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閑話 サイカ、教祖になる?
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「今日もいい天気だなサイカ。」
「はい、お義父様!朝の澄んだ空気も気持ちいいです…。」
「その…飽きたりしてはいないか?」
「飽きる?どうしてですか?
こうしてお義父様と散歩出来るのは嬉しいですし、この時間が私は大好きです。もう何度も歩いているこの庭だって、同じように見えて毎日ちょっとした変化もありますし。鳥が巣を作っていたり、雛が生まれていたり。」
「はは、そうかそうか…!そうだな!」
時刻は早朝六時。
クライス邸で朝食が始まる時間までの間、クライス侯爵とサイカ様、二人の庭での散歩を見守る。
「……ああ、今日もサイカ様が美しい…。」
「見ろよあの神々しいまでの美しさ…。朝日に照らされて全身が輝いてる…。」
「レジーヌさんが朝からはしゃぐ理由も分かるよね…。
いいなー…寝起きのサイカ様…見てみたい…。」
「笑顔が可愛すぎるだろ。クライス侯爵様が心の底から羨ましいわ…。」
「いや、俺は陛下の方が羨ましいよ…。あんな可愛いサイカ様を嫁に出来るんだぜ…?俺サイカ様に“あなた”とか言われたら一瞬で心臓止まる自信があるんだけど。」
クライス領地はレスト帝国の中でもかなり広大な領地を持っている。
一番は敗戦国そのままを与えられたクラフ公爵領だけど、クラフ公爵領に次いで二番目に大きい領土を国から賜った。
領地を持っている貴族には大体私兵がいて、まあ私兵と言っても色々階級もある。要は騎士みたいな存在と一般の兵士みたいな。広大な領地だからかなりの人数だ。
屋敷を警護している俺たちは全員、このクライス侯爵領で生まれ育った奴らばかり。
そして自慢ではないけどクライス邸へ配属された俺たちは侯爵お抱えの私兵だった。
総勢八十人が日中と夜間の交代制で警護に励んでいる。
一つの屋敷を警護するにしては多少多く感じる人数ではあるものの、守る対象がサイカ様だと知って納得した。
『俺の娘を必ず守れ。どんな危険からも。』
強い口調でそう言ったクライス侯爵。
俺たちの敬愛する領主の、厳しい視線。
敬愛する主の、大切な義娘であるサイカ様に初めて会った瞬間、体中を稲妻が駆け巡った。
『うっそだろ目の前に絶世の美女がいるんだけど絶世の美女って絶滅した伝説の存在ですよねなのにどゆこと!?』
その時の俺は心の中で思った言葉が口に出ていたみたいで…侯爵には溜め息を吐かれサイカ様には笑われた。
でもその事があってサイカ様は俺の名前を一番に覚えてくれたみたいだった。
サイカ様みたいな女性には出会った事がない。
侯爵と同じく、俺たちが仕える主という立場でありながら…それはそれはもう底無しに優しい。誰に対しても態度を変えたりしない。
敬愛する侯爵と同じく、何に対しても感謝を忘れないし、俺たちにも屋敷の使用人たちの事もいつも労ってくれる。
まるで小動物のように可愛らしくちょこちょこと屋敷中を動いて、サイカ様のいる場所はすごく明るい笑顔に包まれる。
『レナード、今日も宜しくお願いしますね。』
『レナード、お疲れ様です。』
『レナード、ありがとう。』
そんな言葉を掛けられるたびむずむずとこそばゆい。
側にいると嬉しい。楽しい。俄然仕事に遣り甲斐が出た。
サイカ様は陛下の婚約者。そんな事は分かっているし、この感情は恋というよりそう、崇めているものに近い。
もう兎に角、会うたびサイカ様が尊くてたまらないわけなのだ。俺は。
クライス侯爵とサイカ様、二人の庭散歩はこの屋敷の警護を強化してから何度も見た光景だけど、サイカ様は侯爵の手を握ってはいつも嬉しそうに笑っている。
飽きる事なんてない。毎日同じようで違うし、侯爵と過ごせるこの時間が楽しいとそう伝えるサイカ様…クライス侯爵は堪らないだろうなあ…。俺も堪らない気持ち…。
「んんっ、……サイカ様が今日も可愛いっ……尊いっ…!!」
「出たよ。レナードの発作。」
「あ?まだ今日は一回目だろ?」
「いや…今日これで三回目の発作だ。」
「うっそだろおい。まだ始まったばかりだぞそんなんでどうすんだよ。」
「気持ちは分かるけど抑えるんだレナード。
お供出来なくなるぞ。それでもいいのか。」
「いいわけない!」
「お、立ち直った。」
帝都へ向かうサイカ様のお供は護衛の中で尤も誉れな任務。
ご褒美と言ってもいい!帝都までの二日間、帝都からクライス邸までの更に二日間、四六時中、それこそおはようからおやすみまでサイカ様を見守れる貴重かつ大切な仕事。
発作如きでご褒美を逃してなるものか…!!
