プリンセスクロッサー勇と王王姫纏いて魔王軍に挑む

兵郎桜花

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第五十話

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「戦いに行く前の日だってのにどこ行くのよ」



「気分転換だよ。こういうのは慣れないものなの!」



   勇はぶっきらぼうにリンネに言った。



「ふっ、ついてくわ」



   リンネは穏やかな表情になる。



   勇は目を見開き肩を竦めた。だが一気に不安が消えていくような感じがしている。



    その間、二人がいないことでアステリア王女とクリム王女はてんやわんやしケイネスをも巻き込んだ。エルハのいる騎士団寮にいるのかと思えばケイネスが女子団員に話しかけられる。



   ケイネスは学生時代同様持ち前の美貌ゆえにこの城内にも一部を除き女性陣からの人気をもてはやしていたのだ。



「キャー!ケイネス様よ!今日はどのような用ですか?!」

「握手してください、お願いします!」



「みなさん、ありがとうございます。イサミくんはいますか?」



   だがどこにもおらずエルハをも巻き込み門番に聞く羽目になる。



「ああ、そのお二人なら先程でかけましたよ。ちょっと近くを回るそうです 」



「あの野郎共逃げたのか!いや、駆け落ちかぁ!?」



   クリム王女は激昂しとんでもないことを言った。



「なに言ってんの!?駆け落ちなんてないよそんな………」



   アステリア王女は声を上げて戸惑う。



「ちょっと混乱してます?」



   エルハは苦笑いしてしまう。



「だってよ、昨日見た感じあいつら出来てるみたいじゃねえか」



   クリム王女は口を尖らせてしまう。



「ああ、わたしのこともほっぽってたしあるかも」



   アステリア王女はやや納得する。



「そんなことない!彼は戦いを投げるほど不誠実な男ではありません!ただの散歩に決まっている!」



   ケイネスはあまりに心外だと憤慨した。



「大丈夫、イサミくんはきっと帰ってくるよ」



   エルハも微笑みながら同意する。



「だからって、納得できるかよぉ!二人だけでどっか行くなんてよぉ!」



    クリム王女は足をダンと踏みしめ叫ぶ。



「よし、行っちゃう?」

「行くぜおらぁ!」



   アステリア王女の問いにクリム王女は彷徨した。



    
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