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第七十六話
しおりを挟む「うん、うち楽器も扱ってるし。こういうのそうよ」
「そ、そう…………」
リンネの答えにアステリア王女は扱う商品の規模の多いキカイニスト社は目を細めた。
「この形が結構いいのよねー。あたしはこれにするけどあんたは何かある?」
リンネは曲線部分を撫でると勇に尋ねる。
「うーん、もうちょい見てみる」
勇は唸りと辺りを見回しめぼしいものを探した。
様々な形、色のギターがある中、茶色い無骨なものを見つけた。地球でのいわゆる昔のミュージシャンが使うものと言えばこれだ。
自分の家にはない色のため手に取ってみる。
「騎士学校にいた時は黒いの持ってきてたね」
エルハが記憶を辿り勇の持つもう一個のギターを思い出した。
「こういうシンプルなのがいいんだよ、こういうの。なんつうかギターつったらこれっつうか、ロックでオリエンタルつうか……………たまんない」
勇は指をワキワキと動かし触れるようなイメージをするとニチャアと高悦な笑みを浮かべる。
「ごめん、ちょっと気持ち悪い」
エルハは流石に苦笑いした。騎士学校時代にあまり出たことはないが見る気分になれない勇の表情だ。
「あ、すいません。こういうの見るとちょっと上がっちゃって…………」
勇はしまったと顔を引き締め真顔になると謝った。
「今のなに?急に表情変わる方がキモいんだけど」
後から追いついたアステリア王女は容赦なく言い放つ。
「ゲホッケホッ、どうすればいいんだよそれ」
勇は何をしても気持ち悪いと思われ困り果ててしまった。
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