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「痛い~~! やだっ、やだぁ」
「お仕置きのときは『ごめんなさい』だと教えたでしょう。後は『もうしません』ですかね。それ以外の言葉は受けつけません」
「ごめんなさいッッ! ほら言っただろ!」
「そんな言い方で良いわけはないでしょう。ルーシャ、少しは反省したらどうです」
「その呼び方やめろよ! 俺はもう子供じゃない!」
「こんな状態でよくそんなことが言えますね。お尻を叩かれるような子は、十分子供ですよ」

 ライナスが手を振り上げる空気が伝わる。ルシアーノがぎゅっと目を瞑って身構えると、扉からノックの音が聞こえた。ライナスの手が下ろされる。

「はい」
「飲み物をお持ちいたしました」
「どうぞ。少々取り込み中ですが、お入りください」
「ちょ……っ!」

 当然ルシアーノは尻を出したままだ。ズボンを上げようと手を伸ばしたが、その手をライナスに掴まれる。

「勝手なことをしてはいけません」
「だ、だって……」
「このままお仕置きを見てもらいましょう。恥ずかしいのもお仕置きのうちですよ」

 信じられないと目を見開くルシアーノの腕を背中で固定し、またバシッと尻を叩く。同時に、メイドが部屋に入って来た。キャッと小さく声を上げる。

「し、失礼いたしました!」
「いえ、お構いなく。今ルシアーノ様のお仕置き中ですから」

 何がお構いなくだ! と、ルシアーノは顔を伏せた。

 子供の頃から屋敷で働いているメイドだったが、まさか尻を見られたことなんてない。
    しかもお仕置きで叩かれている最中だ。顔が真っ赤になり涙が滲んでくる。ジタバタと暴れている姿を見られるのは更に恥ずかしく、ルシアーノは唇を噛んで耐えた。

 大人しくなったルシアーノの尻をライナスは何度も叩いた。右に左に真ん中に。
 満遍なく叩かれている尻を直視するわけにもいかず、メイドは手早くベッドサイドのテーブルにジュースとコーヒーを置くと、慌てた様子で部屋を出て行った。

「おやおや、すっかり大人しくなりましたね。メイドさんに真っ赤なお尻を見られて恥ずかしかったですか?」
「あ……ったりまえだろ」
「だったら、もう少し頑張って勉強なさることですね。こんな恥ずかしいお仕置きをされないように」

 何も言い返せないルシアーノに、ライナスは残った回数お尻を叩いた。そして、仕上げというように真ん中に一際強くバシンッと平手を入れた。

「い゛っっ!?」
「33回終わりました。何か言うことは?」

 言いたくはなかったが、これを言わないと許してもらえないことはルシアーノも痛いほどわかっていた。

「……ごめんなさい」
「いいでしょう。では、コーナータイムです。しばらくそこへ立っていなさい」

 一刻も早くズボンを上げたい気持ちを抑え、ルシアーノは赤くなった尻を出したまま壁際に移動した。

 ライナスはコーヒーを手に取ると、椅子に足を組んで座った。優雅な様子で、自らが叩いたルシアーノの尻を眺めている。
 尻に視線を感じ、ぐっと奥歯を噛む。

「悪趣味」
「キレイにまんべんなく赤く染まったなと思いまして。これもなかなか技術が必要なのですよ。我ながら今日は、上手く叩けました」
「おもしろがってるだろ」
「そんなことはありません。特にあなたのような大きなお尻を叩くのは初めてですから、試行錯誤しているのですよ。小さな子供にここまではできませんからね」

 ルシアーノはそっとライナスを振り返る。
 
「ライナスは普段から子供の尻を叩いてるのか?」
「そんな趣味みたいに言わないでください。普段私は、教会が運営している孤児院の子供たちの面倒を見ていますから」
「お前みたいな鬼神官がいるなんて、孤児たちも災難だな」
「まだお仕置きが足りませんでしたかね?」

 ライナスの眼鏡がキラリと鈍く光った。
 
「た、足りてる足りてる! もうこれ以上は無理!」

 慌てて尻を押さえるルシアーノに、ライナスは吹き出した。ゆっくりとカップを置き、立ち上がる。

「まあ、今日は大目に見て差し上げましょう。さあ、もういいですよ。お尻を冷やしましょうね」

 余計なことを言わないように注意しながら、今日もルシアーノは赤いお尻でベッドに乗るはめになってしまった。
 
 
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