「今日から帝都だったな。」
「はい!…でも、お義父様は仕事なんですよね…?」
「その事だが…昨日終わらせた。まあ、マティアスはがっかりするだろうが一緒に行こう。」
「!!はいっ、嬉しいです…!」
「はは、そうか。喜んでくれるか…!お前の事はこの父が守ってやるからな。」
「では今回はお義父様もいるし護衛の皆も居てくれるし、いつも以上に安心安全の旅になりますね!」
俺はサイカ様のその満面の笑顔を守りたいです侯爵。
「あああああ、尊い……サイカ様尊いよ…!」
「同意しかない。」
「同じく。」
「全く同じく。」
「今日からのお供が俄然楽しみだな。」
正直毎日が薔薇色。この仕事に就いてて本当に良かった。
クライス侯爵は尊敬するし敬愛もしているし、そして新たに守るべき対象となったサイカ様は女神だし女神だし女神だしで毎日俺は乙女のように胸を高鳴らせている。(同僚たちはそれを発作と呼んでいる)
サイカ様が毎日優しくて美しくて可愛くて愛らしくて尊くて。
サイカ様を守って死ねるなら護衛として本望だ。
「…俺、いつかサイカ様を守って死ぬんだ。
危険に陥ったサイカ様を最後の最後まで守って……レナード死なないでって涙を流すサイカ様に手を握られながら看取られて死ぬのが夢なんだ…。」
「壮大な夢だな。」
「ね。どういう状況なのそれ。」
「以前まで可愛い嫁を貰うのが夢だって言ってなかったか?」
「いや。戦争に巻き込まれたどっかの国の美しい王女と運命的な出会いを果たし恋に落ちるのが夢って言っていたと思う。」
「そんな運命的な出会いは絶対にない。」
同僚たちが何か言っているけどいいじゃないか。夢をいくつ持ったって。
時々発作を起こす俺をやいやい言っているこの同僚たちだってサイカ様が好きで好きで好きで好きで堪らない連中だ。
休みの日はゆっくり休めばいいのに、休みの日に各々が態々差し入れを持ってくるのもサイカ様を一目見れたらなという打算があっての事。
屋敷を警護するにも日々で担当する場所が違う。
屋敷の外を担当するのは外れ。サイカ様を見守れる時間が少ない。
庭はまあ…当たり外れがある。散歩してたら天国、散歩しなければ地獄ってとこ。
屋敷内は当たり。その日一日サイカ様を頻繁に見られる。
帝都への護衛は大当たり。四日間はお側に居られる。
屋敷内の警護になった時、同僚の一人はダイニングで朝食を食べるサイカ様を見てにっこにこだった。普段涼しい顔をしているそいつの、見たこともないにっこにこの笑顔に俺は引いた。
帝都までの護衛に指名された時は五人で胸の前で手を組み神に感謝を捧げたものだ…。
「シグルド、ベンジャミン、アレス、ジェイク、レナードは俺とサイカが乗る馬車周辺の警護を頼む。」
「皆いつもありがとう。宜しくお願いします。」
『はっ!!お任せ下さい!!』
俺たち五人はクライス侯爵の私兵の中でもそこそこ実力があるので五人一組で動く事が多い。
厳しい鍛練にも励まし合いながら、競い合いながら成長してきたので絆も結構深い…と俺は思っている。
この五人ならどんな相手にも勝てそうな気がするし、安心して背中を、命を預ける事が出来る。頼もしい同僚でもあり、よき理解者でもあり、かけがえのない友でもあり…
「いつもありがとうだってよ…俺らの方こそありがとうだよな…。」
「宜しくとも言われた……超頑張るしかない…。」
「微笑みが眩しい…」
「一瞬呼吸が止まった。」
「…………尊過ぎて死ねる…本望…。」
そして全員がサイカ様の信者だった。
クライス領から帝都へ。二日間は天国だった。
