獣人辺境伯と精霊に祝福された王女

緋田鞠

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***

「……!」
 地味な嫌がらせが、続いている。
 シャーロットはその夜、布団の上掛けを捲った時に飛び出して来た生き物に、声にならない悲鳴を上げた。
「…カエル、かしら…?」
 今夜は、嫌がらせの内容を少し捻ってきたらしい。
 昨夜までは、毒のない虫を仕込まれていたのだが、正直な所、シャーロットは虫が苦手ではない。
 家の奥深くで大切に育てられていた貴族の娘ならいざ知らず、窓に硝子も入っていない塔で暮らしていたシャーロットが、虫と遭遇するのは、珍しい事ではなかった。
 幾ら、虫除けに目の細かいレースを張っていようと、何処からともなく侵入してくるのが昆虫だ。
 だが、カエルは、塔の六階の部屋まで上がってくる事はなかったから、馴染みがない。
 幼い頃、絵本で見た事があるだけだ。
 ただ、別に怖いとも気持ち悪いとも思ってはいなかった。
 なので、驚いたのは、突然、何かが飛び出したからで、相手がカエルだったからではない。
 思わず、深く溜息を吐く。
 連日、布団の中に何か生き物が居る事を、偶然と片付ける程、シャーロットは人の悪意に鈍感ではなかった。
「…おいで」
 人の言葉が判るとも思えないが、声を掛けながら、カエルに手を伸ばす。
 逃げ出そうとするカエルを、何とか部屋の隅に追い詰め、シャーロットはそっと両手で掬いあげた。
 窓を見て、流石に三階の窓から落としたら危険だろうか、と考え直し、そっと、階下へと降りていく。
 表玄関を開けようとした所で、背後から声を掛けられた。
「お嬢様?このような時間に、どうなさいましたか」
「ヘンリクさん」
 両手でカエルを捉えたまま、シャーロットは振り返る。
「えぇと…お部屋に、この子がいたので。外に逃がそうかと」
「何ですか?」
 覗き込んで来たヘンリクに、両手を開けて見せると、彼の頬が引きつった。
「この…カエルが、お嬢様のお部屋に?」
「はい…何処からか、紛れ込んでしまったみたいで…お部屋にいて貰うわけには参りませんから」
 十中八九、犯人はカティアだと思っている。
 シャーロットの部屋に出入り出来るのは、シャーロット付きのメイドであるカティアだけだ。
 だが、それを殊更、ヘンリクに言い立てようとは思っていなかった。
 ヘンリクはカティアを叱責してくれるかもしれないが、益々、シャーロットとの関係が拗れてしまうだろう。
「…さようですね。では、私がお引き取り致しましょう。このような服装で、お部屋の外においでになってはいけませんよ」
 言われて、シャーロットは自分の着ている服を見た。
 夜着の上にカーディガンを羽織ってはいたが、外に出るのに相応しい服装ではないのは確かだ。
「…そうですね、失礼しました」
 謝りながら、ヘンリクの手にカエルを乗せると、ヘンリクは目を眇めて、カエルを眺めた。
「はい、確かにお預かりしました。外に逃がしておきましょう」
「お願いします」
 部屋に戻ろうと踵を返したシャーロットは、気が付かない。
 カエルを見つめるヘンリクの顔が、険しく顰められた事に。



