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1 フォレサクレ王国

閑話 マオリによる魔獣に関する考察

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この国は魔獣はおろか動物に関しても人々の関心は薄く、研究も北の端のモリーオ領で細々と続けられているのがやっとだ。

わたしは幸いモリーオ辺境伯夫人の遠縁であるために迷いの森の深部への立ち入りが許されている事と動物の気配を感じる才能があるために下級貴族であるにもかかわらず研究者となる事が出来た。それでも、魔獣に関しては分からないことばかりだ。

実のところ研究者よりもモリーオの猟師たちの方が魔獣には詳しい。
どの魔獣のどの部位が美味しいとか、どの部位が毒であり、時には薬になる、とか魔獣石の取り出し方や扱い方などが”常識”として伝えられているのだ。

磨けは宝飾品としてかなりの価値のある魔獣石もモリーオでは魔法石として生活魔法の源として使われている。実用品として使われているこの姿が本来の姿なのかもしれない。

この魔獣石は狩りで取り出す方法と自然死した魔獣から取り出す方法があり、この大きさによって魔獣のおおよその年齢がわかる。

もちろん長く生きた魔獣の方が大きな石が取れる。
仮説だが、個々の魔獣の体の中で魔獣石は大きくなり、その魔獣石を持て余すようになった時がその個体の寿命ではないかと言われている。

例えば、ロック大鷲は成長し重くなる魔獣石故に飛べなくなり獲物が取れなくなり死に至る。もしくは他の魔獣の獲物となる。

魔獣が寿命を迎える、あるいは他の動物や魔獣によって自然に帰った場合そこには魔獣石が残される。

ごく稀にだがモリーオの子供が拾った「すっごくきれいな石」が魔獣石である事がある。

ケルビンの末っ子が拾った「きれいな石」も魔獣石ではないかと思われながら、子供からの贈り物として暖炉の上に飾られていたらしい。

煮炊きにも使う暖炉だから、コドモトビネコが生まれる場所としてはかなり危険な場所であったのに、生まれてすぐにケルビンに見つけられたマダナは強運の持ち主だと言えよう。

マダナの強運はそれだけじゃない、ケルビンが領主にそれを報告した事、領主が国王に判断を委ねようと王城に向かった事、馬車でなく転移魔法で移動した事により膨大な魔力を受け取れた事、転移先がレーナ様の元であった事、このすべての偶然がなければマダナは生きていなかっただろう。

強運と言えば、わたしも同様だ。
マダナが城で命を長らえる事が出来、私の父のダイゴが立ち会っていたからこそわたしにマダナの世話係としての役目が回ってきたのだから。

貴族としては最低限の知識とマナーだが両親に強制的に身につけさせられていてよかったと今は両親に感謝している。

挨拶一つできないようでは、さすがに父も第二王位継承者の王女のメイドには推挙できなかっただろうからね。

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