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1 フォレサクレ王国
8 辺境伯からの
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「マー」
「あふー」
僕のあくびがレーナにうつったみたい。
「今日は少し早いですが、お休みになりますか?」
「そうね 今日は―」
トントントン
「レーナ」
ノックの音と一緒に男の人の声がする 王様に似てるけどちょっと違うよ レーナ大丈夫?ぼくはレーナの膝の上で身構えるけれど、レーナは躊躇なく指先を動かしてドアに迎えに走る。もちろん僕を抱えたままね。
「叔父様 いらっしゃいませ」
「レーナ レディの部屋にこんな時間に申し訳ないね」
「お会いできてうれしいですわ」
「私もだよ 猫ちゃんも元気そうでよかったよ」
辺境伯は僕をなでたいようだったけれど僕が嫌そうな顔をして見せたら手をひっこめた。よし、次の時には撫でさせてやろう。
「クローゼットは直してあるかい?」
「ふふ 扉が全壊でしたのよ 直さなければ使えませんわ」
「あの時は悪かった」
「アー」
辺境伯の眉を下げた顔が子供みたいで面白い
「それに 扉がなかったらマダナにドレスを破られてしまうもの」
レーナが微笑みながら軽く僕を睨むような目つきをした。本気じゃないよね?
「クローゼットを見せてもらってもいいかな?」
「もちろん ひら」
「おっと 閉まっている状態から確認したい」
「ええ どうぞ」
寝室のクローゼットの扉を辺境伯が厳しい顔で睨んでいる
「レーナ、君以外でこの扉に触るものがいるのかい?」
「いいえ。クローゼットはわたくしがいつも魔法で開け閉めしていますわ?」
レーナは首を傾げるけれど、僕は知らないメイドが扉を開けようとしていたのを知っている
「ナー ナー ナー」
二人が僕の方を見たから、僕はもっと鳴く
「ナー ナー」
だいぶ前だけど知らないメイドが開けようとしていたのを僕は見たんだよ!
「マダナのこの鳴き方は NO(ちがう)って言っているみたいですが?」
マオリが僕の鳴き方を解析するけど、知らないメイドがレーナの部屋に侵入した事をマオリは知らない。
あ!もしかして、僕がレーナの訓練について行くようになってからもあのメイドは来ていたのかもしれない。
辺境伯がレーナに抱かれた僕の顔の前まで屈んで、僕の顔を覗き込む
「マダナ、この扉をレーナ以外の誰かが開けようとしていたのを見たことがあるかい?」
「マー」
「マダナはその誰かを見たことがあるのね」
「マー」
体いっぱい動かして僕は肯定した。
「レーナ、扉を開けてくれるかな?」
「ええ 叔父様 開け」
レーナがクローゼットの扉を開けたのを見て僕は反射的にレーナの腕から飛び出してクローゼットに飛び込んでしまう。だって、そこからの魔力もドレスのヒラヒラもとってもとっても魅力的なんだもの
「マダナはクローゼットの中が大好きなの 困っちゃうわ」
「ふーむ このクローゼットの中にはアミカの魔力がまだ残っているし、レーナが開閉するときに魔力が流れ込むのだね おや この帽子は」
「以前、叔父様にいただいた帽子ですわ 今日はその帽子を被ってお散歩しましたのよ ふふふ」
「なるほど それで」
「なんですの?」
「第二継承者の王子を見かけたとか 辺境伯が子供を連れてきているのだろうとか いろいろな噂を聞いたけれど、レーナの仕業だな」
「さあ?なんのこどですの?
レーナと辺境伯が笑いあっている間に僕はこっそりとドレスと戦っていたつもりだけど、決着がつく前にレーナに抱き上げられてしまった。
残念無念!
「あふー」
僕のあくびがレーナにうつったみたい。
「今日は少し早いですが、お休みになりますか?」
「そうね 今日は―」
トントントン
「レーナ」
ノックの音と一緒に男の人の声がする 王様に似てるけどちょっと違うよ レーナ大丈夫?ぼくはレーナの膝の上で身構えるけれど、レーナは躊躇なく指先を動かしてドアに迎えに走る。もちろん僕を抱えたままね。
「叔父様 いらっしゃいませ」
「レーナ レディの部屋にこんな時間に申し訳ないね」
「お会いできてうれしいですわ」
「私もだよ 猫ちゃんも元気そうでよかったよ」
辺境伯は僕をなでたいようだったけれど僕が嫌そうな顔をして見せたら手をひっこめた。よし、次の時には撫でさせてやろう。
「クローゼットは直してあるかい?」
「ふふ 扉が全壊でしたのよ 直さなければ使えませんわ」
「あの時は悪かった」
「アー」
辺境伯の眉を下げた顔が子供みたいで面白い
「それに 扉がなかったらマダナにドレスを破られてしまうもの」
レーナが微笑みながら軽く僕を睨むような目つきをした。本気じゃないよね?
「クローゼットを見せてもらってもいいかな?」
「もちろん ひら」
「おっと 閉まっている状態から確認したい」
「ええ どうぞ」
寝室のクローゼットの扉を辺境伯が厳しい顔で睨んでいる
「レーナ、君以外でこの扉に触るものがいるのかい?」
「いいえ。クローゼットはわたくしがいつも魔法で開け閉めしていますわ?」
レーナは首を傾げるけれど、僕は知らないメイドが扉を開けようとしていたのを知っている
「ナー ナー ナー」
二人が僕の方を見たから、僕はもっと鳴く
「ナー ナー」
だいぶ前だけど知らないメイドが開けようとしていたのを僕は見たんだよ!
「マダナのこの鳴き方は NO(ちがう)って言っているみたいですが?」
マオリが僕の鳴き方を解析するけど、知らないメイドがレーナの部屋に侵入した事をマオリは知らない。
あ!もしかして、僕がレーナの訓練について行くようになってからもあのメイドは来ていたのかもしれない。
辺境伯がレーナに抱かれた僕の顔の前まで屈んで、僕の顔を覗き込む
「マダナ、この扉をレーナ以外の誰かが開けようとしていたのを見たことがあるかい?」
「マー」
「マダナはその誰かを見たことがあるのね」
「マー」
体いっぱい動かして僕は肯定した。
「レーナ、扉を開けてくれるかな?」
「ええ 叔父様 開け」
レーナがクローゼットの扉を開けたのを見て僕は反射的にレーナの腕から飛び出してクローゼットに飛び込んでしまう。だって、そこからの魔力もドレスのヒラヒラもとってもとっても魅力的なんだもの
「マダナはクローゼットの中が大好きなの 困っちゃうわ」
「ふーむ このクローゼットの中にはアミカの魔力がまだ残っているし、レーナが開閉するときに魔力が流れ込むのだね おや この帽子は」
「以前、叔父様にいただいた帽子ですわ 今日はその帽子を被ってお散歩しましたのよ ふふふ」
「なるほど それで」
「なんですの?」
「第二継承者の王子を見かけたとか 辺境伯が子供を連れてきているのだろうとか いろいろな噂を聞いたけれど、レーナの仕業だな」
「さあ?なんのこどですの?
レーナと辺境伯が笑いあっている間に僕はこっそりとドレスと戦っていたつもりだけど、決着がつく前にレーナに抱き上げられてしまった。
残念無念!
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