一年前の忘れ物

花房ジュリー

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勝負

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「レイの肌、すごく綺麗だ……」
 ベッドに玲を押し倒し、上半身を脱がせるなり、アレンは感嘆の声を上げた。
「レッスン中、いつも想像してた。この服を脱がせたら、どんなだろうって。思っていた以上だ。白くて、滑らかで。ずっと触っていたいよ……」
 言いながらアレンは、玲の首筋から鎖骨にかけて何度も口づける。玲は気恥ずかしくなり、思わず横を向いた。
 玲は身長こそ平均的だが、体格はかなり華奢だ。顔も、色白で中性的なせいか、中学高校時代はからかわれることもあった。密かにコンプレックスに感じていたことを、思いがけず手放しで褒められ、どうリアクションしていいか分からなくなったのだ。
「実はね、今日はやけ酒してたんだ。レイに恋人がいたと思い込んでたから、それがショックで。それに、レイの料理がもう食べられないと思うと、辛くて。おかしいよね、止めようって言ったのは僕の方なのに……」
 アレンの饒舌さに、玲は驚いていた。陽気なカーターと正反対に、アレンは普段寡黙だ。彼の口数が増えるのは、英会話への情熱を語る時だけだった。
 ――こういう時も、なんだ。
 誰も知らない彼の一面を垣間見た気がして、玲は思わず頬を緩めた。
「――んっ!」
 その時、アレンの指が玲の乳首を掠めた。反射的に声を上げそうになり、玲は口を手で覆った。
「どうして我慢するの?」
 アレンは微笑しながら、玲の手をそっと払いのける。玲は口を引き結んで、激しく首を横に振った。
「声、聞かせてよ。レイの感じてる声、聞きたい」
 ――そんなの、できるわけ無い。
 倉木との時、玲はいつも声を我慢していた。男が喘ぐなんて、考えただけで恥ずかしくて、できなかった。
「強情だなあ……。こうなったら、勝負しよう? どこまで、我慢できるか」
 アレンは長い指で玲の乳首を器用にこねくり回しながら、もう片方の乳首を口に含み、舌を使い始めた。時折玲の表情を窺い見ては、反応を確かめているのが分かる。玲は必死で唇を噛んで耐えたが、アレンの愛撫は絶妙だった。無意識に、腰が揺れるのが分かる。
 その時、玲ははっとした。アレンはいつの間にか、もう片方の手を玲のジーンズの中に忍び込ませていたのだ。下着越しに軽く握られただけで、体がビクンと跳ねる。
「こうして欲しそうだったから」
 そう言って笑うアレンは、余裕の表情だ。恥ずかしさと快感で、玲は思わず涙ぐんだ。キッと睨み付けると、アレンは愛おしげに玲の髪を撫でた。
「レイ、その顔、可愛すぎ……」
 気が緩んだのも束の間、アレンの手が玲の下着の中にするりと入りこんできた。彼の指が直接それに絡んだ瞬間、玲は耐え切れずに声を上げていた。
「あああっ……」
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