異世界で吟遊詩人のパトロンになりました

水都(みなと)

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 耳に吐息が流れ込んでくるのと同時に、ズボンの中にノアの手が侵入してくる。

「ちょ、なにしてっ、やめろ」
「やめていいんですか? あなたのここは、もうその気になっているというのに」

 勃ち上がり始めている俺の裏筋を撫でられる。
 ノアにこんな風に触られて、反応しないわけがないだろう。

「ひ……っ」

 揉むように扱かれれば、声が出そうになる。
 咄嗟に両手で口を押える。

「どうして声を抑えるんです? 聞かせてくださいよ、あなたの可愛い声」
「ん、んんっ……」

 口を塞いでいた両腕を引き剥がされ、頭の上でまとめて押さえつけられる。
 振りほどこうとしたが、細身のくせにノアの力は強くビクともしない。

 右手で俺を押さえつけながら、左手で下着ごと一気にズボンを脱がされた。
 半勃ちのそこがノアの眼前に晒される。

「見るなっ!」

 膝を立てて隠そうとするも、あっさりとノアに膝を割られる。
 そして今度は、俺の中心を直にその白い手に握られた。

「う……っ」
「よくしてあげると言っているのに。何をそんなに嫌がっているんです?」
「やめ、やめろって」

 強制的に与えられる快楽に声が震える。
 そこを誰かに触られること自体初めてだ。自分の手とは違う感触にクラクラする。

 もっと与えてほしいという本能と、こんなつもりではないという理性がせめぎ合う。

 その間にも、ノアの手は俺の中心を弄んでいる。
 根元からくすぐるように形をなぞられ、鈴口を指でいじられる。ゾクゾクした感覚が背中を走り、腰が浮きそうになった。

「は、あ……っ」
「辛そうですね。我慢しなくていいんですよ」

 そう言うと、ノアが下へと移動した。
 すっかり勃ち上がったそこに、ふっと息をかけられると自然と声が漏れてしまう。くすりとノアの笑う声が聞こえて、それから俺の先端が粘膜に包まれる。

「う……、なに、して……」

 俺の先端を躊躇なく咥えて、舐め取るように舌を絡められた。何をされているのか信じられず頭を振ったが、初めての快楽に下腹部が甘く痺れる。

 唇を離すと、ノアは上目遣いにニヤッと笑った。

「苦しそうだったので。お手伝い致しました」

 恐る恐る見ると、俺の先端からトロトロと透明な蜜が溢れ出していた。

「や、めろ……見るな」

 そんな俺の言葉も届かず、再びノアに手を添えられる。
 溢れ出したそれを塗り広げるように上下されると、もう堪らなくなってしまう。

「くっ、や……めろ、やめろって」
「もう限界ですか? いいですよ。僕の手の中で、イかせてあげます」
「は……あ、も……出、はなせ、やめろ……んんっ」

 目の前が弾けて、真っ白になった。
 ぐったりとベッドに沈み込んだ身体にまた、ノアが覆い被さる。ちゅっ、と俺の額にキスが落とされた。

「可愛かったですよ」
「の、あ……」

 ぼんやりとした視界でノアが滲んで見えた。
 俺が吐き出した白濁を手に纏わせ、見せつけるように舐め取る。

 やたら色気を漂わせたノアが、天使にも悪魔にも見えた。
 
「愛してますよ、フレディ」

 光のない瞳が、俺を見下ろしていた。
 
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