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17 通じ合えた思い

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「ヴィクトル!? ちょっと、待っ……」
「あなたが煽るからと、言ったでしょう」 
  太腿の辺りに、ヴィクトルのものが押し付けられる。たった今放出したばかりだというのに、それは早くも臨戦態勢で、フェルナンは目を剥いた。
「ヴィクトル! その、嫌ではないんだ。でも、少し休ませて……」
 すでに二度も射精した躰は、疲労困憊している。だがヴィクトルは、聞いているのかいないのか、サイドチェストの引き出しを乱暴に開けた。香油らしき瓶を取り出す。
「優しくしますからね。でも、『痛かったら言いなさい』」
 言い終えないうちに、蕾に硬い鋒が押し当てられた。フェルナンは、息を呑んだ。
(ずっと欲しくて、たまらなかったもの……)
 ゆっくりと、ヴィクトルが押し入ってくる。
「――! ふぅっ……!」
 ヴィクトルは、慎重に腰を押し進めてきた。潤滑油と前戯のおかげで、さほど痛みは感じない。とはいえ、圧迫感は相当なものだ。
「『ゆっくり、息をして』」
 フェルナンは、こくこくと頷くと、指示に従った。
「そう、上手ですよ……」
 みちみちと音を立てて、肉洞が押し広げられていく。辛くないわけではないが、ヴィクトルと一体になれた喜びの方が大きかった。
「……ふぅ。全部入りましたよ」
 ややあって、ヴィクトルが告げる。その声はため息交じりで、彼もまた、相当神経を使っていたことが感じられた。
 少しずつ、ヴィクトルが腰を揺すり始める。指と比べれば、質量は雲泥の差だ。ともすれば息を止めてしまいそうになるフェルナンを、ヴィクトルは、都度背中をさすっては励ましてくれる。気を紛らわせるためか、彼はフェルナンの乳首や果実も同時に弄った。やがて、異物感が薄れてくる。
「あ、あ、ヴィクトル……」
「お辛いですか?」
 ヴィクトルは、気遣わしげな声を上げると、抽挿を止めた。この状態での静止は、拷問に等しいだろうに、どれほど思いやってくれるのだろうか。
「違うん、だ……。お前の、顔が見たい……」
 そう告げた瞬間、フェルナンの中で、ヴィクトルがひときわ大きくなったのがわかった。ヴィクトルは、押し殺したような声で「では」と答えると、自身を引き抜いた。フェルナンを上向かせ、脚を広げる。
「フェルナン様……」
「今は、様を付けてくれるな。パートナーだろう、僕とお前は」
 微笑みながら手を伸ばせば、ヴィクトルの顔は、一瞬泣き出しそうに見えた。次の瞬間、彼が再び入って来る。首には、トロハイアで見た金鎖のチェーンが下がっていた。カラーとおそろいのようで、嬉しくなる。
 「フェルナン……。ああ、やっと私のものになってくださった……」
 もう自制が効かなくなったのか、ヴィクトルは激しい抽挿を開始した。フェルナンの弱点を狙っては、抉るように突き上げてくる。フェルナンも、負けじと腰を揺すって応えた。
「あっ、あっ、ああっ……」
「フェルナン、愛している……」 
  迸るようなその言葉からは、自然と敬語が取れていて。フェルナンは、たまらずヴィクトルの背にすがった。どちらからともなく唇を重ね、貪るように口づけを交わす。
「ヴィク、トル……。愛している……」
 絞り出すようにフェルナンが呟いたその瞬間、熱いものが中で弾けた。ほぼ同時に、フェルナンも達していた。
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