしたくないと思いつつ男に真正面から結婚してくれ、可愛いと言われればリンネは胸が激しく高鳴った。ゆえにかなりの恥ずかしさを内包していたのだ。



   リンネは初等学校から始まる前からイサミと、ついでに義兄弟と言われているケイネスをお茶会に誘うようになった。



   イサミからの求婚はお茶会の度に行われ同時に可愛いとも言われ続けたのだ。だがリンネはプライドと恥じらい故に拒否し続けていた。



    が、あくまで言われて嬉しい程度であり彼に好意を抱いたり恋愛対象として見ることはなかったのだ。