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19 最後の戦い
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体を起こそうとする彼に、フェルナンは焦った。
「ヴィクトル、無理をするな」
「もう大丈夫です」
言葉通り、ヴィクトルは立ち上がると、しっかりした足取りでリシャールの元へと歩み寄った。
「リシャール陛下には、申し訳ないことをいたしました。確かに、私とフェルナン殿下はパートナーです。悪党どもを捕らえる作戦として、関係を解消していました。これは私の独断で、殿下にも内緒にしていましたが……。ですが、寛大にもお許しをいただけるとのこと、感謝申し上げます。かくなる上は、殿下を幸せにいたします。神と精霊に、お誓い申し上げます」
「信じていますぞ」
リシャールが頷く。すると、パチパチと拍手が聞こえた。ジョルジュだった。拍手は、ベイルやカルノー、騎士たちの間にも広がっていく。熱い思いで胸がいっぱいになったフェルナンだったが、ふと気付いた。
「待て、精霊の皆様方は?」
周辺は、いつの間にか元通りになっている。そして、青い光も消えているではないか。すると、ジョルジュがけろりと答えた。
「お帰りいただきましたよ? ヴィクトル殿は助かりましたし、土地も綺麗になりましたから。お祖父様とラヴァルも、十分痛めつけられたみたいですし」
「お前っ。まだお礼を申し上げていないのだぞ、僕は!」
フェルナンは、目をつり上げた。
「お礼なら、兄様に代わって申し上げておきましたから」
「そういう問題では無い!」
コンとジョルジュの額を小突けば、その場には温かな笑いが広がったのだった。
「ヴィクトル、無理をするな」
「もう大丈夫です」
言葉通り、ヴィクトルは立ち上がると、しっかりした足取りでリシャールの元へと歩み寄った。
「リシャール陛下には、申し訳ないことをいたしました。確かに、私とフェルナン殿下はパートナーです。悪党どもを捕らえる作戦として、関係を解消していました。これは私の独断で、殿下にも内緒にしていましたが……。ですが、寛大にもお許しをいただけるとのこと、感謝申し上げます。かくなる上は、殿下を幸せにいたします。神と精霊に、お誓い申し上げます」
「信じていますぞ」
リシャールが頷く。すると、パチパチと拍手が聞こえた。ジョルジュだった。拍手は、ベイルやカルノー、騎士たちの間にも広がっていく。熱い思いで胸がいっぱいになったフェルナンだったが、ふと気付いた。
「待て、精霊の皆様方は?」
周辺は、いつの間にか元通りになっている。そして、青い光も消えているではないか。すると、ジョルジュがけろりと答えた。
「お帰りいただきましたよ? ヴィクトル殿は助かりましたし、土地も綺麗になりましたから。お祖父様とラヴァルも、十分痛めつけられたみたいですし」
「お前っ。まだお礼を申し上げていないのだぞ、僕は!」
フェルナンは、目をつり上げた。
「お礼なら、兄様に代わって申し上げておきましたから」
「そういう問題では無い!」
コンとジョルジュの額を小突けば、その場には温かな笑いが広がったのだった。
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