私の悠々自適な引きこもり生活は、可愛い女の子によって終わりを迎えてしまいました。

神楽咲久來

文字の大きさ
上 下
4 / 35

第四話 ゲーセンの神

しおりを挟む
「今日も頑張ったー! 私!」
「お前一人で何言ってるんだ?」
私の席の隣で、思いっきり体を伸ばす日菜。
今日の授業は、なぜか肉体労働的な授業ばっかりだった。
一・二時間目は体育。三・四時間目はなぜかボランティア活動だ。ボランティア活動を授業でやるのもちょっとどうかと思うが・・・・・・
「お前、体伸ばすほど辛そうには見えなかったけどな。めっちゃ涼しそうな顔してやってたじゃん」
ちなみに今日、ボランティア活動をしに行った施設は、ウチの学校の附属幼稚園だ。
そして、そんな華奢で小柄な体のどこに筋肉があるのか、200キロある、子供達に配る用のジュースの空き缶の箱を片方づつ二つ肩に担いで軽がると運んでいた。
「お前の前世は江戸時代の米俵持つ人か? いや、それでも60キロか・・・・・・(諸説あり)」
「米俵って?」
「何でお前は今高校にいる?」
「そこに高校があったから」
「・・・・・・」
正直ここまであきれたのは人生初だ。ここまで人をあきれさせる人なんてそうそういないぞ?
「そういえば、明日休みだけどどこか遊びに行かない?」
「やだ。さっさとネトゲに戻らなければいけないのだ」
「いやネトゲなんていつでも出来るでしょ・・・・・・」
「私この前、有名なプロゲーマーのチームから勧誘受けたんだけど」
「ふぁ!?」
何だその声・・・・・・
「え? なんて誘われたの?」
「『良い提案をしよう。お前もウチのプロゲーマーの所属にならないか?』ってメールが来た。どっから目線だよまったく」
「い・・・・・・行っちゃうの・・・・・・?」
「行かないよ。面倒だし。私は私のペースでゲームしたいから。でも分かったでしょ? 私がどれだけゲームの世界で大事にされているかを」
「ぐぬぬ・・・・・・何も言い返せない・・・・・・」
「そういうわけだから、遊ぶのなら他の誰かを誘っとけ。あと私は眠いから寝る」
「そうだ! じゃあ良い所があるよ!」
「わっ、びっくりした・・・・・・」
この間、0・93秒である。
「明日、学校に着てよ。いいところ教えてあげる」
「それ、楽しいのか?」
「うん。実ちゃんのような人なら絶対に楽しめるよ!」
「私みたいな人って、それどういう意味だよ・・・・・・」
「もしくは今日家に泊まっていこうか?」
「やめてくれ。お前の食欲はブラックホール並みだから一瞬で家の食料尽きるわ」
この前、家に来たときラーメン食べさせたらあの後家にあったラーメン全部食い尽くされたよ。おかげで私の食べる分無くなっちゃったよ。
「まぁ、今日はふる○と納税の返礼品来るからいいんだけど・・・・・・」
「食べに行っていい?」
「某テレビアニメのバカップルって呼ぶぞ?」
「すきやき(のしいたけだけ)は食べないから大丈夫だよ」
「しいたけだけ食わせてやる」
「それだけはご勘弁を~!」
ということで私はしぶしぶながら、休日なのに学校に足を運ぶことになってしまったのだった。

翌日
学校に行くと、校門の前に日菜がなぜかRPGのラスボス感漂う感じで堂々と立っていた。
「来たね・・・・・・勇者実! さあ今日はパーティだ!」
「言っとくけど、私とあるファンタジーRPGで、世界一早くゲームをクリアしたものとしてギ○ス世界記録なってるんだけど。そしてなぜパーティなんだよ」
「そりゃあ遊ぶからでしょ? 実ちゃんが大好きなものでね」
「はぁ・・・・・・それはいったいどういう?」
「めんどくさい説明は後回し! さぁ、移動用の乗り物を召喚しよう!」
「その喋り方だと厨二病と勘違いされるから気をつけるようにな。で、何の乗り物なんだ?」
日菜は右手を高く掲げた!
「おぉ! まさか本当に召喚するのか!?」
そして、私たちの目の前に現れたのは・・・・・・!
「・・・・・・タクシーじゃねぇか」
「タクシーの方が早いじゃん」
忘れている方も多いと思うが、天地学園には、学園内移動専用のバスやタクシー、電車や新幹線があるのだ。生徒はそれらの手段を用いてこのだだっ広い学園内を移動するのだ。
「さぁ乗った乗った!」
「お前の自家用車ではない」
日菜に無理やりタクシーに押し込められ、その後日菜もタクシーに乗車する。
「・・・・・・」
「・・・・・・了解しました」
「一言も喋らずに分かったんですか!?」
アイコンタクトをとったのか、またはテレパシーでも送ったのか。相変わらずこいつのコミュ力は半端ない。
まぁ、昔は嫌われてたんだけどな。(第二話 DETAFILE参照)
「で、結局何も聞かずここまで来てしまったわけだが、結局どこに行くのか教えてくれよ。」
「もう少ししたらね~」
「早く教えろよ!」
いい加減しびれを切らした私は、日菜に飛び掛った。(危険ですので決してまねをしないでください)
「・・・・・・」
(このお客さんたち仲いいなぁ・・・・・・)

