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★追記部分★
火 異章【本来ルート(アリディア各ルート)】
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★フレイルート★
フレイとの仲が深まる中、彼の才はどんどん高まっていく。それは、いつの間にか王子と並び、双璧と呼ばれるほどになっていた。
そんな中、突如、隣国である帝国の姫、傑物といわれるその人物が留学してくる。
上昇志向の高い帝国で生まれた彼女はフレイを気に入る。国に連れ帰ろうとするほどに。
主人公であるアリディアは全てにおいて彼女に勝てず、自信を失っていった。
フレイを呼び出し、待っていると彼が現れた。
「このところ俺を避けていただろう。どういうつもりだ」
ここしばらく会うのを拒否していたからだろう。彼はとても不機嫌だった。でも、どうしても言わなくてはいけない。それがどんなに辛いことでも。
「フレイ、聞いて」
私が真剣なことに気づいたのだろう。彼は黙り、こちらをじっと見た。
こんなこと言いたくない。でも、彼のためを思うなら言わなくてはならない。
一度深呼吸する。そして、最後に目に焼き付けるように彼の目を見た。その赤い目はとても綺麗で吸い込まれそうになる。
「私じゃあの人に勝てない。頭も、家柄も、何もかも。今まで以上に頑張った。それでも無理だったの」
悔しさに涙がにじむ。しかし、歯を食いしばって涙がこぼれないように耐える。
「貴方は以前言った、私が貴方を高められるって。貴方はすごい。もう今の私じゃこれ以上貴方を高めてあげられないほどに。
でも、あの人は違う。彼女となら貴方はまだ先に行けるはずよ」
声が涙ぐんでいるのは分かっている。しかし、最後の意地だ。彼の背中を押してあげなければいけない。それが愛する人にできる最後のことなのだと私は思っている。
「だから、もう貴方とは会わない。私を置いていってフレイ」
沈黙が流れる。彼はずっと上を目指して来た。その才に奢らずこれまで頑張ってきた。
普通の人なら満足し、歩みを止めるところまで来ても彼は足を決して緩めない。いまだその目は先を目指し続け、私も彼がもっと高みに行けると信じている。
私の気持ちと彼の未来、そんなのどっちが大事かなんて比べるまでも無い。
沈黙が流れる。私は既に泣いており、下を向いている。彼が早く去ってくれるのを待ちながら。
突如、体が温かいものに包まれる。それは、力強く、そして優しさに溢れていた。
「ふん。俺を高めてあげられないだと?まさにその通りだな」
彼の声が上から聞こえる。そして、抱きしめる力が少し強くなった。
「俺はお前の手を借りなくても勝手に上に行く」
「お前はただ傍にいればいい。そしたら、お前も一緒に引き上げてやる。だから、黙ってここにいろ」
彼の大きな手が私の涙を拭う。そして、彼の顔が近づくと私の口は温かいものによって閉ざされた。
フレイとの仲が深まる中、彼の才はどんどん高まっていく。それは、いつの間にか王子と並び、双璧と呼ばれるほどになっていた。
そんな中、突如、隣国である帝国の姫、傑物といわれるその人物が留学してくる。
上昇志向の高い帝国で生まれた彼女はフレイを気に入る。国に連れ帰ろうとするほどに。
主人公であるアリディアは全てにおいて彼女に勝てず、自信を失っていった。
フレイを呼び出し、待っていると彼が現れた。
「このところ俺を避けていただろう。どういうつもりだ」
ここしばらく会うのを拒否していたからだろう。彼はとても不機嫌だった。でも、どうしても言わなくてはいけない。それがどんなに辛いことでも。
「フレイ、聞いて」
私が真剣なことに気づいたのだろう。彼は黙り、こちらをじっと見た。
こんなこと言いたくない。でも、彼のためを思うなら言わなくてはならない。
一度深呼吸する。そして、最後に目に焼き付けるように彼の目を見た。その赤い目はとても綺麗で吸い込まれそうになる。
「私じゃあの人に勝てない。頭も、家柄も、何もかも。今まで以上に頑張った。それでも無理だったの」
悔しさに涙がにじむ。しかし、歯を食いしばって涙がこぼれないように耐える。
「貴方は以前言った、私が貴方を高められるって。貴方はすごい。もう今の私じゃこれ以上貴方を高めてあげられないほどに。
でも、あの人は違う。彼女となら貴方はまだ先に行けるはずよ」
声が涙ぐんでいるのは分かっている。しかし、最後の意地だ。彼の背中を押してあげなければいけない。それが愛する人にできる最後のことなのだと私は思っている。
「だから、もう貴方とは会わない。私を置いていってフレイ」
沈黙が流れる。彼はずっと上を目指して来た。その才に奢らずこれまで頑張ってきた。
普通の人なら満足し、歩みを止めるところまで来ても彼は足を決して緩めない。いまだその目は先を目指し続け、私も彼がもっと高みに行けると信じている。
私の気持ちと彼の未来、そんなのどっちが大事かなんて比べるまでも無い。
沈黙が流れる。私は既に泣いており、下を向いている。彼が早く去ってくれるのを待ちながら。
突如、体が温かいものに包まれる。それは、力強く、そして優しさに溢れていた。
「ふん。俺を高めてあげられないだと?まさにその通りだな」
彼の声が上から聞こえる。そして、抱きしめる力が少し強くなった。
「俺はお前の手を借りなくても勝手に上に行く」
「お前はただ傍にいればいい。そしたら、お前も一緒に引き上げてやる。だから、黙ってここにいろ」
彼の大きな手が私の涙を拭う。そして、彼の顔が近づくと私の口は温かいものによって閉ざされた。
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