私の悠々自適な引きこもり生活は、可愛い女の子によって終わりを迎えてしまいました。

神楽咲久來

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第九話 ファッションセンスの方程式

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「いや~あせった・・・・・・まさか生徒会のお方だったとは・・・・・・」
「やっぱり生徒会ってすごいのか?」
「すごいなんて物じゃないよ! 生徒会は政府レベルだからね。他にもいろんなお方がいるよ」
「そりゃ生徒会だもんな」
昼休み、私たちはいつもどおり机を合わせて食事をしていた。私はパックのコーヒー牛乳をストローで飲み、日菜はどこで買い占めてきたのか、机いっぱいにおにぎりをおいている。
「たとえば、風紀委員長様とか、美化委員長様とかいろんな方がいるんだけど、やっぱり生徒会長様は外せないよね・・・・・・」
「どうでもいいけど、~委員長に様は日本語おかしくないか?」
「日本語間違っててもそうお呼びしなければいけないの」
「どういう生徒会だよ・・・・・・」
と、そのとき。
ガッシャーン!
「うわっ! 何だ!?」
「ヒャッハー! 今日も暴れまくるぜ!」
いかにも頭悪そうなチンピラが窓ガラスを割っていた。
「うわー・・・・・・なんだよあいつら・・・・・・」
「あぁ、ただのかませ犬」
「お前がかませ犬っていうと、見た目とのギャップがすごいからやめろ」
ていうかあいつらどうやって入学したんだ?
「何をしている?」
「あぁ!? なんだテメェ!」
謎の女子生徒が姿を現した。
「日菜・・・・・・まさかあの人は・・・・・・」
「うん。あの人は・・・・・・」
「学園の風紀を乱すな。ハエどもが」
「あのお方は・・・・・・風紀委員長様・・・・・・」
風紀委員長、『水無瀬 水星』。
天地学園の風紀を守り、活動する者。
「へっ! 風紀委員長様が何の用だよ!」
「ここ最近、あなた方による施設・設備破壊が相次いで発生していますね。風紀委員長直々にあなた方に処罰を下します」
「美しい・・・・・・!」
「風紀委員長様・・・・・・!」
何これ、アイドルのステージ?
「風紀委員長様は、主に女子生徒からの人気も高いからね。風紀委員長様のファンクラブも出来たこともあるよ。『風紀を乱す』という理由で即日壊滅させられたけど」
「自分のファンくらい大事にしろよ」
「クソっ・・・・・・!」
反抗できないと悟ったチンピラは、その場に崩れ落ちた。
「生徒会室へ連れて行け」
「ハッ!」
委員長がそう命令すると、後ろにいた別の風紀委員がチンピラ生徒に手錠を掛け生徒会室へと連れて行った。
「すごい・・・・・・」
「これが風紀委員長様だよ。あの人たちがどうなるかは知らないけど」
「確かに。どうなるんだろうな」
「処刑とか?」
「笑顔で怖いこと言うなよ・・・・・・」

「あっ、パーカー破れた」
「あー、それ結構着てたもんね」
放課後、家へ帰る途中。長年着ていた愛用のパーカーがついに限界を迎え裂けてしまった。
「新しいの買って行こうか?」
「いや、面倒だから良いわ。それにこの方がかっこいい気もするし」
ラノベのヒーローだって、たまに破れたパーカー(?)着てる人もいるしな。
「今すぐ買って帰ろうか。学園にユ○クロとかあるから!」
「もはやデパートじゃねえか」
「ついでに、実ちゃんの新しい服も買っていこうか?」
「それはいい」
「まぁまぁそう言わず!」
結局私が何を言おうと、結果は変わらないということなのね。よく分かったよ。
日菜に腕を引っ張られながら、服店に向かった。

