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祓った呪術がトビーに跳ね返ったのだ。
それがルーカスの仕事なのだと、シェルは息を飲む。
しかし、それならばトビーの怒りに納得はできない。
「ご主人様は悪くない。それは逆恨みです」
「黙れ!」
トビーがシェルの頭を床に叩きつけた。口の中に血の味が滲む。
「あんな奴らに小銭を掴まされて、僕に呪術を返したルーカスにも責任はある。あいつらはもっと苦しめて、わからせてやらなきゃいけなかったんだ。それをルーカスが邪魔をした」
「う、ぐ……っ」
腹を踏みつけられ、胃が圧迫される。
苦悶の表情を浮かべるシェルが嬉しいのか、トビーは口角を上げた。
「金に目がくらんだお前の主人にもわからせてやらなきゃ。でも、ルーカスは僕をも上回る魔力を持っている。悔しいけど、僕じゃ太刀打ちできない。そこに現れたのがお前だよ。ようやく見つけた、あいつの弱点だ」
「僕が……?」
愚かにもトビーを信じてしまった自分を悔やんだ。
老婦に会えることはないと薄々感じていたというのに、僅かな希望に縋ってしまった。
「僕を痛めつけたって、ご主人様はなんとも思いませんよ。他の犬を飼うだけです」
「そうかな? 人も獣人も寄せ付けない、バケモノような呪術師が犬を飼うなんて耳を疑ったよ。よっぽどキミのことが気に入ったんじゃないの。それとも何? 実験動物にでもされてたの? その方が納得だ」
「勝手なこと……ご主人様はそんなことしない」
「だったら、やっぱりお前は弱点なんだな」
トビーが何かを投げるように腕を振ると、カマイタチのように服が切り裂かれた。
肩や腹の至る所がナイフで切りつけたかのようにズタズタにされ、悲鳴を上げる。
「あああっ」
「大事なペットをこんな風にされて、ルーカスが見たらどんな顔するかな。いつも仏頂面なあいつが、顔を歪めるところが見られたら最高だ。もしかして泣いたりなんかしてね。そしてあいつに謝らせるのさ。この僕の呪詛を祓って僕に返したこと、泣いて詫びさせてやる」
甲高い声で笑ったトビーは常軌を逸していた。しかし、おや? とシェルの身体に目を留める。
「お前、なにこの痕」
服を両手で引っ張られれば、切り裂かれていた布は簡単に破かれてしまう。
シェルの白い素肌に散りばめるようにつけられた痕を見つけ、トビーは引きつるように笑った。
「っはは、お前そういうペットだったのか。あいつに犯されてるんだ」
トビーがシェルの足の間を踏みつけた。ぐりぐりと急所を攻撃され、呻き声が漏れる。
「やめ……っ、なにして」
「獣人に盛る奴はどうかしてると思ってたけど、ルーカスにそっちの趣味があったとはね。しかもオス相手に」
ルーカスの取って置きの弱みを見つけたと、トビーは興奮していた。
足で中心をさすられ、かと思えばペダルでも踏むように楽しげに何度も踏みつけられる。
「や……あ、く、はぁっ」
ふとトビーの足が離れ、シェルの着衣に手を掛けられた。蹴り飛ばそうとすると、また指を鳴らされ途端に下肢に力が入らなくなる。
下着ごと足から引き抜かれれば、少し勃ち上がったそれがトビーの前に露わになる。
「うわ、やっぱ興奮してたんだ。男に踏みつけられて嬉しい? 変態」
「う……違」
それがルーカスの仕事なのだと、シェルは息を飲む。
しかし、それならばトビーの怒りに納得はできない。
「ご主人様は悪くない。それは逆恨みです」
「黙れ!」
トビーがシェルの頭を床に叩きつけた。口の中に血の味が滲む。
「あんな奴らに小銭を掴まされて、僕に呪術を返したルーカスにも責任はある。あいつらはもっと苦しめて、わからせてやらなきゃいけなかったんだ。それをルーカスが邪魔をした」
「う、ぐ……っ」
腹を踏みつけられ、胃が圧迫される。
苦悶の表情を浮かべるシェルが嬉しいのか、トビーは口角を上げた。
「金に目がくらんだお前の主人にもわからせてやらなきゃ。でも、ルーカスは僕をも上回る魔力を持っている。悔しいけど、僕じゃ太刀打ちできない。そこに現れたのがお前だよ。ようやく見つけた、あいつの弱点だ」
「僕が……?」
愚かにもトビーを信じてしまった自分を悔やんだ。
老婦に会えることはないと薄々感じていたというのに、僅かな希望に縋ってしまった。
「僕を痛めつけたって、ご主人様はなんとも思いませんよ。他の犬を飼うだけです」
「そうかな? 人も獣人も寄せ付けない、バケモノような呪術師が犬を飼うなんて耳を疑ったよ。よっぽどキミのことが気に入ったんじゃないの。それとも何? 実験動物にでもされてたの? その方が納得だ」
「勝手なこと……ご主人様はそんなことしない」
「だったら、やっぱりお前は弱点なんだな」
トビーが何かを投げるように腕を振ると、カマイタチのように服が切り裂かれた。
肩や腹の至る所がナイフで切りつけたかのようにズタズタにされ、悲鳴を上げる。
「あああっ」
「大事なペットをこんな風にされて、ルーカスが見たらどんな顔するかな。いつも仏頂面なあいつが、顔を歪めるところが見られたら最高だ。もしかして泣いたりなんかしてね。そしてあいつに謝らせるのさ。この僕の呪詛を祓って僕に返したこと、泣いて詫びさせてやる」
甲高い声で笑ったトビーは常軌を逸していた。しかし、おや? とシェルの身体に目を留める。
「お前、なにこの痕」
服を両手で引っ張られれば、切り裂かれていた布は簡単に破かれてしまう。
シェルの白い素肌に散りばめるようにつけられた痕を見つけ、トビーは引きつるように笑った。
「っはは、お前そういうペットだったのか。あいつに犯されてるんだ」
トビーがシェルの足の間を踏みつけた。ぐりぐりと急所を攻撃され、呻き声が漏れる。
「やめ……っ、なにして」
「獣人に盛る奴はどうかしてると思ってたけど、ルーカスにそっちの趣味があったとはね。しかもオス相手に」
ルーカスの取って置きの弱みを見つけたと、トビーは興奮していた。
足で中心をさすられ、かと思えばペダルでも踏むように楽しげに何度も踏みつけられる。
「や……あ、く、はぁっ」
ふとトビーの足が離れ、シェルの着衣に手を掛けられた。蹴り飛ばそうとすると、また指を鳴らされ途端に下肢に力が入らなくなる。
下着ごと足から引き抜かれれば、少し勃ち上がったそれがトビーの前に露わになる。
「うわ、やっぱ興奮してたんだ。男に踏みつけられて嬉しい? 変態」
「う……違」
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