道中何事もなく途中で滞在する町に辿り付くとクライス侯爵家の馬車だと気付いた町の人たちが遠巻きに集まる。
もう何度もこの町に訪れ、この宿を利用しているので誰が乗っているのか皆分かっているんだと思う。
陛下の婚約者として公になったサイカ様は姿を隠す事なく、先に降りたクライス侯爵に手を取られ馬車を降りる。
サイカ様が姿を現した時にわあっ!と周りから歓声が起こるものもう馴れた。
サイカ様は微笑みながら小さく頭を下げる。……これも、本来であれば信じられない行為だ。
でもサイカ様だから当たり前だ。うん。サイカ様だから。
「おや、本日は侯爵様も一緒だったんだねぇ!」
「はい!」
「突然ですまないな女将。迷惑をかける。」
「いいえいいえ。サイカ様が今日来る事は知らせてもらってましたからね!
それに、侯爵様はうちの常連じゃないですか!迷惑だなんてとんでもない!」
旅先で宿を使う貴族は珍しい。
貴族御用達ではなく、平民が使っている宿に泊まるのは他の貴族は殆どしないだろう。
この町を治める領主の屋敷に泊まらず態々誰でも泊まれる宿を利用するのは侯爵の性格もある。
敬愛する俺たちの領主は堅苦しいのが嫌いで、貴族からのおべっかも嫌いで、そもそも余り貴族が好きじゃない様子なのは仕えていると分かってくる。
民思いの侯爵は人を見たいといつも言う。
その土地その土地でどんな暮らしをしているのか、それを見るのが楽しいし、人々の生活を見れば分かる事が沢山あるのだとか。
それに領主の屋敷はこの町にはなく少し外れた場所にある。
おまけにこの町の領主の事を余りよく思っていない…のも多分ある。でも心配はしていない。何故ならクライス侯爵は頭も切れる主なので、この町の領主ともきちんと話をしているはずだから。
「サイカ。この宿は気に入っているか?」
「はい!女将さんはとても気さくですし、いつも沢山お話をするんです。昔からお義父様がこの宿を利用していたのも聞きました。それに、お義父様の事を凄く良く言って下さるので私も嬉くって!」
「はは!そうかそうか。ここの女将は人を見た目では判断しないからな。お前も気に入ったか。」
貸しきり状態の宿。
護衛も女将も関係なく、皆で一緒に食事を取った。
きっとこれも、他の貴族ではやらない事。
貴族や平民の垣根もない。気安く話して笑い合う。
侯爵一人だと遠慮してしまうけれど、サイカ様が加わればこうも簡単に身分格差の垣根を越えてしまうんだ。
ああ本当に……何て尊い。
王宮へ着くと既に陛下が待っておられた。
いつ見ても体が萎縮してしまう…。だって陛下、威厳というか…めちゃくちゃ強者のオーラみたいなのが出てるから…。
この国を統べるトップオブトップ。レスト帝国の皇帝陛下。
いと高き、尊きお方。それがマティアス・ベルフォーレ・レスト皇帝陛下だ。どえらい身分の差があるからめっちゃ恐い。
いや、侯爵も俺たちからすれば身分の差が大きいけど。
「……チッ。ディーノもいたか。」
「俺がいると何か不都合でもあるのか?」
「いいや、何も。愛するサイカと二人きりの時間が取れないのは非常に残念だと思っただけだ。気にするな。」
「ほう…やはり今日来て良かった。俺がいない日に限って大事な娘が疲れた顔で帰ってくるのでな。」
気にするーーーー!俺がこの空気を気にしてしまうーーーー!!
愛するサイカ様とあんなことやこんな事をしたい陛下VS察して父親として複雑な侯爵!
ばっちばち!陛下と侯爵ばっちばっち!!恐い恐い!!
息苦しい空気に耐えられない!!二人とも超恐い!!
