プリンセスクロッサー勇と王王姫纏いて魔王軍に挑む

第二十五話

   以前も使った騎士団員も入るサロンにエルハを連れていく。



「 最高騎士団魔術課回復班 エルハ・イノリンテと申します！お見苦し真似をお見せして、申しわけありませんでした！」



    エルハはあまりの失態に顔を真っ赤にしつつ派手に頭を下げた。



「つぅ…………」



   が、テーブルにガンと頭をぶつけ痛みにそこを抑える。



    アステリア王女達は思わず苦笑いした。



「 同じくイリーナ・アルフラッテです。エルハとは同室であります！」



   茶髪にショートカットの団員が敬礼する。



「で、エルハちゃんは勇くんの彼女さんだったかな」



    アステリア王女はドスの効いた声を出し聞いた者の喉を鳴らせる。



「ち、違います！恋人ではないのですが学生時代よくしてもらったというかそれに近いことはしてたというか…………」



    エルハは顔を振るも頬を抑えて興奮する。



「なにやってたの勇くん…………」



     アステリア王女が死んだような目で勇を見た。



「 耳かきしてもらったり演劇見に行ったり、弁当作ってもらったり勉強教えてもらったりー、て元は魔法教えてもらってたのに何してたんだよ俺！ 」



     勇は記憶を辿る内に本命と違うことをしてたことに気づき叫ぶ。



「ただの恋人の話じゃない！惚気ないでよもう！」



「聞いたのはそっちだし！」



    思わずアステリア王女はテーブルを叩き勇も叩き返す。



    エルハはその様子に本当に夫婦みたいだと感じ瞳が闇に染まった。



「やっぱり、わたしみたいなお家がなんでもない人よりお姫様の方がいいんだ…………」



「いえ、可愛ければ誰でもいいですよ。エルハ先輩だって天使みたいに可愛いじゃないですか」



    勇はあっけんからんと答える。



「本当に！？」



    エルハの顔がパアッと明るくなる。



    今度はアステリア王女の顔が邪悪になる番だ。ケイネスとイリーナは無限ループになる空気を感じた。