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第十一章 最強魔法対決!
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「ひえっ……!」
アルマンティリアの騎士たちが、悲鳴を上げる。だが次の瞬間、さらにとんでもないことが起きた。フィリッポが何事か呟いたとたん、目の前に巨大な壁が出現したのだ。土でできた、十メートル近い高さの代物である。それは、岩の攻撃を避けるだけでなく、アルマンティリア側とホーセンランド側を完全に分離した。
「フィリッポ様! さすがです」
「助かりました!」
騎士たちは、口々にフィリッポに礼を述べたが、ルチアーノは険しい表情を崩さなかった。
「油断するな。これで怯む相手ではない」
ルチアーノの言葉に、皆はハッとしたように沈黙した。剣を手に、一斉に構えの姿勢を取って待機する。案の定、しばらくして、壁の向こうで轟音が聞こえた。
(今度は何だ!? この壁を、破壊しに来るとか……?)
だが、次に起こった出来事は、真純のそんな予想を遥かに上回るものだった。高い壁の向こうから、ホーセンランドの兵士たちが姿を現したのだ。風に乗り、こちら側へなだれ込んで来る。
(風魔法で、兵士たちを押し上げた!? この高さを!?)
ホーセンランド軍は、剣を手に、頭上から襲いかかって来る。アルマンティリアの騎士たちも応戦の姿勢を見せたが、その時真純はハッとした。
ホーセンランドの兵士たちが持っているのは、ただの剣では無かったのだ。どの剣も、刃先に炎が渦巻いている。
(火魔法を付加した!?)
あんな剣で刺されたら、誰もひとたまりも無いだろう。真純は、とっさに呪文を唱えた。最初に覚えた、水を発生させる呪文だ。
「わああああっ」
とたんに、ホーセンランド勢の悲鳴が上がった。空から大量の水が降って来て、彼らを襲ったのだ。彼らは、瞬く間にずぶ濡れになった。もちろん、剣先の炎も全て消え失せる。
「マスミさん、お見事です。ついでに、前回と同じ手法を使いましょう」
フィリッポは、真純にウィンクすると、一つ呪文を唱えた。聞き覚えのある呪文だった。砂嵐を起こすものだ。水と合体して、それはたちまち泥に変貌した。
「ぎゃあっ」
「ひえーっ」
風の勢いに乗って、ちょうと着地しようとしていた兵士らは、ぬかるみに足を取られ、次々と転倒していった。それを見たアルマンティリアの騎士たちは、プッと噴き出した。
(ちょっと、気の毒だったかな……)
だが、あれこれ考えている暇は無かった。目の前の壁が、メリ、と音を立てたのだ。フィリッポが、慌てた様子で呪文を唱えかけるが、間に合わなかった。壁が、あっという間に崩れ落ちていく。その向こうには、目を血走らせたセバスティアーノが立っていた。
「土壁を作ったくらいで、いい気になるな。崩壊の術を使ったわ」
間近で見る、まなじりを吊り上げたセバスティアーノの表情には鬼気迫るものがあり、荒々しい気性という噂を実感させた。一見穏やかなエリザベッタ王妃とはあまり似ていないな、とこんな状況なのに思ってしまう。
「そのお言葉、そっくりお返ししよう」
そう言うとルチアーノは、アルマンティリア勢に向かって叫んだ。
「かかれ。剣で勝利するのだ!」
ルチアーノを先頭に、アルマンティリアの騎士たちは、ホーセンランド勢へ斬りかかろうとした。だが次の瞬間、またもや強風が起こった。全員の剣が、あっという間に空中へ舞い上がっていく。真純は、あっと思った。
(風魔法。前、クオピボでルチアーノ殿下が使われた方法だ……!)