誰かこの空気を何とかしてくれ…陛下様侯爵様神様女神様サイカ様!!
「二人と一緒に過ごすのが私は好きなんですが……お義父様もマティアスも嫌でしたか…?」
「そんな事はない。マティアスも俺にとって友であり子供のような存在だからな。」
「サイカに気を使わせてすまなかった。
俺も、愛するそなたと友であるディーノと過ごせるのはとても嬉しい。」
サイカ様ーーーーー!!サイカ様女神様流石はサイカ様!!
俺は一生貴女に、サイカ様に付いて行きますよ…!!
「そうだ……ディーノ、そこにいる護衛たちも待つ間退屈してしまうだろう。
来た際は鍛練所で暇を潰しても構わないぞ。騎士たちも鍛練をしている者が多い。手合わせでもしたらどうだ?」
「ああ、それはいいな。この五人は中々に腕が立つ者たちでな。
皆、マティアス…陛下の言葉に甘え帝国騎士に指導してもらいなさい。」
「構わないのですか!?」
「陛下がいいと言っているんだ。よく指導してもらいなさい。お前たちにはこれからもサイカを守ってもらわなくてはならないからな。」
『は!有り難う御座います!!』
執事に案内されてやってきた帝国騎士鍛練所。
そこには大勢の騎士たちが手合わせをしたり、思い思いに鍛練をしていた。
クライス邸にある鍛練所もかなり広いけど、やっぱり帝国騎士が使う鍛練所は格が違う。
ここはレスト帝国の軍の中心なんだなと感慨深くなった。
「…あ…!?な、なあ…!あれ…!」
「あん?どしたレナード。」
「あれ、あの人…!御前試合で優勝した騎士団副団長のカイル・ディアストロ卿だよ…!!」
『!!!』
俺の憧れでもあるカイル・ディアストロ卿。
史上最年少で騎士団の副団長にまで登り詰めたその人は騎士たちと手合わせをしている最中だった。
「…す……すげえ……何だあれ、早すぎて分からん…。」
「すごい……相手はどんどん体力削られてて苦しそうなのに…カイル卿は息一つ乱れてないんだけど…。」
「あ、終わった。」
「俺、カイル卿に手合わせしてもらいたいから行ってくるわ!!」
憧れのカイル卿に手合わせを頼むと長い間が空いて『…いいよ』と返事が貰えた。
緊張、それから楽しみという気持ち。
俺の剣はどこまで彼に通じるだろう、そんな期待。
『始め!!』
結果は全く歯が立たなかった。
何なんだこの人、本当に同じ人間?
早いのに一つ一つが凄い重かった…隙一つないから攻撃という攻撃は出来なくて、ただ防御に徹するだけだったけど何とか一撃でも入れてやりたいと攻撃に転じた瞬間見事にやられた俺…いい所なし。
「……焦りすぎ。力みすぎ。……でも、見所、ある。……次に、期待。」
淡々と言われたけどすんごい嬉しかった。
「有り難う御座いましたっ!!頑張ります!!」
「……ん。頑張って。……サ……クライス侯爵令嬢の、護衛でしょ…?頑張って、ちゃんと、あの女……守って。」
「はいっ!!」
ひらひらと手を振って鍛練所を後にしたカイル卿。
くうう…かっけーーーー!!と心の中で叫んだつもりがまた口に出てた。
カイル卿は休憩の合間、気分転換に鍛練していただけだったらしく…仕事に戻った為同僚たちの相手は出来なかった。
俺は同僚たちから羨ましいとやっかみを受けながら鍛練所にいた騎士たちと手合わせしたり指導してもらった。
「クライス邸でのサイカ嬢はどんな感じなんだ!?」
「え、あ、めちゃくちゃ優しいです。」
「そこんとこ詳しく!!」
「え、あ、…色々あるんですけど、」
「色々ってなんだ!?」
ちょっと休憩、と五人で休んでいたらあっという間に騎士たちに囲まれた俺たち。圧がすんごい。
今……これどういう状況?
