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第四十八話フランデン、草ゴリラと交渉

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   同時刻、フランデンは ハーデルト王都近くの森にいる草ゴリラと呼ばれる種族の集落に来ていた。森の賢者とも言われ毛が草となっている奇妙な生き物だ。魔法を使い知能が高く人間の言葉を喋っている。



    近づくと丸太が飛んできて弾く。まるで人間が作ったように綺麗な切れ口になっている。



「俺様は魔王軍のフランデン、敵じゃねえ!いい話を持ってきた!族長に会わせろ!」



    角の生えた青い肌の怪物は懐柔するように言った。



「魔王軍だと?」

「なんの用だよ」



    低い声でゴリラ達が唸る。敵対心は剥き出しだ。



「 ハーデルト王国が欲しくはないか? 」

「こい」



    その問いにゴリラ達は彼を案内していく。



「国をくれるというのは本当か」



   ヒゲ面の貫禄のある族長は静かに問う。



「貴様らは草の魔法を操る。その力で本気を出せば勇者すら倒せるだろう。なれば国など落ちたも同然、人間は貴様らの者だ」



   フランデンは族長を誘う。



「勇者、だと。勇者が現れたのか!」



    草ゴリラの族長は勇者といういわゆる伝説にも等しい存在に声を上げる。



「そう、我々が世界を侵略する際の邪魔になっているのだ。それを倒しさえすればこの国をお前達にやろう」



    フランデンは事情を話す。



「が、我々元より争いは好まない。ゆえに今までそのような行為は控えてきた。帰ってくれ」



   族長は静かな声で言った。



「いいのか、そんな暮らしで?」

「なに?」



   フランデンの挑発に族長は眉を潜める。



「国を乗っ取れば今よりいい暮らしが手に入る。人間をこき使って人間の家に住める。欲しくはないのか?」



    フランデンの誘惑は族長にとってあまりに魅力的だった。森の木々を利用して作った今の家は悪くない。だが人間はレンガとやらで作った硬い家に住んでるらしい。宝石とやらも付けてみたい。



    その魅力に老い先短い族長の夢に火をつけた。
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