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再び週末

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今週はお昼の仕事だったが青木のお陰で愛美は楽しく働けた。
あれから、紡の死に繋がるモノも見る事は無く。
きっとまだあるのだろうという不安はあるが、何かあるならきっと、仏壇の前で線香を上げて拝んだ時に教えてくれるから、大丈夫だ、と日々を過ごした。

今日は約束の週末だから、公園で山野を待つ。
紡がせがんで早く出た為、愛美と紡は待ち合わせの時間より少し早く着いてしまったのだ。
紡は機嫌良く砂場で遊んでいる。

「ママー、きてー……っつ」

砂で上手に山を作って幸恵である愛美を笑顔で呼びながらコッチを見たが、急にその顔が凍りついた。

「ん?どうしたの?紡くん?」

気になって歩み寄ろうとした愛美の足元に紡は駆けてきて抱き着くというよりも、しがみ付いた。

「えっ?どうしたの?大丈夫?具合悪い?」

背中を掌でさすって聞いても何も答えない。

「どうした?寒いのか?紡」

突然、柔軟剤の香りがするほど近くから、男の人の声。
振り返れば、物腰柔らかで目元の涼やかな、如何にも優しそうな男性が背後に立っていた。

「甘えん坊だなぁ、紡は」

声だって、とっても柔らかく優しいのに、なのに、どうして愛美は、いや、松本幸恵の身体は小刻みに震え、全身から冷たい汗を吹き出し、喉は絞められたように苦しく一言も発せられないのだろう。

「ほら、ママ、困ってるだろ。パパが抱っこしてあげるよ」

パパ?って事はこの人が元旦那?
こんなに全身で紡を抱えて逃げ出したいといってこの人を、拒絶しているのに?

手が子供に伸びて来る。

ダメって言ってこの子を抱えて駆け出さないとならないのに、心臓ばかりが煩くて、震えるばかりの身体は最早、捕まってしまったように動かない。

せっかく、この子達だけでも守らなきゃと思ってこの人から逃げ出したのに。
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