「サイカ様は僕たちにもきちんとお礼を言ってくれますね。
出発する時も、いつもありがとうって。宜しくお願いしますって言われたんですよねー。」
「なんというご褒美…!!俺が守って差し上げたい…!!」
「庭の散歩は結構あるんだ。今日の朝も二人で散歩してた。
で、クライス侯爵が飽きないか?ってサイカ様に聞いた。」
「それで!!」
「“こうしてお義父様と散歩出来るのは嬉しいですし、この時間が私は大好きです。もう何度も歩いているこの庭だって、同じように見えて毎日ちょっとして変化もありますし。”って言ってたな。侯爵も堪らなかっただろうよ。俺も堪らなかった。」
「くう…!五十手前の独身男のささくれた心を一瞬で潤してくれやがる…!!野太い声じゃなくサイカ嬢の声でその台詞を聞きたかった…!!」
「それで…本当に美味しそうに食べるので見ている此方も幸せな気持ちになる。
それに、サイカ様は料理人や使用人たちにも毎日礼を言う。
今日も美味しかった、ありがとうと。」
「食材になりたい。内側から守ってやりたい…。」
「鍛練で怪我した時があって、たまたまサイカ様が通りかかったんだよ。俺たちからすれば掠り傷くらい鍛練してたらよくある事でしょ?
でもサイカ様、小さな傷でもちゃんと手当てはしなくちゃ駄目ですよ、もしジェイクが病気にでもなって、ここからいなくなったりしたら私は悲しいですからって、俺怒られちゃった!」
「あ………尊い…召される……。」
この状況に混乱していたけど、分かった。
集まった騎士たちも俺たち五人と同じように…立派なサイカ様信者だという事に。
しかも俺みたいな発作を起こしてる人も結構いる事実。
仲間仲間。俺嬉しいよ。
俺たちはお互いに知らないサイカ様の事を話して盛り上がった。
「もうっ、もうなぁ…!!子供を慰めるサイカ嬢見て俺は、俺はっ…!涙が滝のように止まらなくてなぁっ…!!思い出しただけで泣けてくる…!!」
「……何それ泣ける……サイカ様……尊い…好きだ……大好きだ…。」
「サイカ嬢女神……尊い…俺も好きだ…」
「女神だよ……まごうことなき女神だよ……クライス邸でサイカ嬢の護衛出来るお前たちが羨ましいを通り越してもう憎い……」
「殺すならレナードだけにしてくれ。
こいつの夢、サイカ様を守って死ぬ事らしいから。」
「いやいや状況が違うから。望んでる状況と違うから。」
こうしてクライス邸の護衛である俺たち五人と、帝国騎士鍛練所にいた騎士たちはごく自然の流れでサイカ教…サイカ様を見守る会を発足。
帝都に来た時はそれぞれ情報交換という名のサイカ様談議に明け暮れるのであった。
「はい、お義父様!朝の澄んだ空気も気持ちいいです…。」
「その…飽きたりしてはいないか?」
「飽きる?どうしてですか?
こうしてお義父様と散歩出来るのは嬉しいですし、この時間が私は大好きです。もう何度も歩いているこの庭だって、同じように見えて毎日ちょっとした変化もありますし。鳥が巣を作っていたり、雛が生まれていたり。」
「はは、そうかそうか…!そうだな!」
時刻は早朝六時。
クライス邸で朝食が始まる時間までの間、クライス侯爵とサイカ様、二人の庭での散歩を見守る。
「……ああ、今日もサイカ様が美しい…。」
「見ろよあの神々しいまでの美しさ…。朝日に照らされて全身が輝いてる…。」
「レジーヌさんが朝からはしゃぐ理由も分かるよね…。
いいなー…寝起きのサイカ様…見てみたい…。」
「笑顔が可愛すぎるだろ。クライス侯爵様が心の底から羨ましいわ…。」
「いや、俺は陛下の方が羨ましいよ…。あんな可愛いサイカ様を嫁に出来るんだぜ…?俺サイカ様に“あなた”とか言われたら一瞬で心臓止まる自信があるんだけど。」
クライス領地はレスト帝国の中でもかなり広大な領地を持っている。
一番は敗戦国そのままを与えられたクラフ公爵領だけど、クラフ公爵領に次いで二番目に大きい領土を国から賜った。
