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第1話:異世界移転

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 体の芯まで凍てつく様な更衣室から出てまばらに出来上がった列に並ぶ。
 靴紐を結び直しながら体育館のを後ろの方を見ると、同じ様に出来ている列が見える。
あっちのクラスなら仲の良い友達が何人かいたのに。関わり易い人もいそうだったのに。などの無駄な事を考えてしまう。
学園祭が終わっても尚友達を作れなかった自分への悔しさと、
なぜこんなクラスに入れられてしまったのかと言う悲しさが込み上げてくる。
と、靴紐を結び終えた所で更衣室の方が騒がしくなって、体格のデカい男や小柄なくせに態度のデカい奴らが調子に乗っているのが一目で分かる様な奴らが現れる。
 まるで「俺たちはヤンキーだ」と言いたげな雰囲気の漂う奴らはバスケットボールのかごの部分を掴むと言う謎の遊びを始めてよく分からない内輪話でガハガハと下品に笑う。


 関わってはいけなさそうな雰囲気を醸し出してかもしだしている彼らを見て思わずため息をつきそうになりながらステージの方を見る。

 今日の授業は来週の体育祭のバスケ大会の練習だ。
運動は好きだし得意な方だけど、「俺たちはヤンキーだ」連盟の奴らがミスった時に暴言を吐いたり煽ったりしてくるのでクラスの雰囲気は、はっきり言って最悪だ。いや、もうこれは地獄だ。
出来るなら仮病で休んでしまいたいくらいだ。


 
「全員ならべー!」


ステージの上から聞こえてきた声の正体は二人の体育教師だ。
一人はもう片方のクラスに逝ってしまったがもう一人の中肉中背中年のトリプル中トリプルセンターが全て揃っているMr`ダメダメ男がやってきた。口周りの髭とサングラスと煙草のせいで厳しそうに思われがちだが、
思ったより適当な人で地獄を造る原因の一端になっている。
 せめて教師だけでも交換出来ないか。と考えながら周りに合わせて居場所を整えていると急に周りが
真っ白になった。
眩しさのせいで目を開けようとするが中々目が開かない。しかも耳鳴りのせいで音もまともに聞こえない。
そして暫くするとジェットコースターに乗った時のような浮遊感が俺を襲う。

 途端に真っ白だった視界は開け、体育館よりもずっと大きな空間が姿をあらわにした。
何が起こったのか、と混乱しつつも周りを見渡すと周りも混乱しているのか、
キョロキョロと周りを見回している。
再び周りを見れば沢山の騎士のような人達がいる。


「ようこそ私達の『islandアイランド』へ」



   「へ?」

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