悪意の揺り籠の中で、令嬢は人を信じることを止めた

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君がそれを望むなら

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 「はい、ご心配なく……
では、失礼します。」

 青木さんには、あまり詳しいことは話さず、とにかく今夜は美幸さんをうちに泊めるということだけを伝えた。
 当の美幸さんはかなり本格的に熟睡されてて、電話をかけてる間もソファの上で眠りこけたまま。



 私は、その間に客間に布団を敷き、美幸さんの肩を叩いた。



 「美幸さん、あっちに行きましょう。」

 「う…うん…」

よろよろされながらもなんとか歩いて下さって、布団に寝かせるとそのまままた静かになった。



 *



 (それにしても、美幸さんの落ちこみようは酷かったなぁ…)



 美幸さんは起きられる様子がなかったので、お風呂にお誘いするのはやめておいた。
 明日の朝にでも入っていただけば良い。
お風呂の中で、さっきの会話を思い出しながら、どうしたものかと私は考えた。
やっぱり、KEN-Gさんにはお話しといた方が良いだろう。
 KEN-Gさんなら、シュウさんと直接話すことも出来るだろうし、それとなく聞いてもらえるんじゃないかしら?

それにしても、純平さんがあんな露骨なことをおっしゃるなんて、ちょっと信じられない。
 美幸さんと純平さんは、傍目にも気が合ってるように見えたのに…… 
あ…そういえば、私も純平さんの名刺はもらってたんだ。
 連絡して訊いてみたいけど…でも、私が突然電話なんてかけたら驚かれるわね。
それに、言いにくいことだし……



お風呂から上がって、リビングで寛いでいると、携帯の着信音が鳴った。
それは、美幸さんのバッグの中から……
もしかしたら、青木さん…!?



 申し訳なかったけど、バッグを開けて美幸さんのスマホを取り出した。
そこに表示されてたのは、「純平くん」の文字。



 「は、はいっ!」

 私は反射的に受話ボタンを押してしまった。



 「……あれ?これって……」

 「は、はい、みゆ…ひかりさんのスマホです。」

 「え……?あの…あなたは?」

 「美咲です。」

 「あぁ、美咲さん。あれっ?ひかりちゃんは?」

 私は手短に今の状況を話した。



 「そうだったんですか。それでさっきも出てくれなかったんですね。
じゃあ、また掛け直します。」

 「ま、待って下さい!」

 「え…?」

 「純平さんにお訊ねしたいことがあるんです!」
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