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みずとあかと
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シャワーの音が床に反射してるのに、おそろしく静かな気持ちだ。
血がついたカミソリの刃先と、アームカットの血。ほそくダラりと流れた赤い赤い血、排水溝にお湯と流れた。ルビーとかりんご飴とか薔薇とかと同じ色だけど、こっちは綺麗じゃないね。
でも、うっかり予定より早く帰ってきたあの子に見つかっちゃった。腕から血を流した私と、右手に握られたカミソリを見てから、黙って近寄ってきたと思ったら、抱きしめて私の頭撫でてくる。あ、カミソリ落としちゃった。
「…汚れますよ。」
「…後で風呂、アタシも入るから。いいよ。」
「…カミソリ、踏まないように気をつけて。」
「……自分の心配しろ。」
いつも優しいけど、アムカした後の声、いつもより落ちつくよね。ただ貴女より私背が低いから、胸が顔にちょっと当たるんだけど。
こんな痩せぎすの粗末なやつ、早く捨てても文句言わないのに。
抱えてても重たくて汚くて腐臭がするだけだきっと。私は宝石でも花でもなんでもない。もっと醜い肉の塊。
なんて、捨てられたら私、たぶん生きていけないのに。
「あとでべたべたしますよ。」
腕を緩めた方が貴女も楽なのにね。
血がついたカミソリの刃先と、アームカットの血。ほそくダラりと流れた赤い赤い血、排水溝にお湯と流れた。ルビーとかりんご飴とか薔薇とかと同じ色だけど、こっちは綺麗じゃないね。
でも、うっかり予定より早く帰ってきたあの子に見つかっちゃった。腕から血を流した私と、右手に握られたカミソリを見てから、黙って近寄ってきたと思ったら、抱きしめて私の頭撫でてくる。あ、カミソリ落としちゃった。
「…汚れますよ。」
「…後で風呂、アタシも入るから。いいよ。」
「…カミソリ、踏まないように気をつけて。」
「……自分の心配しろ。」
いつも優しいけど、アムカした後の声、いつもより落ちつくよね。ただ貴女より私背が低いから、胸が顔にちょっと当たるんだけど。
こんな痩せぎすの粗末なやつ、早く捨てても文句言わないのに。
抱えてても重たくて汚くて腐臭がするだけだきっと。私は宝石でも花でもなんでもない。もっと醜い肉の塊。
なんて、捨てられたら私、たぶん生きていけないのに。
「あとでべたべたしますよ。」
腕を緩めた方が貴女も楽なのにね。
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