いつか愛される時が来るかも

YUKI

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悪魔が俺に罰を与える時間

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昨日は佐野に絡まれ、バーガーショップに長居することができず、公園で肌寒い時間を過ごす羽目になった。
久しぶりにぶらんこに揺られ、母さんに背中を押され、笑いはしゃいでいた頃をふと思い出した。
少し離れた所からカメラを覗き笑顔を向けていた父の姿は今では幻、幻想の中の事、母の後ろ姿と共に消えた。
日付が変わってからそっと部屋に帰れて、朝も朝食の用意を済ませ、アイツが起きる前に家を出ることが出来た。
上手くいけば、今日も、早く帰れて夕飯の支度を済ませ、あいつが帰って来る前に家を出れるかもしれない。
なんて、そんなに都合の良い日は続かないのはわかっていた筈なのに、いつもより早く帰ってきたあいつ、父の姿に絶望感を味わう。
逆らわず大人しくするしかないと俯く春香の唇から諦めの吐息がフッと漏れる。

「父さんおかえり。」

「ただいま。」

春香を見るあいつは笑っていた。

久々に捕まえた獲物をどうしようかと狩る側の余裕の態度。
そして、春香は本能的に怯える狩られる側なんだ。
堂々としたい負けたくないと思うのに、今まで繰り返されて来た事実が春香を竦ませる。

「久々だね、春香。いつも遅くまでどこに行ってるのかな。夜遊びする悪い子はお仕置きが必要みたいだね。」

「待って、友達に勉強を教えてもらってたんだよ。だから、夜遊びなんかじゃないんだ。ごめんなさい。」

「そうなんだね、勉強とはいい子だ。でも、お父さんの世話を放棄するのはいけないよ。今日はじっくりと教えてあげよう。」

「ごめんなさい。」

もう、何を言っても逃げられない。

「着替えて来るから食事の用意をしてなさい。一緒に食べよう。」

「はい」

ダイニングを出て行く後ろ姿をただ静かに眺めていた。

食事が静かに終わり、後片付けをさっさと済ませ自分の部屋に逃げ込む。
今日はいつもより多くビールを飲んでいたから、そのまま寝てくれないかと怯えながら待つ。
聞き耳をたて、ドアの向こうの気配に神経を注いでいると段々息苦しくなり、過呼吸を起こしそうになる。

『嫌だ、もう助けて誰か。』

少しでも楽に終われる様に、早く済む様に、願っても叶えられない、助けてくれる人なんてどこにもいないのは理解していても何かに縋りたい、何かに願ってしまう。

ギシギシと階段を上がって来る音がする。
来た、悪魔が。

「春香、お風呂に入るよ。来なさい。」

「はい」

いつもの儀式が始まる。


浴室で俺の体をあいつは手で洗っていく。
ずっと繰り返されてきた体は熱を帯び、媚態を晒す。
「洗っているだけなのにこんなに感じて淫乱ですね。男を作り逃げた女にそっくりだよ。」
「・・・」
「ダンマリですか?この淫乱な体にはお仕置きしなければね。そして、そっくりなお前は妻の役目を代わりにしないとね。」

淫乱だと何度も囁きながら、アナルを指で解されながら射精させられる。

ぐったりとした体を抱えられ、この時だけいつも優しくベッドに降ろされる。
また始まる、抱かれるのに慣らされた体は否応なく快楽に堕とされる。
妻の名であり、母親の名を紡ぎながら行われる快楽地獄の幕開け。
春香の中の何かが音を立てて壊れていくのを聞きながら。


アイツが浴室に向かうのを眺め、やっと終わったとシーツを新しい物に変える為、怠い体を起こす。
アイツが戻るまでにしないといけないと、思うのに体が辛くて上手く出来ない。
やっと出来たと間に合ったと思ったのに振り返ると、アイツが笑みを浮かべ立っていた。
アッと思った時には部屋の壁まで飛ばされていた。
顔に熱い痛みが走る。

「相変わらず愚図ですね。」

腕を掴まれ引き摺られ部屋から放り出される。肩が思いきり壁にぶつかり痛みで息を詰まらせる。

「汚い!」
と、罵られドアがバタンと閉まるのを聞いていた。

汚いか?汚してるのはお前だろう!叫んでやりたい、でも、春香には出来ない。
ボロボロの体、きっと明日には顔が腫れてるだろうな。
最初の頃は見えない所を殴られていたのに、最近はお構いなしだ。
見た目が偽ヤンキーに変わったから、喧嘩で出来た傷だろうと誤魔化す事が出来るからなんだろう。
さっきので口の中、切れたのか少し血の味がして気持ち悪い。
課題が出てたよな、と、ふと思い出すが、直ぐに明日怒られようと諦め、もう無理、寝たい。
やっとの思いでベッドに辿り着くなり倒れ込みそのまま瞼を閉じる。
朝、起きれるかな、朝から殴られるのは嫌だな・・・スッと意識がそこで途切れていった。


🔳▪️🔳▪️ 🔳▪️🔳▪️ 🔳▪️🔳▪️


痛い、何?頭の痛みに手がいき、アイツが春香の髪を鷲掴みベッドから引き摺り下ろしているのだと気づく。

「いつまで寝てるんですか?早く朝食の用意をしなさい。本当に愚図ですね。」

「すみません。」

身体が重く眩暈でふらつくし、あちこちの痛みで顔を顰める。
ダイニングに立ち卵焼き、味噌汁、お浸し、納豆、鰤の煮付けをテーブルにセット、ソファで新聞を読んでいるアイツに声をかける。

「父さん、用意出来たよ。」

「明日からは遅れない様にしなさい。私がお前を起こす羽目にならない様に。愚図の出来損ないなのだから、決められた事ぐらい守りなさい。」

「はい。」

部屋に戻り、動き辛い身体に制服を纏いダイニングに戻る。

「先に出ても良いですか?後片付けは帰ってしますので、お願いします。」

「仕方ないですね。早く行きなさい。」

これ以上何か言われる前に家を出た。

早く逃げ出したいこの家から、アイツから。
もっともっと稼がないと、早くしないと身体だけでなく心まで壊れてしまう。



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