「カティアさん、カトリさんはまだ、お戻りではないのかしら?」
 領主館に滞在するようになってから、シャーロットは何度か、カティアにカトリと面談したい、と話していた。
 王都からの旅に同行してくれたジェラルドに対する礼と、彼が妻であるカトリの顔を見る時間も取れないまま、カーシャに向かう事になってしまった詫びを、伝えたかったのだ。
 だが、二週間経っても、カティアはカトリを紹介してくれない。
 最初のうちは、「休憩時間なので」「外の用事を言いつけられているので」と会えない理由を話していたカティアだったが、次第に面倒そうな態度を隠さなくなった。
 恐らく、シャーロットがカトリを味方につけるのではないか、と、警戒しているのだろう。
 シャーロットが積極的に使用人と交流を図るようになってから、カティアの態度は一層頑ななものになっている。
 シャーロットと言葉を交わしてくれる使用人達が、表立って彼女の肩を持つ事はない。
 ただ、カティア達が与えようとしているシャーロットの悪印象を、一方的に信じるのではなく、中立的な立場から冷静に見てくれるだけだ。
 シャーロットはそれで充分だと思っているし、カティア達にとってもその方がいいのではないかと思うのだが、カティアは自分達の計画が上手くいかない事に、苛立ちを隠せない様子だ。
「ですから。カトリがお嬢様にお会いする事はございません」
 ぴしゃりと切り捨てられて、シャーロットは口を噤む。
「あの…あのね、カティアさん。多分、私達の間には、何か誤解があるのだと思うの」
 思い切って口を開くと、無表情だったカティアの眉が顰められた。
「誤解…?」
「えぇ。あの…だから、ゆっくりとお話する為に、何処かに、そうね、ピクニックに連れていって貰えないかしら。ほら、今は花が盛りだし、お外に出ると気分転換にもなるのではないかな、って」
 カティアは暫く、考え込んでいたが、一つ、頷く。
「…お嬢様が、そうご希望なのでしたら」
 カティアの賛同を得たシャーロットは、ホッと安心して息を吐いた。
「では、ハンスに昼食は外で食べられる物にするよう、頼んできます。お嬢様は、テレンスをご存知なのですよね?馬車の用意をするよう、頼んで来て頂けますか?私は、他の準備がございますので」
「えぇ、判ったわ」
 カティアからの歩み寄りとも思える態度に、シャーロットは嬉しくなって声を弾ませる。
 喜んで厩舎へと向かうその背中を、カティアが鋭い視線で睨みつけていた。



「わぁ…!素敵な花畑ね」
 テレンスが用意した馬車を、従僕のバーリーが操って、一時間。
 シャーロットとカティア、そしてもう一人、シャーロットが到着した当日、湯浴みの手伝いに来たイヴリンと言うメイドの三人は、広い花畑に到着した。
 見渡す限り、真っ青な夏空に映える黄色い花、ティルカが咲き誇っている。
 カティアの次にシャーロットへの風当たりが強かったイヴリンがついて来てくれた事で、シャーロットは、一歩前に進んだ気がしていた。
 シャーロットが、自身をヴィンセントの婚約者と信じているのは事実だ。
 とは言え、飽くまで「婚約者」なのだから、今すぐに結婚しなくてはいけないわけではない。
 シャーロット・エイディアとしてのシャーロットは、婚約者の身分のまま、ノーハンで暮らせればいい、と思うようになっていた。
 いつの日か、ヴィンセントが番と出会う事を諦めたその時に、伴侶として選んで貰える立場でさえあれば、それでいい。
 だが、その日までに、ヴィンセントが番と出会ったのなら…どうすべきなのだろう。
 シャーロットにはもう、王宮に居場所はない。
 戻れるとしても、ノーハンでの自由な生活を知ってしまった今、大人しく北の塔で息を潜めて生きていく自信はない。
 王都に帰る事は、例え、ヴィンセントと結婚出来なかったとしても、ない。
 ヴィンセントは、既に王宮の書面上婚姻し、婚約者としてノーハンに連れて来たシャーロットの扱いに、悩むだろう。
 優しい人だから、シャーロットの身を案じて、客分として領主館に置いてくれようとするかもしれないが、シャーロット自身が、ヴィンセントと睦まじい番の姿を傍で見続ける事に、耐えられるとは思えない。
 では、領主館を離れ、ノーハンで暮らしていくには、何が出来なくてはいけないのだろうか。
 シャーロットは領主館の使用人達と会話する中で、色々な作業を手伝わせて貰っていた。
 ただでさえ非力なシャーロットは、人族より力が強い獣人族に遥かに及ばず、子供の手伝いにすらならない。
 だが、自分のペースで自分の身の回りだけ整えるだけならば、何とかなりそうな気もする。
 問題は、賃金を得る手段だ。
 シャーロットが刺した刺繍に、タシャ達が興味を示していたから、お針子ならば出来るだろうか、と言う所までは考えている。
 ヴィンセントの傍にいられないかもしれない、と思うだけで、本当は辛い。
 たった一週間…領主館に滞在している日数の方が長い位、彼と過ごした日々は短かった。
 それなのに、何でこんなに、ヴィンセントが自分の中で大きな存在なのか、不思議に思う。
 余りに鮮烈な出会いだったからなのか。
 彼だけが、シャーロットの薄ぼんやりとした世界で、色鮮やかだったから。
 けれど、どれだけシャーロットがヴィンセントを望んでも、番の存在を無視する事は出来ない事も理解出来るようになっていた。
 獣人族にとって、その存在が、どれだけ大きいのかも。
 それに…ヴィンセントは、バーナディス家の当主だ。
 後継者を望まれる立場の彼が、シャーロットと結婚する危険を、誰が知らなくともシャーロットだけはよく理解している。
 シャーロットは、ティルカの色鮮やかな花を眺めながら、脳内で自分の気持ちを整理する。
 何としても、カティア達に自分は敵ではないのだと、理解して貰わなくては。
「あの、」
「お嬢様、まずは、お昼に致しましょう」
 シャーロットが花畑を眺めている間に、昼食の準備をしてくれたらしい。
 緑の草原に、淡黄色の布が敷かれ、バスケットと水筒が置かれている。
 バスケットには、たくさんの野菜を挟んだサンドウィッチがぎゅうぎゅうに詰め込まれていた。
 意識して屋敷内を動き回る事で、シャーロットの食事量は、僅かずつとは言え、増加している。
 だが、それ以上に量があるのは、獣人族達が健啖家だからだ。
「美味しそうね」
 シャーロットは、初めてのピクニックに、舞い上がっていた。
 だから、気づくのが遅れたのだ。
 普段食べているハンスの食事と、味が異なる事に。
「?これは…何かしら。何か…いつもと…」
 一口、サンドウィッチを齧ったシャーロットが、不思議そうに首を傾げたと思うと、ゆっくりと敷物の上に崩れ落ちる。
 カティアとイヴリンが顔を見合わせて、ニヤリと笑った。

