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第六章 魔物なんて狩れません!
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「なるほど。それを成功なさったということは、殿下は風属性の魔術師であられたのですね」
フィリッポは、満面の笑みを浮かべた。
「これで、風火水土がそろったではないですか! 最近のアルマンティリア王国が良き方向へ向かっているのは、きっとそのせいでしょう」
ルチアーノは、怪訝そうな顔をした。
「火が、どこにいると?」
「そのことですが。殿下に、ご報告がございます」
ジュダは、ベゲットの息子が生きているかもしれないという話をルチアーノに語った。ルチアーノが、目を丸くする。
「まことか。この短期間で、よくそれだけ調べたものだ。ジュダ、よくやった」
「ベゲット様のご子息なら、きっと火属性でしょうから。恐らくは、水属性のマスミさんがこの世界へ来られたことで、風火水土が完成したのですよ」
フィリッポは舞い上がっているが、ルチアーノは手放しで喜ぶことはしなかった。
「……しかし、ベゲット殿の息子が今も生きているとは、限らぬであろう」
「私は、生きている気がしますが」
ジュダは、身を乗り出した。
「赤子の遺体を置くようユリアーノに命じたのがパッソーニにせよ王妃陛下にせよ、その者は、ニトリラが焼き討ちに遭うことを知っていました。放っておけば、赤子は火災で亡くなったはず。それなのに、わざわざ手の込んだ真似をしたのは、赤子を救いたかったからでしょう」
「となると、パッソーニの可能性は消えるな。王妃陛下か? だが、ベゲット殿のご子息を手に入れて、彼女はどうしようというのだ?」
ルチアーノが、首をひねる。真純は、恐る恐る口を挟んだ。
「あの。僕なりに、考えたのですが。偽遺体をユリアーノさんに置かせた人と、ベゲットさんの息子さんを連れ出した人は、別人なんじゃないでしょうか」
三人が、いっせいに真純に注目する。ルチアーノは、じっと真純を見つめた。
「つまり?」
「ずっと疑問だったんです。禁呪をかけたら命を落とすと、ベゲットさんはよく知っていた。それなのに、遺される息子さんのことは考えなかったんでしょうか。それも、生後間もない赤ちゃんですよ? 僕が彼の立場なら、信頼できる人に、息子さんを託すと思います」
ルチアーノは、ははあという顔をした。
「こういうことか。ユリアーノが偽遺体を持ってベゲット宅に忍び込んだ時、息子の姿が無かったというのは、ベゲット殿が誰かに託したからだと。偽遺体を置くよう命じた者は、それを知っていて、息子が死んだように偽装する必要があった者だ」
ジュダが、指を鳴らす。
「パッソーニの手下ですね? 父子を殺すようパッソーニに命じられたのに、取り逃がしたとなれば、責任を問われてしまう。それを免れようと、偽の赤子の遺体を用意したのでしょう」
フィリッポは、顔を輝かせた。
「では、つまり……。ベゲット様のご子息は、どなたか信頼できる方の元にいらっしゃる、ということですね?」
「あくまで、想像ですけど」
真純は補足した。ルチアーノが、顎に手を当てて考え込む。
「子は親の属性を引き継ぐ、と言うな。つまりその息子が生きていたら、火属性……。迎えられたら、大きな戦力になるな」
そう言いつつも、ルチアーノの表情はどこか浮かなかった。フィリッポが、焦れったそうな顔をする。
「是非、捜しましょう! 殿下、どうしてそんなお顔をなさるのです? 風火水土がそろえば……」
言葉の途中で、フィリッポははっとしたように口をつぐんだ。真純、ジュダと顔を見合わせる。三人とも同じことを考えたようだった。
(パッソーニは、風属性を自称している……)
フィリッポは、満面の笑みを浮かべた。
「これで、風火水土がそろったではないですか! 最近のアルマンティリア王国が良き方向へ向かっているのは、きっとそのせいでしょう」
ルチアーノは、怪訝そうな顔をした。
「火が、どこにいると?」
「そのことですが。殿下に、ご報告がございます」
ジュダは、ベゲットの息子が生きているかもしれないという話をルチアーノに語った。ルチアーノが、目を丸くする。
「まことか。この短期間で、よくそれだけ調べたものだ。ジュダ、よくやった」
「ベゲット様のご子息なら、きっと火属性でしょうから。恐らくは、水属性のマスミさんがこの世界へ来られたことで、風火水土が完成したのですよ」
フィリッポは舞い上がっているが、ルチアーノは手放しで喜ぶことはしなかった。
「……しかし、ベゲット殿の息子が今も生きているとは、限らぬであろう」
「私は、生きている気がしますが」
ジュダは、身を乗り出した。
「赤子の遺体を置くようユリアーノに命じたのがパッソーニにせよ王妃陛下にせよ、その者は、ニトリラが焼き討ちに遭うことを知っていました。放っておけば、赤子は火災で亡くなったはず。それなのに、わざわざ手の込んだ真似をしたのは、赤子を救いたかったからでしょう」
「となると、パッソーニの可能性は消えるな。王妃陛下か? だが、ベゲット殿のご子息を手に入れて、彼女はどうしようというのだ?」
ルチアーノが、首をひねる。真純は、恐る恐る口を挟んだ。
「あの。僕なりに、考えたのですが。偽遺体をユリアーノさんに置かせた人と、ベゲットさんの息子さんを連れ出した人は、別人なんじゃないでしょうか」
三人が、いっせいに真純に注目する。ルチアーノは、じっと真純を見つめた。
「つまり?」
「ずっと疑問だったんです。禁呪をかけたら命を落とすと、ベゲットさんはよく知っていた。それなのに、遺される息子さんのことは考えなかったんでしょうか。それも、生後間もない赤ちゃんですよ? 僕が彼の立場なら、信頼できる人に、息子さんを託すと思います」
ルチアーノは、ははあという顔をした。
「こういうことか。ユリアーノが偽遺体を持ってベゲット宅に忍び込んだ時、息子の姿が無かったというのは、ベゲット殿が誰かに託したからだと。偽遺体を置くよう命じた者は、それを知っていて、息子が死んだように偽装する必要があった者だ」
ジュダが、指を鳴らす。
「パッソーニの手下ですね? 父子を殺すようパッソーニに命じられたのに、取り逃がしたとなれば、責任を問われてしまう。それを免れようと、偽の赤子の遺体を用意したのでしょう」
フィリッポは、顔を輝かせた。
「では、つまり……。ベゲット様のご子息は、どなたか信頼できる方の元にいらっしゃる、ということですね?」
「あくまで、想像ですけど」
真純は補足した。ルチアーノが、顎に手を当てて考え込む。
「子は親の属性を引き継ぐ、と言うな。つまりその息子が生きていたら、火属性……。迎えられたら、大きな戦力になるな」
そう言いつつも、ルチアーノの表情はどこか浮かなかった。フィリッポが、焦れったそうな顔をする。
「是非、捜しましょう! 殿下、どうしてそんなお顔をなさるのです? 風火水土がそろえば……」
言葉の途中で、フィリッポははっとしたように口をつぐんだ。真純、ジュダと顔を見合わせる。三人とも同じことを考えたようだった。
(パッソーニは、風属性を自称している……)
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