プリンセスクロッサー勇と王王姫纏いて魔王軍に挑む

兵郎桜花

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第二十九話

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  四人用のテーブルなのでケイネスとイリーナが別のテーブルに移動する。リンネは空いた座席ではなく長椅子のアステリア王女と勇の間に無理矢理割って入る。



    アステリア王女は狭さを覚え眉を潜める。その上自分よりかなり大きい胸が当たっており見せつけてるのではと感じる。



    いや、そうではない。リンネは勇の方に乗っかったのだ。ええ、そこまでするのかとアステリア王女は目を丸くした。



「ねえ、向かいに座るのはできないの?」



     だが勇はきっぱりとリンネを拒否する。



「ごめんなさいですわ」



    リンネは目を見開くと口をすぼめ席を移動した。



    アステリア王女は思ったらより馬鹿な女だとリンネを嘲笑った。



     エルハはその邪悪な顔に目を見開く。王女というからにはかなり清純かと思えたが予想とは違っていたのだ。



「で、二人はイサミくんのこといつから好きなの?」



     アステリア王女は手のひらの上に顎を乗せ妖艶な笑みを浮かべる。



「えっと、わたしは話しかけてくれた一人の男の子で素直で、魔法も上手になるの早くて、わたしの魔法も褒めてくれて、あと勇者なんて子供みたいな夢を追ってるとことか、気がついたら好きになってました」



    エルハは頬を染めそこに手を当てた。



「時間か。それとも男の子に免疫がなかったとか?」



「昔住んでた教会には普通に男の子もいましたよ?」



    アステリア王女の推測にエルハはきっぱり答える。



「あー、一年くらいまともに男の子と話さなかったからなくなっちゃったとか?」



「あとは年齢の問題ですかね。小さい頃は恋愛関係としての男子は意識してませんでしたから」



   要は思春期になったかそうでないかの問題である。幼少期はそうでもなかったが内面の成長によりエルハはようやくそれを意識するようになったのだ。



   そこにたまたま勇が唯一近づいただけということだ。



「ふーん、てか昔から勇者になりたかったんだ。リンネちゃんはどうなの?」



   アステリア王女はもう一人に話を振る。
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