「着きましたよ。お忘れ物のないようにしてくださいね」
「どうも」
日菜と一緒にタクシーから降りる。すると私の耳にはとてつもない轟音が響いた。
「うるさっ!!」
あわてて耳をふさぐが、とてもじゃないが私の手だけでは防ぎきれない。
「――――――」
「は!? なにいってるか分からん!」
「だから! ここはゲームセンター!」
「ゲームセンター!?」
うん・・・・・・色々ツッコミたいところはあるけど、まずなぜ学校内にゲーセン?
説明しよう! 実は天地学園、このほかにも使っていない敷地内の土地が腐るほどあるのだ!
そしてもうひとつ、この学園、定期試験で一番のクラスには敷地内の土地に好きな施設を建ててもらう権利を与えてもらえるのだ!
「そのシステムいるかなぁ!?」
「だってそうでもしないと、土地がもったいないんだもん」
「だったらもっと有意義に土地使えよ! 何だよゲーセンって! まぁ嬉しいけど!」
「嬉しいんだ・・・・・・」
「ていうかだんだん耳が慣れてきた。日菜はいつもこんな感じなのか?」
「いつもは来ないよ。ゲームセンターって気を抜くと平気で福沢諭吉とお別れしちゃうもん」
それはお前の金銭感覚がおかしいだけだ。
と、言いたくなるのをぐっとこらえる。さすがに私も言わないでおいてあげるぐらいの気配りぐらいは出来る。
「とりあえず行こ! 時間がもったいないよ!」
「おぉ、待て待て!」
日菜に腕を引っ張られ、ゲーセンの中に入った。

「おぉ・・・・・・はじめてきた・・・・・・」
「プロゲーマー顔負けの腕前なのにゲームセンター来たことないんだ・・・・・・」
(元)重度の引きこもりなめるなよ?
「別に、最近はゲーセンのゲームが家でも遊べるようになったからな。わざわざゲーセンに足を運ぶ必要も無くなってきたからな。」
某リズムゲームとか、某釣りゲームとかだな。
「あぁ、確かに」
「でもどうしてもやってみたいゲームがあったんだよな」
「どんなやつ?」
「こっちだ」

「『プリカツ』?」
「あぁ。このアニメは全部見てある。ちゃんとブルーレイも買ってある。だが、このゲームだけはやったことがなかったんだ」
「へぇ。実ちゃんもこういうの好きなんだね」
「アニメの美少女見るだけで、白米五合食えるぞ」
「発言がおじさんっぽいよ!?」
アニメの美少女は神である。もはや私は彼女たち(と、その声優)に貢ぐために生きているといっても過言ではない。
金は腐るほどあったからな。使い道に困ってたけど、推しに貢げるのだったらいくらでも捧げてやらぁ!
「やってみるか」
「がんばれ!」
人生初、ゲーセンのゲームスタート!

『自分のキャラクターを作るよ!』
へぇ。今のゲームは自分でキャラクターを作るのか。
ならば、彼女たちにふさわしい女にならなければいけないな。
「実ちゃんは目がキリってしてるから、この目のほうがいいんじゃない?」
「そうか? そんなに男っぽい目はしてないと思うが・・・・・・」
「で、目の色はこれじゃない?」
「なるほど。こんな目の色もいいな」
そして・・・・・・
『完成! じゃあゲームを始めるよ!』
「おぉ・・・・・・なかなかの出来だ」
髪はロングヘアー、目はキリっと、声は萌え声、そして高身長のキャラクターが出来た。
・・・・・・いろいろあってない部分があると思うが、そこは目を瞑ってくれ。
「かわいいね! 実ちゃんそっくり!」
「そっくりって・・・・・・私そんなにかわいくないだろ」
「え~? 実ちゃんとってもかわいいよ?」
「・・・・・・お前のほうがかわいいよ」
私はボソッとつぶやいた。
「ん? なんか言った?」
「二度は言わない」
「え~! 言ってよ!」
「わぁ~! 体揺らすな!」
「何あの二人、高校生と小学生が遊んでる・・・・・・?」
「姉妹なんじゃないの? あんなにくっつきあって」
そんな生徒の会話にも気付かず、私たちはにぎやかにゲームを続けたのだった。

追伸
全国一位になりました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

君の隣で奏でたい

朝海いよ
青春
高校1年生の春日美奈は、毎日どこかつまらない日々を送っていた。クラスの表面的な友人関係に馴染みつつも、孤独を感じていたある日、遅刻常習犯らしき女子生徒・松波奏と出会う。 奏は吹奏楽部には所属せず、一人でトランペットを吹く自由な少女だった。学校をサボる彼女を興味本位で追いかけた美奈は、海辺で奏の演奏を目の当たりにし、その圧倒的な輝きに心を奪われる。 自分とは違う、自由でまっすぐな奏に惹かれた美奈は、彼女の勧めでトランペットに触れてみることに。奏との出会いをきっかけに、美奈の退屈だった日常が少しずつ変わり始める。

交換した性別

廣瀬純七
ファンタジー
幼い頃に魔法で性別を交換した男女の話

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

処理中です...