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第2章

11話

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「メリーアンを捕まえて別邸に連れて行くのだ!」

ベルクはこの後のことを考えて、嫌らしい笑みを浮かべ続けている。
ベルクの兵士ならず者達も、おこぼれに与れるかもしれないと下卑た笑みを浮かべている。
中には異常な幼女趣味の性癖を持つ者もいた。

メリーアンとアリアは誰から見ても美形の母子だった。

初めてメリーアンを見たベルクはその美しさに惹かれ、自分の嫁にしたいと思った。
メリーアンが結婚していて子供がいると知ると、夫であるクラークスと子を殺し、自分の妾にしようと画策した。

クラークスは優秀なSランクに近いAランク冒険者だった。

何度刺客を送ってもなかなか死なないクラークスに業を煮やして、金に汚いことで有名なSランク冒険者で、性格は悪いが召喚術のランクが高いダミーという冒険者のパーティーに、を成功報酬として提示して、クラークス殺害を依頼した。

ダミーが召喚した魔物による、自作自演の被害を食い止めるため、領主名義でクラークスのパーティーに指名依頼が入った。
ベルクが偽造した、領主名義の依頼書だった。

討伐に向かったクラークスのパーティーは全滅した。

召喚したSランクの魔物だけではクラークス達を殺しきれず、ダミーは悪魔と契約してその力まで借りて、やっとクラークス達殺害の依頼を達成した。
禁忌の悪魔との契約に手を出すほど、成功報酬はだった。

邪魔なクラークスを殺しても、メリーアンはベルクに靡かなかった。
それどころか、隣国のSランク冒険者ジョルクがメリーアンのまわりをうろつき始め、手が出せなかった。
家にもメリーアンとその子供にも、何故か物理的に近づけなかった。

イライラが募る中、メリーアンを監視させていた者から報告があった。

- 娘のアリアの職業とスキルがまったく鑑定できなかったらしい -

チャンスだ!

鑑定できなかったということは、人ではないということだ。
あの子供は悪魔だ。
悪魔を殺して、メリーアンを悪魔を産んだ罪で投獄して、一生俺が可愛がってやろう。

兵舎でだらけ切っていた兵士ならず者達を連れ、メリーアンを捕獲し子供を殺すために急いでメリーアンの家に向かったが、そこはもぬけの殻だった。

「逃げやがったな!すぐに国境を封鎖して捕まえろ!あのバラスチアン帝国の冒険者が連れ出したに違いない!捕まえて殺せ!!」



ベルクが喚き散らしている頃、ジョルクは何事もなく無事に出国し、アリアは透明化インビジブルしてジョルクと手を繋いで歩いていた。
検問所が見えないところまで来ると、街道から森に入り、透明化インビジブルを解く。

「こっちの方が安全かなって思って。せっかく変化チェンジの魔法をかけてくれたのに、なんか、ごめんね?」

コテリと首を傾げて、上目遣いでジョルクおじさんを見上げる。

「本当に頼りになり過ぎだ。俺の良い男ぶりが・・・」

十分良い男だけど、お母さんの前でその台詞言わない方が良いと思うよ?
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