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第一章

第15話 プレゼント

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 ポシェットの中から用意していたプレゼントを取り出す。

 今朝、マドレーヌさんが萎れた花をキレイな押し花にしてくれた。
 それを私が紙に貼ってリボンを通し、栞にした。
 考えてたものとは違うけど、これはこれでステキなプレゼントになったと思う。

 ピンクの花とクローバーで作った栞をお父さんに渡す。

「お父さん、今日はおめでとうございます」
「アリシア……!」

 涙ぐんだお父さんに力いっぱい抱きしめられた。

「お、お父さん。栞がぐちゃぐちゃになっちゃうよ」
「ありがとうアリシア。額に飾って一生大切にするからな」

 嬉しいけど、栞なんだから使ってほしい。

 やっとお父さんに解放してもらえて、今度はサディさんに渡す。
 白い花とクローバーの栞。

「サディさんも、今日はおめでとうございます」
「僕にも? ありがとう、アリシアちゃん。宝物にするよ」

 優しい微笑みが眩しい。
 こんな笑顔を向けられたら、男女関係なくノックアウトだろうなぁ。

「ところで、どうしてお父さんのがピンクなんだ?」
「えーっと……お父さんってかわいいから、ピンクかなぁって」
「か……ッ!」

 絶句するお父さんに、サディさんが笑い出す。

「わかるわかる。アルってかわいいよねぇ」
「はあ!? なにをどう見たらそうなるんだ!」
「魔王を倒したくらいなのに普段はヘタレだし、抜けてるとこあるしさぁ」
「誰が……!」

 食ってかかろうとしたお父さんの額を、サディさんが指で突っついた。

「俺にからかわれてるとことか、かわいいじゃん」
「おーまーえー!!」

 待って待って待って!そんなわちゃわちゃするとか何のサービス?
 尊い! 尊すぎてしんどい!

 私がキラキラ……いや、たぶんギラギラした目で見ているのに気づいたのか、お父さんがゴホンと咳払いをした。

「アリシア、お父さんに『かわいい』と言うのは間違ってるぞ。かわいいというのは
、アリシアみたいな子に言うんであってだな」
「いいじゃん別に。っていうか、かわいい娘に言ってもらえるならなんでも嬉しいんじゃないの?」
「ま、まあ……それはそうだが」

 サディさんのおかげで、なんとかお父さんは納得してくれた……と思う。

 まさか
「お父さんは受けだからかわいいピンク!」
「サディさんはプレイボーイのドS攻めだから白!」
とは言えないもんなぁ。
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