プリンセスクロッサー勇と王王姫纏いて魔王軍に挑む

兵郎桜花

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第三十五話

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    クリム・ローゼスタイン が到着し馬車から出てくる。 燃えるような 赤いツインテールに深紅のドレスを纏う勝気なつり目の少女だ。



『ようこそおいでくださいませ!』



    使用人や騎士団員が出迎える。



「クリム・ローゼスタイン、ただいま参りました」



    クリムが爽やかな笑顔を飛ばす。



    勇はそれほど悪い人ではないと感じた。



「うむ、よく来てくれた」

「久しぶりー、て感じでもないかな」



    国王とアステリア王女が挨拶を返す。



「で、どいつなんだよ。あたしと結婚しようとかいうクソ生意気は勇者様はよぉ」

 

    するとクリムはニヤニヤと14歳の少女相応の高圧的な態度を取った。



    ビキッ、そこで勇とリンネの眉に凄まじいシワが酔った。



    なんだこのクソ姫は、生意気なのはどっちだという言葉を飲み込む。



    そんな二人の苛立ちを知らずアステリア王女は笑顔でクリムを見ている。



「こちら、イサミ・ユーディラドくん。わたしの婚約者で勇者様だよ」



    アステリア王女は微笑みながら彼を紹介する。



「ども、勇者イサミ・ユーディラドでございます」



    勇の笑顔はかなり引きつっていた。



「へー、いかにもって感じだな。クソ生意気って感じしてるぜ」



    クリムは勇に先ほどと同じようなニヤニヤ顔を向ける。その言葉でさらに勇の顔が歪む。



「これくらいの顔なら、いいかも。よし………」



    クリムは顔を横に向けて小声で言うが勇には聞こえない。



「おいクソ勇者、あたしに街を案内しやがれ!」



    八重歯をキラリと見せながらクリムは指をさして要求した。



     なぜこんなあまりに上から目線な少女に街を案内しなければならないのかという怒りが勇に浮かんだ。



「リンネ、この辺りあんま詳しくないんだけど大丈夫かな」



    旅行でぐらいしか今まで王都に来たことなかった勇は隣のリンネに小声で助けを求めた。



「まかせなさい。お初にお目にかかります。リンネ・キカイニストと申します。イサミとは旧知の中でざいます。この街はわたしにやや見識がありますのでわたしがご案内しますわ」



    リンネは小声で答えるとクリムに怒りを隠して爽やかに言う。



「そ、そうかこの国にもキカイニスト社あるもんな。よろしく頼む」



    クリムは内心焦っていたアステリアはともかくなぜ憧れの勇者様にキカイニストの令嬢の知人がいるのかと。まさかこの女も勇者の女なのかと不安になる。
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