「何で風紀委員長が・・・・・・」
「風紀委員長様が一体何のご用でここに・・・・・・」
私たちが来たのは、オールジャンルの服を取り扱っている服店。アニメのキャラクターがデザインされたTシャツでもどんな服でも全部取り扱っており、ここに来れば、絶対にお目当ての服が見つかると評判らしい。
だが、なぜか風紀委員長がいた。いや入っちゃいけないって訳じゃないんだよ? 何でここにいるかってこと。
「すみません。この服、試着させてもらってもよろしいかしら」
「どうぞ~」
風紀委員長は何着かの服を手に、更衣室へと入っていった。
「ああいう人でも服とか見るんだな・・・・・・」
「当たり前でしょ! 風紀委員長様だって立派な乙女であられるのだから!」
シャッ
「お、出てきたよ」
「聞きたいんだけど何で私たち隠れてるの? 隠れる必要なくない?」
「一応・・・・・・ね?」
「同意を求めるな」
何で二話連続で隠れなきゃいけないんだよ。なにこれ、芸能人のモニタリング系の番組の撮影やってんの?
そして、風紀委員長が着た服は・・・・・・
「・・・・・・なんかすごい、ロリータだな・・・・・・」
「意外・・・・・・」
リボンが大量に付けられ、スカートがヒラヒラなピンクのロリータファッションを着ていた。
「他には・・・・・・この服を着てみようかしら」
次に風紀委員長が着たのは、真っ黒なゴスロリの服だった。
「いつもの風紀委員長様からは想像できないお姿だ・・・・・・」
「人は見かけによらないって本当なんだな」
「これを買わせていただこうかしら」
「ありがとうございます! ・・・・・・あのー・・・・・・お客様?」
「ゲッ! バレた!」
「貴方たち・・・・・・さては、見てましたね?」
「はい・・・・・・」
すごい威圧感・・・・・・普通に喋ってるだけなのに、何か怖い・・・・・・
「申し訳ありませんでした! 風紀委員長様!」
「・・・・・・バレてしまったのなら仕方ありませんね。来て下さい。あ、お金は置いておきますね」
「は、はい・・・・・・」

とりあえず、私たちは近くにあったカフェに入った。
(また来たよこの子・・・・・・第七話参照)
風紀委員長は、
「せめてここはおごらせてください」
といって聞かないので、高級なコーヒーを三杯も頼んでやった。
風紀委員長は、紅茶を一口飲むと、ポツリと話し始めた。
「私は、かわいいものが大好きなのです」
「は、はぁ・・・・・・」
・・・・・・そもそも何で二話連続で委員長と会話してんだよ・・・・・・そして日菜はこの世の終わりみたいな顔してるし。
「こんな見た目に合わず。目つきも悪い、高身長、そして生真面目。ですがああいう服を見ると、無性にドキドキしてしまう。幼い子供のように。ですが、両親はいい顔をしませんでした。友達からも引かれました」
「へ、へぇ~・・・・・・そうなんですか・・・・・・」
話すことが思いつかん!
「風紀委員長たるもの、学校ではあのような服を着てはいけないので、仕方なくこのようなところに来ているのです。今回のことは絶対に口外しないでください。いいですね?」
「はい! 風紀委員長様の頼みでしたら、絶対にお守りいたします!」
さっきまでこの世の終わりみたいな顔してたのにもう元気になったのかよ。
「いい返事です。破ったら、風紀委員長の名にかけて貴方たちに裁きを下します」
公私混同するんじゃねえよ。
「で、貴方たちはなぜこのような場所に?」
「友人の服を選びに来ました」
「そうですか。では私も手伝ってあげましょう」
・・・・・・え?
「ほ、本当ですか!? 風紀委員長様直々に、実ちゃんの服を選んでくださるなんて・・・・・・! 光栄でございます! ありがたき幸せ!」
「お前が選んでもらうわけではないだろ」

「では、次はこの服はどうでしょうか?」
「おお! すばらしいセンスでございます!」
「ま、待て・・・・・・私はただパーカーを買いに・・・・・・」
私は、風紀委員長と日菜に着せ替え人形の様に服を着せられた。正直、風紀委員長はピンクのロリータ、日菜はゴスロリばっかり選んでくるから重くてしょうがない。後ろの店員も困った顔してるしよ。
「この服とかいかがですか? 実さんの顔によく似合いますよ?」
「実ちゃん! こっちも着てみてよ!」
「やめてくれ・・・・・・」
その後、何とか二人を落ち着かせパーカーを買えたのだった。
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