ルチアーノが、慌てたように何かの呪文を唱える。逆向きの風を起こして、剣を取り戻そうとしたのだろう。しかし、浮かんだ数十の剣は、元には戻らなかった。空中に静止したままだ。さらに次の瞬間、真純は目を剥いた。全ての剣が、突如形を変えたのだ。ぐにゃりと崩壊していく。まるでアイスクリームが溶けるかのようだった。
アルマンティリアの騎士たちが、悲鳴を上げる。だが次の瞬間、さらにとんでもないことが起きた。フィリッポが何事か呟いたとたん、目の前に巨大な壁が出現したのだ。土でできた、十メートル近い高さの代物である。それは、岩の攻撃を避けるだけでなく、アルマンティリア側とホーセンランド側を完全に分離した。
「フィリッポ様! さすがです」
「助かりました!」
騎士たちは、口々にフィリッポに礼を述べたが、ルチアーノは険しい表情を崩さなかった。
「油断するな。これで怯む相手ではない」
ルチアーノの言葉に、皆はハッとしたように沈黙した。剣を手に、一斉に構えの姿勢を取って待機する。案の定、しばらくして、壁の向こうで轟音が聞こえた。
(今度は何だ!? この壁を、破壊しに来るとか……?)
だが、次に起こった出来事は、真純のそんな予想を遥かに上回るものだった。高い壁の向こうから、ホーセンランドの兵士たちが姿を現したのだ。風に乗り、こちら側へなだれ込んで来る。
(風魔法で、兵士たちを押し上げた!? この高さを!?)
ホーセンランド軍は、剣を手に、頭上から襲いかかって来る。アルマンティリアの騎士たちも応戦の姿勢を見せたが、その時真純はハッとした。
ホーセンランドの兵士たちが持っているのは、ただの剣では無かったのだ。どの剣も、刃先に炎が渦巻いている。
(火魔法を付加した!?)
あんな剣で刺されたら、誰もひとたまりも無いだろう。真純は、とっさに呪文を唱えた。最初に覚えた、水を発生させる呪文だ。
「わああああっ」
とたんに、ホーセンランド勢の悲鳴が上がった。空から大量の水が降って来て、彼らを襲ったのだ。彼らは、瞬く間にずぶ濡れになった。もちろん、剣先の炎も全て消え失せる。
「マスミさん、お見事です。ついでに、前回と同じ手法を使いましょう」
フィリッポは、真純にウィンクすると、一つ呪文を唱えた。聞き覚えのある呪文だった。砂嵐を起こすものだ。水と合体して、それはたちまち泥に変貌した。
「ぎゃあっ」
「ひえーっ」
風の勢いに乗って、ちょうと着地しようとしていた兵士らは、ぬかるみに足を取られ、次々と転倒していった。それを見たアルマンティリアの騎士たちは、プッと噴き出した。
(ちょっと、気の毒だったかな……)
だが、あれこれ考えている暇は無かった。目の前の壁が、メリ、と音を立てたのだ。フィリッポが、慌てた様子で呪文を唱えかけるが、間に合わなかった。壁が、あっという間に崩れ落ちていく。その向こうには、目を血走らせたセバスティアーノが立っていた。
「土壁を作ったくらいで、いい気になるな。崩壊の術を使ったわ」
間近で見る、まなじりを吊り上げたセバスティアーノの表情には鬼気迫るものがあり、荒々しい気性という噂を実感させた。一見穏やかなエリザベッタ王妃とはあまり似ていないな、とこんな状況なのに思ってしまう。
「そのお言葉、そっくりお返ししよう」
そう言うとルチアーノは、アルマンティリア勢に向かって叫んだ。
「かかれ。剣で勝利するのだ!」
ルチアーノを先頭に、アルマンティリアの騎士たちは、ホーセンランド勢へ斬りかかろうとした。だが次の瞬間、またもや強風が起こった。全員の剣が、あっという間に空中へ舞い上がっていく。真純は、あっと思った。
(風魔法。前、クオピボでルチアーノ殿下が使われた方法だ……!)
ルチアーノが、慌てたように何かの呪文を唱える。逆向きの風を起こして、剣を取り戻そうとしたのだろう。しかし、浮かんだ数十の剣は、元には戻らなかった。空中に静止したままだ。さらに次の瞬間、真純は目を剥いた。全ての剣が、突如形を変えたのだ。ぐにゃりと崩壊していく。まるでアイスクリームが溶けるかのようだった。
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