***

 薬を、盛られた。
 シャーロットが目を開けて最初に考えたのが、それだった。
 油断していた。
 まさか、直接的な攻撃を仕掛けてくるとは、考えてもみなかった。
「ここは…何処…?」
 固い土の地面から体を起こしたシャーロットは、呆然とした後、見覚えのある景色に目を見開いた。
 二週間前よりも緑が濃いが、ここは、アテム領に通じる隧道に至る道だろう。
 岩に覆われた山肌に、何処までも暗く深い暗闇が穿たれている。
 あそこを抜ければ、アテム領に着く筈だ。
 確か、ジェラルドに領主館まで連れて行って貰った際は、隧道を出てから三時間程、馬車に乗った。
 だとすると、花畑から少なくとも二時間は、何らかの手段で運ばれたと言う事だ。
 バーリーはカティア達に賛同していたようだったから、あのまま、馬車で運ばれたと考えるのが自然だろう。
 シャーロットが眠りに落ちてどれ程の時間が経ったのかは、不明だ。事実として、中天にあった太陽は、大きく西に傾き、今にも稜線に隠れそうに見える。
 ゆっくりと周囲を見回すと、王都からシャーロットが持参したトランクが二つ、ご丁寧に置かれていた。
 アテムへの隧道。
 シャーロットの全財産。
 そこから推測されるのは、「人間は人間の世界に帰れ」と言うカティア達の気持ちだ。
 隧道は、馬車でも通り抜けるのに一時間掛かった。
 それを、徒歩で…それも、脚力の弱いシャーロットが通り抜けるとなると、どれだけ掛かると言うのか。
 アテムまで送り届けようと言う親切心がないのは、カティア達のシャーロットへの憎しみからなのか、人族に会いたくないからなのかは、シャーロットには判らない。
 真っ暗な隧道の前に、松明の用意もなく置き去りにされたと言うだけで、カティア達の恨みすら感じる。
 例え、途中でシャーロットが倒れた所で、痛くも痒くもないのだろう。
 だが。
 こんな状況になっても、シャーロットはアテムに行こうとは考えていなかった。
 実際問題として、アテムに行った所で、その先の当てがない、と言うのはある。
 しかし、それ以上に、ノーハンで帰りを待つと言う、ヴィンセントとの約束を破りたくなかった。
 領主館まで、馬車で三時間。
 シャーロットの足で休憩を挟みながらだと、九時間で到着すれば御の字か。
 とは言え、シャーロットには土地勘がない。
 三時間、と言う時間は知っていても、どちらに進めばいいのだろう。
 人族の領では、領と領の境に旅籠のある大きな街があったものだが、ノーハンはその例に倣わないようだ。
 観光目的でノーハンを訪れる者もいないから、旅人を泊める宿もない。
 旅を支える為の、領境の街がない。
 そもそも、獣人族は人族と比べて、圧倒的に人口が少ない。幾らでも広い地に広い集落が築けるのだから、わざわざ人通りのある場所に集落を作らない、と言うのもありそうだ。
 アテムと行き来する者がいないものか、と、周囲を見回してみるけれど、人影らしきものは全くなかった。
 平時でも人流が少ないのか、ナランとの諍いのせいなのかは、判らない。
「どうしよう…」
 空が次第に、薄墨色に色を変えていく。
 ノーハンは獣人族が住まう領だから、恐ろしい野生動物は住んでいないと、テレンスが教えてくれた。
 大型肉食獣は、自分達より力がある獣人族を恐れ、近づかないのだと。
 だから、もしも野宿になったとしても、襲われる事はないと思うのだが、襲われなければ怖くない、と言うわけではない。
