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7-1.紫水晶
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「お待たせしました」
酒場の外で待っていると、竪琴のケースを持ったノアが出てきた。
いつもノアは座った状態で話しているが、立った姿もスラリとして格好良い。
長い銀色の髪をひとつに結わえて後ろに流しているのも、また違った印象だ。
プライベートを垣間見ているようで、つい口元が緩んだ。
「どうしました? 嬉しそうですね」
「嬉しいに決まってるよ。ノアにこうして誘ってもらえるなんて」
「それは僕の方ですよ。思い切って声を掛けてよかった。断られたらどうしようかと、ちょっと怖かったんです」
ホッとしているノアの横顔も美人だ。
「俺が断わるわけないだろ。けど、大丈夫なのか? 客と個人的に会ったりして」
「フレデリックさんだけ、特別ですよ」
ますます顔がにやけてしまう。
さすがは吟遊詩人。人の喜ばせ方がわかってるな。
ノアが行きたいところがあるというのでついて行くと、小洒落たバーだった。
竪琴を演奏している大衆酒場とは違って、静かに飲む若い男女が数組しかいない。
行きつけの店だったらしく、店員はノアを見るとすぐにあまり目立たないカウンターの隅へ案内してくれた。
ノアの横に座ると、腕が触れそうになるほど近い。
ドギマギした心臓の音がバレないように、努めて平常心を装う。
「ここには、よく来るのか?」
「ええ、静かに飲みたいときにね。フレデリックさんは、こういうところはお嫌いですか?」
「1人で入る勇気はなくて。でもちょっと憧れだったから、ノアと来れて嬉しいよ」
「良かった。飲み物はどうされます?」
そう聞かれても、ずっと引きこもりでバーなんて来たことがない。
前世でも酒なんて、たまに家で安酒を飲むのが精一杯の金銭事情だった。こんな洒落た店に何が置いてあるかなんてさっぱりわからない。
「なんか適当に頼んでくれ」
「じゃあ、僕のおススメを」
そう言うと、ノアが慣れたようにバーテンに注文した。
ほどなくして、紫色をしたカクテルが目の前に置かれた。
ノアの前にも同じものが置かれる。
酒場の外で待っていると、竪琴のケースを持ったノアが出てきた。
いつもノアは座った状態で話しているが、立った姿もスラリとして格好良い。
長い銀色の髪をひとつに結わえて後ろに流しているのも、また違った印象だ。
プライベートを垣間見ているようで、つい口元が緩んだ。
「どうしました? 嬉しそうですね」
「嬉しいに決まってるよ。ノアにこうして誘ってもらえるなんて」
「それは僕の方ですよ。思い切って声を掛けてよかった。断られたらどうしようかと、ちょっと怖かったんです」
ホッとしているノアの横顔も美人だ。
「俺が断わるわけないだろ。けど、大丈夫なのか? 客と個人的に会ったりして」
「フレデリックさんだけ、特別ですよ」
ますます顔がにやけてしまう。
さすがは吟遊詩人。人の喜ばせ方がわかってるな。
ノアが行きたいところがあるというのでついて行くと、小洒落たバーだった。
竪琴を演奏している大衆酒場とは違って、静かに飲む若い男女が数組しかいない。
行きつけの店だったらしく、店員はノアを見るとすぐにあまり目立たないカウンターの隅へ案内してくれた。
ノアの横に座ると、腕が触れそうになるほど近い。
ドギマギした心臓の音がバレないように、努めて平常心を装う。
「ここには、よく来るのか?」
「ええ、静かに飲みたいときにね。フレデリックさんは、こういうところはお嫌いですか?」
「1人で入る勇気はなくて。でもちょっと憧れだったから、ノアと来れて嬉しいよ」
「良かった。飲み物はどうされます?」
そう聞かれても、ずっと引きこもりでバーなんて来たことがない。
前世でも酒なんて、たまに家で安酒を飲むのが精一杯の金銭事情だった。こんな洒落た店に何が置いてあるかなんてさっぱりわからない。
「なんか適当に頼んでくれ」
「じゃあ、僕のおススメを」
そう言うと、ノアが慣れたようにバーテンに注文した。
ほどなくして、紫色をしたカクテルが目の前に置かれた。
ノアの前にも同じものが置かれる。
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