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233番
第四話 ひまつぶし
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ご飯を食べ終わり周りの幼児達がお昼寝し始めたころ233番は眠る気になれず何か暇をつぶせるものはないかと辺りをきょろきょろしていた。
「どうしたんだいお前さん。まぁた眠たくないのかい。」
肯定の旨を伝えるため233番はこくりと頷く。
「お人形とかないんですかここ。」
他の幼児達が大人しく寝たのを確認したセイラが233番ベッドに近づきながらコニーに尋ねる。
「そんなもんここにあるわけないさね。」
「確かにそうですよね。うーん。」
眉間にシワを寄せながらも腑に落ちたセイラは頷いてから顎に手を当て考えるように唸る。
「あ、そうだ。」
ふとコニーが何かを思い出し、部屋の奥にあるキッチンのそのまた更に奧にある備品倉庫に行く。
数秒して手に四角い半透明の板を持って戻ってきた。
「これはこの施設にいる学者が作った物さ。なんでも脳は刺激を与えると賢くなるとかだったかね。忘れたけどまぁ学習に役立つ遊びがいくつか入ってるおもちゃさね。」
コニーは半透明の板をトントンと二回叩くと板に絵や文字が浮かび上がってきた。
前世の記憶を持っている233番はタブレットを思い出していた。
笑美の家にもタブレットはあった。元は母親の私物で昔は母に借りて遊んだりもしていたが、離婚を機に母親の態度が一変し二度と触れることは無かった。
前世の苦い思い出がフラッシュバックしそうになるのを頭を左右に小さく振り考えないようにする。
タブレットのような板を目の前に置いてもらった233番はジッとその画面を眺め考え込んでいた。
(もじ…ちがう。むずかしいかんじっぽいのもない…ひらがなもかたかなもない。……よめないじゃんっ!)
笑美時代にも文字は平仮名と片仮名しか読めなかった233番だがその二つと漢字の区別くらいは余裕で出来ていた。だからこそ233番は自信を持って目の前にある文字が元々自分の知っている文字じゃないと言えた。
暇をつぶせると思ったのに文字が読めないんじゃ何を押せば何が開くのか全くわからない。硬直している233番を見て不思議そうに首をかしげるコニー。
「なんだい。せっかく持ってきてやったのに遊ばないのかい。」
少し不服気味にコニーは口を尖らせた。
「あ、233番ちゃん文字が読めないんじゃ…」
セイラの名推理に233番は勢いよくセイラの方を向き頭を上下にコクコクと動かす。
「ふふっ。だ、そうですよ。」
「うーん、しょうがない子だね。確か文字を使わずにする遊びがあったはず。」
板をポチポチと操作すると色々な果物の絵が散りばめられている画面が表示される。
「果物の絵がいっぱいあるのが見えるかい。それぞれ二個ずつしかないから同じ種類の絵を探して、それぞれを押していくと消えて点数が入るんだよ。制限時間内に全部消すのがクリア条件だよ。」
(ふるーつのぺあをつくるってこと?エミでもできそう。)
「わかったかい。徐々に絵の種類が増えたり制限時間が短くなったりで難しくなるからね。」
コニーに向かってコクコクと頷く。
「じゃぁ私達は昼食を取ってくるから何か困ったら小さめに声を出しな。多分気づくから。あまり大きかったりさっきみたいに柵を叩いたら他の子が起きちまうからするんじゃぁないよ。」
もう一度頷きポチポチとゲームを始める。順調そうなことを確認してからコニーとセイラはキッチンで自分たちの昼食の準備をし始めた。
「どうしたんだいお前さん。まぁた眠たくないのかい。」
肯定の旨を伝えるため233番はこくりと頷く。
「お人形とかないんですかここ。」
他の幼児達が大人しく寝たのを確認したセイラが233番ベッドに近づきながらコニーに尋ねる。
「そんなもんここにあるわけないさね。」
「確かにそうですよね。うーん。」
眉間にシワを寄せながらも腑に落ちたセイラは頷いてから顎に手を当て考えるように唸る。
「あ、そうだ。」
ふとコニーが何かを思い出し、部屋の奥にあるキッチンのそのまた更に奧にある備品倉庫に行く。
数秒して手に四角い半透明の板を持って戻ってきた。
「これはこの施設にいる学者が作った物さ。なんでも脳は刺激を与えると賢くなるとかだったかね。忘れたけどまぁ学習に役立つ遊びがいくつか入ってるおもちゃさね。」
コニーは半透明の板をトントンと二回叩くと板に絵や文字が浮かび上がってきた。
前世の記憶を持っている233番はタブレットを思い出していた。
笑美の家にもタブレットはあった。元は母親の私物で昔は母に借りて遊んだりもしていたが、離婚を機に母親の態度が一変し二度と触れることは無かった。
前世の苦い思い出がフラッシュバックしそうになるのを頭を左右に小さく振り考えないようにする。
タブレットのような板を目の前に置いてもらった233番はジッとその画面を眺め考え込んでいた。
(もじ…ちがう。むずかしいかんじっぽいのもない…ひらがなもかたかなもない。……よめないじゃんっ!)
笑美時代にも文字は平仮名と片仮名しか読めなかった233番だがその二つと漢字の区別くらいは余裕で出来ていた。だからこそ233番は自信を持って目の前にある文字が元々自分の知っている文字じゃないと言えた。
暇をつぶせると思ったのに文字が読めないんじゃ何を押せば何が開くのか全くわからない。硬直している233番を見て不思議そうに首をかしげるコニー。
「なんだい。せっかく持ってきてやったのに遊ばないのかい。」
少し不服気味にコニーは口を尖らせた。
「あ、233番ちゃん文字が読めないんじゃ…」
セイラの名推理に233番は勢いよくセイラの方を向き頭を上下にコクコクと動かす。
「ふふっ。だ、そうですよ。」
「うーん、しょうがない子だね。確か文字を使わずにする遊びがあったはず。」
板をポチポチと操作すると色々な果物の絵が散りばめられている画面が表示される。
「果物の絵がいっぱいあるのが見えるかい。それぞれ二個ずつしかないから同じ種類の絵を探して、それぞれを押していくと消えて点数が入るんだよ。制限時間内に全部消すのがクリア条件だよ。」
(ふるーつのぺあをつくるってこと?エミでもできそう。)
「わかったかい。徐々に絵の種類が増えたり制限時間が短くなったりで難しくなるからね。」
コニーに向かってコクコクと頷く。
「じゃぁ私達は昼食を取ってくるから何か困ったら小さめに声を出しな。多分気づくから。あまり大きかったりさっきみたいに柵を叩いたら他の子が起きちまうからするんじゃぁないよ。」
もう一度頷きポチポチとゲームを始める。順調そうなことを確認してからコニーとセイラはキッチンで自分たちの昼食の準備をし始めた。
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