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3 再会と監禁

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「逆に聞くが、お前はどうしたい?」
 桐ケ谷が尋ねる。思ってもみなかった質問に、純は戸惑った。
「学校に行きたかったと言っていたな。勉強は好きか?」
「はい! とても」
 すると桐ケ谷は、ふっと笑うと、純の手を取った。
「こっちへ来い」
 桐ケ谷は、純を部屋の外に連れ出した。そのまま、後に続けと言わんばかりにずんずん歩いて行く。風呂とトイレ以外で、外に出されたのは初めてだ。純は、きょろきょろと辺りを見回した。確かに、最初に泊まったマンションだ。あの時も広いと感じたが、改めて見回すと、驚くほど多くの部屋がある。
 やがて桐ケ谷は、ある部屋の前で立ち止まった。促され、足を踏み入れた純は、目を見張った。室内は、まるで図書館のごとく本で埋め尽くされていたのだ。
「ここには、俺が使ってきた本が全て置いてある。好きな時に出入りして、勉強するといい」
 桐ケ谷は、こともなげに言った。
「え、あの部屋から出ていい、ということですか?」
「ああ。もう見張りは付けない。この部屋だけでなく、キッチンや他の場所も自由に使っていいぞ」
「どうして……」
「世間的には、もうお前は死亡したことになっている。逃げ出したところで、まともな職には就けない。また違法売春をすれば、総理に見つかるのがオチだ。賢いお前なら、それくらいの判断はできると思ってな。……それにお前は、もう逃げない気がしたから。俺の勘だ」
 桐ケ谷は純を見つめると、微笑んだ。 
「お前は頭もいいし、度胸もある。学びたいなら、どんどん学べ。将来が楽しみだ」
「ありがとうございます!」
 純は思わず、頭を下げていた。桐ケ谷がどういうつもりなのかは、まだわからない。それでも純は、桐ケ谷に不思議な信頼感を抱き始めていた。
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