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15-1.いつも傍に
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翌朝、ルーカスの腕の中で目覚めた。
ルーカスの寝息が耳にかかり、心地よい。じっと見つめていると、ルーカスが目を覚ました。
「おはようございます、ご主人様」
「……ああ」
「今日は朝ご飯食べますか? 僕、作ってきます」
「まだいいだろ」
立ち上がり掛けたところを再びベッドに引きずり込まれる。
駄々っ子のようなルーカスが可愛く見えて、しばらく腕の中に包まれていた。
朝陽がすっかり昇った頃、ようやくキッチンへ向かった。
料理ができあがるとルーカスを起こし、2人で食事を摂る。シェルの尻尾はリズミカルに揺れていた。
「お前はメシ食うとき、いつも嬉しそうだな」
「ご主人様と一緒だからですよ。一緒に食べるのは嬉しいです」
「そんなことで……」
「大事なことです」
そうか、と頷いてルーカスはコーヒーを啜った。しばし何か考えているようだったが、ふいに口を開く。
「……他に何か、俺にして欲しいことはあるか?」
「え」
照れ隠しのようにルーカスは目を伏せた。思いがけない言葉に、シェルは緩む頬に両手を当てる。
それから、もじもじと切り出した。
「あ、あの……なでなで、してほしいです」
まるで子犬のようだと思いながらも、シェルは撫でてもらうことが好きだった。それは犬の性なのか、かつての思い出がそうさせるのか。
ルーカスは手を伸ばすとシェルの頭に触れた。優しく何度も、白銀の髪と垂れ耳を撫でられる。
「これでいいのか?」
「はいっ! お婆ちゃんに撫でてもらったことを思い出しました」
小さくて柔らかかった老婦の手、大きく力強いルーカスの手。どちらも大切なご主人の手だ。
「ご主人様とお婆ちゃんは、よく似ていますね」
「俺が?」
「怖いところもあるけど、とっても優しいです」
子犬の頃、よくはしゃぎすぎて家の中のものを壊し、老婦に叱られた。
老婦のことを思い出すと悲しくもなるが、今はルーカスが傍にいる。
ルーカスが自嘲気味に笑った。
「褒めてるつもりか?」
「もももちろんです!」
慌てるシェルに、ルーカスは席を立ってテーブルを回り込んだ。シェルのすぐ傍で、もう1度頭を撫でる。
「後で散歩にでも行くか」
「お散歩! 嬉しいですっ」
ちぎれんばかりに尻尾を振った。そんな様子に微笑むと、ルーカスはリビングを出て行った。
戻ってきたルーカスの手に握られていたのは、白い首輪。
「とりあえず拾っておいたんだが、汚れてるな。買い替えるか」
「いいえ、これがいいです。ご主人様が僕に買ってくれたものだから」
白い首輪は薄汚れ、銀十字のチャームは取れ掛かっていた。それを大切に見つめるシェルに、ルーカスが目尻を下げる。
シェルが首を伸ばすと、丁寧に首輪がはめられた。既に身体の一部のようで、とても安心する。
「後で修理に出してやる。散歩の途中に外れたら困るからな」
「ありがとうございます、ご主人様。……あっ」
ルーカスの寝息が耳にかかり、心地よい。じっと見つめていると、ルーカスが目を覚ました。
「おはようございます、ご主人様」
「……ああ」
「今日は朝ご飯食べますか? 僕、作ってきます」
「まだいいだろ」
立ち上がり掛けたところを再びベッドに引きずり込まれる。
駄々っ子のようなルーカスが可愛く見えて、しばらく腕の中に包まれていた。
朝陽がすっかり昇った頃、ようやくキッチンへ向かった。
料理ができあがるとルーカスを起こし、2人で食事を摂る。シェルの尻尾はリズミカルに揺れていた。
「お前はメシ食うとき、いつも嬉しそうだな」
「ご主人様と一緒だからですよ。一緒に食べるのは嬉しいです」
「そんなことで……」
「大事なことです」
そうか、と頷いてルーカスはコーヒーを啜った。しばし何か考えているようだったが、ふいに口を開く。
「……他に何か、俺にして欲しいことはあるか?」
「え」
照れ隠しのようにルーカスは目を伏せた。思いがけない言葉に、シェルは緩む頬に両手を当てる。
それから、もじもじと切り出した。
「あ、あの……なでなで、してほしいです」
まるで子犬のようだと思いながらも、シェルは撫でてもらうことが好きだった。それは犬の性なのか、かつての思い出がそうさせるのか。
ルーカスは手を伸ばすとシェルの頭に触れた。優しく何度も、白銀の髪と垂れ耳を撫でられる。
「これでいいのか?」
「はいっ! お婆ちゃんに撫でてもらったことを思い出しました」
小さくて柔らかかった老婦の手、大きく力強いルーカスの手。どちらも大切なご主人の手だ。
「ご主人様とお婆ちゃんは、よく似ていますね」
「俺が?」
「怖いところもあるけど、とっても優しいです」
子犬の頃、よくはしゃぎすぎて家の中のものを壊し、老婦に叱られた。
老婦のことを思い出すと悲しくもなるが、今はルーカスが傍にいる。
ルーカスが自嘲気味に笑った。
「褒めてるつもりか?」
「もももちろんです!」
慌てるシェルに、ルーカスは席を立ってテーブルを回り込んだ。シェルのすぐ傍で、もう1度頭を撫でる。
「後で散歩にでも行くか」
「お散歩! 嬉しいですっ」
ちぎれんばかりに尻尾を振った。そんな様子に微笑むと、ルーカスはリビングを出て行った。
戻ってきたルーカスの手に握られていたのは、白い首輪。
「とりあえず拾っておいたんだが、汚れてるな。買い替えるか」
「いいえ、これがいいです。ご主人様が僕に買ってくれたものだから」
白い首輪は薄汚れ、銀十字のチャームは取れ掛かっていた。それを大切に見つめるシェルに、ルーカスが目尻を下げる。
シェルが首を伸ばすと、丁寧に首輪がはめられた。既に身体の一部のようで、とても安心する。
「後で修理に出してやる。散歩の途中に外れたら困るからな」
「ありがとうございます、ご主人様。……あっ」
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