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第一章

第49話 呪い?魔法?

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「キャアアッ!」

 またこれだ! ついに家にまで出てきた!
 いつものだってわかってる。わかってるけど慣れるわけない。
 エッグタルトから飛び出たのは、手のひらサイズの骸骨。それがタルトからゾロゾロと出てきて、黒い羽を広げて飛び始めた!?

「アリシア! どうした?」

 戻ってきたお父さんにしがみついた。

「そこに骸骨がいるの!」
「骸骨?」
「学校にいたオバケなの! オバケがいっぱい出てきてるの!」

 顔を上げると、お父さんの頭と肩に骸骨が乗ってダンスをしていた。

「わああっ!」

 反射的にお父さんから逃げ出すと、サディさんに抱き留められる。

「アリシアちゃん、大丈夫。何もいないよ」
「いるの! そこに! 2人とも見えないの?」

 2人が顔を見合わせた。
 やっぱり見えてないんだ……どうして私にだけ、こんなのが……

 突然、お父さんが部屋の隅に行って何かを手にした。剣だ!

「化け物ども、どこにいる。俺の娘を怖がらせるとは許しておけん。今すぐ叩き斬ってくれる!」

 剣を引き抜いた父さんは勇者の顔をしてる!
 でも、剣は飛びまわる骸骨たちに当たらず、すり抜けてしまった。
 実体がないんだ……ってことは、やっぱりオバケ!?

「アル、落ち着けよ。そんなの振りまわしたらアリシアちゃんが怖がるだろ」
「っ、悪い」

 お父さんを正気に戻しながら、サディさんは抱きかかえた私の背中をさすってくれた。

「アリシアちゃん、骸骨が見えてるの? まだいる?」
「いる……テーブルの上にも、窓にも、部屋中にいるの」

 空中を飛びまわって、こっちではダンスしてて、あっちでは頭蓋骨でキャッチボールしてる。もうカオス……。

「アリシアちゃんにだけ見えてるのか……もしかしたら、何かの魔法かもしれないね」
「魔法だと?」
「魔法か、それとも呪いか……」

 魔法? 呪い?
 非科学的だけど、この世界では1番現実的!

「アリシアに呪いを掛けたやつがいるのか! 誰だ!」
「まだ確定じゃないって。それに、本当に魔法や呪いだったとしたら俺たちにはどうしようもないよ」
「魔法だったらサディが使えるだろ。この妙な魔法を消したりできないのか?」
「俺じゃ無理なんだよ。こういうのは、生まれながらの生粋の魔法使いじゃないと対処できない」
「生粋の魔法使いか。リリアがいれば……」

 お母さんは魔法使いの家系に生まれた。後から魔法を習ったサディさんとはまた別らしい。

「いるじゃない。もう1人、俺らのパーティーには魔法使いが」

 サディさんの提案に、お父さんが顔をしかめる。

「……ナーガか」
「あいつは生粋の魔法使いだろ。どうにかできるかもしれない」

 ナーガ、さん?
 初めて聞く名前だ。パーティーってことは、お父さんたちと一緒に旅してたんだよね。
 でも、お父さんは明らかに気が乗らない顔をしてた。

「あいつか……あいつに頼むのか……」
「ウジウジ言ってる場合じゃないだろ。アリシアちゃんがこのままでもいいのかよ」
「いいわけがない! すぐにナーガを呼ぶぞ!」

 さすがお父さん、私のことになると切り替えが早い。

「でも、どうやってあいつに連絡を取るんだ? どこをフラフラしてるかわからないぞ」
「街のギルドに登録はしてるだろうから、そこから連絡取ってみるよ」

 サディさんは私をベッドに降ろすと、頭を撫でてくれた。

「僕らの仲間に来てもらうから、もう少し我慢してね。きっと変なオバケも消えるよ」
「ナーガさんって、魔法使いなの?」
「そうだよ。リリアさんと違って、黒魔法使いだけどね」

 黒魔法使い!?

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