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「そ、そういや、コンビ名決めないとな」
「コンビ名……キューブはどうやって決めたんですか?」
「あれは佐野がルービックキューブ得意だったから。そういうネタもあったし」
熱くなった耳を髪で隠しながら、冷静を装って話を続ける。
コンビ名に特に拘りはないが、他と被らない名前を考えるのが面倒だ。
「2人の名前くっつけるとか、どうですか?」
「灰村椎名? 無難だけどありきたりだよな。せっかく獣人がいるんだから、そこを押し出したいんだけど。……ハイエナ―ズとか」
「それだとハイエナ2人みたいです」
元々俺にネーミングセンスがないから、前は佐野に丸投げだった。
ハイエナの名前を使わずちょっと捻って……ハイエナ……灰……グレーはなんか居そうだし……
「アッシュ」
「アッシュ、ですか?」
「灰色のこと、アッシュとも言うだろ。お前の毛並み灰褐色だし、『灰村』だし、よくないか?」
「でもそれだと、僕のことだけですよね」
「どう考えてもお前がコンビの顔になるんだからいいだろ」
「そんな……コンビなんですから、2人の意味が欲しいです」
結構拘るタイプなのかよ。
まあ、一生使う名前になるかもしれないからな。
「じゃ、『Wアッシュ』」
W付けただけじゃん、と灰村が言いたそうな顔してる。これ以上文句言わせないように、俺は灰村の肩を叩いた。
「俺も灰色みたいなもんだから、な?」
灰村は何か言いたそうにしながらも、「わかりました」とうなずいた。
「コンビ名も決まったことだし、改めてよろしくな。灰村」
「ヨル、でいいです」
下の名前か。結構シャレた名前なんだよな。
「いいのか?」
「はい。僕も、下の名前で呼んでいいですか?」
「あー……俺の下の名前知ってんだっけ?」
「知ってます。陽向さん」
俺が苦い顔してるのに気づいたのか、灰村……ヨルが首を傾げる。
「ダメですか?」
「俺、嫌いなんだよ。その名前」
「なんで……かわいいのに」
「だからだよ!」
今でこそ男の「ひなた」も増えたらしいが、俺が子供の頃は女に間違えられることが多かった。だから周りには極力苗字で呼ばせてる。
「そうですか……」
また耳が少し垂れた。呼び名くらいで何をそんなにガッカリしてるんだ、こいつは。
なんだか俺が悪いことしてるような気持ちになるじゃんか。
「……わかった、いいよ。ただし、俺と2人きりのときだけにしろよ」
「ありがとうございます!」
ヨルの耳と、ついでに尻尾もピンと立った。
クールな顔してるくせに、獣の部分はわかりやすいのな。
「Wアッシュとして、よろしくお願いします。陽向さん」
「……よろしくな、ヨル」
「コンビ名……キューブはどうやって決めたんですか?」
「あれは佐野がルービックキューブ得意だったから。そういうネタもあったし」
熱くなった耳を髪で隠しながら、冷静を装って話を続ける。
コンビ名に特に拘りはないが、他と被らない名前を考えるのが面倒だ。
「2人の名前くっつけるとか、どうですか?」
「灰村椎名? 無難だけどありきたりだよな。せっかく獣人がいるんだから、そこを押し出したいんだけど。……ハイエナ―ズとか」
「それだとハイエナ2人みたいです」
元々俺にネーミングセンスがないから、前は佐野に丸投げだった。
ハイエナの名前を使わずちょっと捻って……ハイエナ……灰……グレーはなんか居そうだし……
「アッシュ」
「アッシュ、ですか?」
「灰色のこと、アッシュとも言うだろ。お前の毛並み灰褐色だし、『灰村』だし、よくないか?」
「でもそれだと、僕のことだけですよね」
「どう考えてもお前がコンビの顔になるんだからいいだろ」
「そんな……コンビなんですから、2人の意味が欲しいです」
結構拘るタイプなのかよ。
まあ、一生使う名前になるかもしれないからな。
「じゃ、『Wアッシュ』」
W付けただけじゃん、と灰村が言いたそうな顔してる。これ以上文句言わせないように、俺は灰村の肩を叩いた。
「俺も灰色みたいなもんだから、な?」
灰村は何か言いたそうにしながらも、「わかりました」とうなずいた。
「コンビ名も決まったことだし、改めてよろしくな。灰村」
「ヨル、でいいです」
下の名前か。結構シャレた名前なんだよな。
「いいのか?」
「はい。僕も、下の名前で呼んでいいですか?」
「あー……俺の下の名前知ってんだっけ?」
「知ってます。陽向さん」
俺が苦い顔してるのに気づいたのか、灰村……ヨルが首を傾げる。
「ダメですか?」
「俺、嫌いなんだよ。その名前」
「なんで……かわいいのに」
「だからだよ!」
今でこそ男の「ひなた」も増えたらしいが、俺が子供の頃は女に間違えられることが多かった。だから周りには極力苗字で呼ばせてる。
「そうですか……」
また耳が少し垂れた。呼び名くらいで何をそんなにガッカリしてるんだ、こいつは。
なんだか俺が悪いことしてるような気持ちになるじゃんか。
「……わかった、いいよ。ただし、俺と2人きりのときだけにしろよ」
「ありがとうございます!」
ヨルの耳と、ついでに尻尾もピンと立った。
クールな顔してるくせに、獣の部分はわかりやすいのな。
「Wアッシュとして、よろしくお願いします。陽向さん」
「……よろしくな、ヨル」
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