「立つのよ、ロッテ」
 恐怖からか震える自分の足を叱咤して、シャーロットは立ち上がる。
 小さいとは言え、シャーロットには重いトランクを、両手に一つずつ、提げた。
「戻らなくっちゃ」
 このままでは、ヴィンセントに二度と会う事が出来ない。
 どうしてシャーロットを花嫁に望んだのか、どうしてノーハンに連れて来たのか、彼の気持ちを確認できないまま、別れるのは嫌だ。
「ヴィンセント様…」
 彼の名前を声に出すと、波立っていた心が落ち着いてくる。
 ふぅ、と一つ深呼吸して、シャーロットは前を見据えた。
「大丈夫、またお会い出来る」
 言い聞かせるように言葉にし、シャーロットは一歩、足を踏み出す。
 すると。
 シャーロットの気持ちに呼応するように、夜闇の中を、蛍のような光が集まって来た。
 目を凝らしても昆虫らしき影は見えず、ぽぉっと軌跡を描きながら浮遊する光があるばかりだ。
「もしかして…精霊さん…?」
 シャーロットが問うと、ちかちかと光が瞬く。
「そうなの?助けてくれるのね?」
 シャーロットが話し掛けた事が嬉しいのか、彼女の体の周囲を、包み込むように光が集まった。
 あれだけ、恐れていた精霊の力。
 なのに、彼等はシャーロットを手助けしようとしてくれているように見える。
 もしも、シャーロットが精霊を恐れずに、積極的に交流しようとしていれば、状況は違ったのだろうか。
 仄かな光に辺りを照らされながら、シャーロットは慎重に、土を突き固めた街道を歩いて行った。
 どれ程の時間が経ったのだろう。
 一時間歩き通しの気もするし、十五分しか経っていない気もする。
 シャーロットの足は、限界を迎えていた。
 トランクの重みに、ふるふると両腕が震え、倒れ込みそうになる。
 獣人族なら、いや、普通の人族でも、もっと前に進めている筈だ。
 自分の非力さ、体力のなさが情けなく、シャーロットは思わず浮かびそうになった涙を、ぐっと唇を噛む事で堪える。
 いや、ノーハンに来た当初よりは、少しはましになっている筈だ、と、自分に言い聞かせて、足を引きずるようにしながら、一歩一歩、前に進んだ。
 細い刃のような月が、シャーロットの頭上に輝き始めた頃。
 それまで一本道だった街道が、二股に分かれていて、シャーロットは困惑して立ち止まった。
 どちらも同じような太さだが、行く方向は東と西で、正反対だ。
「どちらに行けばいいの…?」
 精霊達に尋ねてみても、何か答えらしきものが返ってくるわけでもない。
 とっくに限界を迎えていた腕から力が抜け、ドサリとトランクが地面に落ちた。
 その上に、シャーロットは座り込んで、空を見上げて考える。
 明るくなってから、周囲の様子を確認して進むべきだろうか。
 幾ら、精霊達が照らしてくれているとは言え、遠くまで確認する事は出来ない。
 そう決めると、途端に眠気に襲われて、シャーロットはズルズルと滑り落ちるように地面に腰を下ろした。
 トランクに上半身を凭せ掛けて、目を閉じる。
「お腹…空いたわ…」
 昼食のサンドウィッチは睡眠薬入りで、一口しか食べていない。
 朝食以降、何も食べていないのだから、空腹も覚えるだろうが、それが生きている証に思えて何だか嬉しくて、眠りに落ちる直前、シャーロットの口元に笑みが浮かんだ。
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