上 下
29 / 96
8 至福の時

4

しおりを挟む
 ヴィクトルが、また笑う。今度はサディスティックな笑みだった。
「お仕置き、と言っただけなのに。期待しすぎですよ」
 チラリと下方へ視線を送られて、フェルナンは赤くなった。フェルナンの腰回りを覆っているタオルは、緩やかに盛り上がっていて、誤魔化しようも無い。
「未来のレスティリア国王は、大変いやらしい躰をお持ちですね」
「――! それは……」
「違うとでも? では、証明してもらいましょうか。『タオルを取りなさい』」
 コマンドをもらえて嬉しい思いと、恥ずかしい気持ちとが交錯する。だが、言いつけには従わなければいけない。おずおずとタオルを取り去れば、フェルナンの果実はしっかりと存在を主張していて、ヴィクトルはくっくっと笑った。
「違わなかったようですね」
「……」
「ですが……、もう少し証明していただく必要がありそうだ」
 嫌な予感がした。ヴィクトルが、浴槽を指す。
「『縁に手を突いて、こちらへお尻を向けなさい』」
 かあっと、顔が熱くなる。要するに、全てが丸見えになるポーズだ。
(でも、これは罰だから)
 言われた通りの体勢を取り、ヴィクトルの方へ尻を突き出す。すると、鋭い声が響いた。
「『もっと脚を広げて』」
 同時に、軽く尻を叩かれる。スパンキング、というほどの強さは無い。王子を傷つけまいという理性を、ヴィクトルは常に保持しているようだった。
「そう……、よくできましたね。偉いですよ」
 指示通りに開脚すれば、賞賛の言葉がかけられた。温かいものが、胸に広がる。だが、それは束の間だった。
「――あうっ……!」
 ヴィクトルの指が、フェルナンの尻の狭間に侵入してきたのだ。先ほど髪に用いたオイルでも使ったのか、ほどよく濡れている。
「ああン! あっ、ああっ――……!」
 昨夜もプレイをしたせいか、フェルナンのそこは、恥ずかしいくらいにすんなりとヴィクトルの指を飲み込んだ。オイルらしき効果も手伝って、指は、あっという間にフェルナンの敏感な部分をとらえた。
「いやぁ、ヴィクトル、もうっ……」
 もはや恥も外聞も無く、フェルナンは腰を振ってもだえた。感じる部分を巧みに擦られれば、目には涙がにじんでくる。性器はすでに、腹に着かんばかりに反り返っていた。
「本当に、淫らでいらっしゃる……。恥ずかしくはないのですか? 次期国王ともあろうお方が、こんなお姿をさらして」
 そうさせたのはヴィクトルだというのに、彼は嘲るように囁く。その間も、指は蠢き続ける。いつの間にやら、二本に増えていた。
「ふふ。イキたそうですね」
 ヴィクトルの空いた手が、張り詰めきったフェルナンのものを、からかうようにひと撫でする。次の瞬間、シャラリという音がした。
「でも、まだダメですよ」
 フェルナンの眼前に、細いチェーンが垂らされる。ヴィクトルの首にかかっていたものだ。
(まさか……)
 そのまさかだった。ヴィクトルは、見せつけるようにそれを数回揺らすと、フェルナンの果実をとらえた。鎖で、根元を縛めていく。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

TOKIO

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:8

【BL】貴様の手の甲に誓いの口づけを

BL / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:240

マッチョサキュバス♂はご飯が食べたい

BL / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:232

汀の島

BL / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:14

双子は不吉と消された僕が、真の血統魔法の使い手でした‼

BL / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:1,363

スパダリ社長の狼くん

BL / 完結 24h.ポイント:241pt お気に入り:558

出来損ないの下剋上溺愛日記

BL / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:43

たった五分のお仕事です?

BL / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:663

声を失ったSubはDomの名を呼びたい

BL / 連載中 24h.ポイント:3,714pt お気に入り:905

処理中です...