領地を持っている貴族には大体私兵がいて、まあ私兵と言っても色々階級もある。要は騎士みたいな存在と一般の兵士みたいな。広大な領地だからかなりの人数だ。
屋敷を警護している俺たちは全員、このクライス侯爵領で生まれ育った奴らばかり。
そして自慢ではないけどクライス邸へ配属された俺たちは侯爵お抱えの私兵だった。
総勢八十人が日中と夜間の交代制で警護に励んでいる。
一つの屋敷を警護するにしては多少多く感じる人数ではあるものの、守る対象がサイカ様だと知って納得した。
『俺の娘を必ず守れ。どんな危険からも。』
強い口調でそう言ったクライス侯爵。
俺たちの敬愛する領主の、厳しい視線。
敬愛する主の、大切な義娘であるサイカ様に初めて会った瞬間、体中を稲妻が駆け巡った。
『うっそだろ目の前に絶世の美女がいるんだけど絶世の美女って絶滅した伝説の存在ですよねなのにどゆこと!?』
その時の俺は心の中で思った言葉が口に出ていたみたいで…侯爵には溜め息を吐かれサイカ様には笑われた。
でもその事があってサイカ様は俺の名前を一番に覚えてくれたみたいだった。
サイカ様みたいな女性には出会った事がない。
侯爵と同じく、俺たちが仕える主という立場でありながら…それはそれはもう底無しに優しい。誰に対しても態度を変えたりしない。
敬愛する侯爵と同じく、何に対しても感謝を忘れないし、俺たちにも屋敷の使用人たちの事もいつも労ってくれる。
まるで小動物のように可愛らしくちょこちょこと屋敷中を動いて、サイカ様のいる場所はすごく明るい笑顔に包まれる。
『レナード、今日も宜しくお願いしますね。』
『レナード、お疲れ様です。』
『レナード、ありがとう。』
そんな言葉を掛けられるたびむずむずとこそばゆい。
側にいると嬉しい。楽しい。俄然仕事に遣り甲斐が出た。
サイカ様は陛下の婚約者。そんな事は分かっているし、この感情は恋というよりそう、崇めているものに近い。
もう兎に角、会うたびサイカ様が尊くてたまらないわけなのだ。俺は。
クライス侯爵とサイカ様、二人の庭散歩はこの屋敷の警護を強化してから何度も見た光景だけど、サイカ様は侯爵の手を握ってはいつも嬉しそうに笑っている。
飽きる事なんてない。毎日同じようで違うし、侯爵と過ごせるこの時間が楽しいとそう伝えるサイカ様…クライス侯爵は堪らないだろうなあ…。俺も堪らない気持ち…。
「んんっ、……サイカ様が今日も可愛いっ……尊いっ…!!」
「出たよ。レナードの発作。」
「あ?まだ今日は一回目だろ?」
「いや…今日これで三回目の発作だ。」
「うっそだろおい。まだ始まったばかりだぞそんなんでどうすんだよ。」
「気持ちは分かるけど抑えるんだレナード。
お供出来なくなるぞ。それでもいいのか。」
「いいわけない!」
「お、立ち直った。」
帝都へ向かうサイカ様のお供は護衛の中で尤も誉れな任務。
ご褒美と言ってもいい!帝都までの二日間、帝都からクライス邸までの更に二日間、四六時中、それこそおはようからおやすみまでサイカ様を見守れる貴重かつ大切な仕事。
発作如きでご褒美を逃してなるものか…!!
「今日から帝都だったな。」
「はい!…でも、お義父様は仕事なんですよね…?」
「その事だが…昨日終わらせた。まあ、マティアスはがっかりするだろうが一緒に行こう。」
「!!はいっ、嬉しいです…!」
「はは、そうか。喜んでくれるか…!お前の事はこの父が守ってやるからな。」
「では今回はお義父様もいるし護衛の皆も居てくれるし、いつも以上に安心安全の旅になりますね!」
俺はサイカ様のその満面の笑顔を守りたいです侯爵。
「あああああ、尊い……サイカ様尊いよ…!」
「同意しかない。」
「同じく。」
「全く同じく。」
「今日からのお供が俄然楽しみだな。」
正直毎日が薔薇色。この仕事に就いてて本当に良かった。
クライス侯爵は尊敬するし敬愛もしているし、そして新たに守るべき対象となったサイカ様は女神だし女神だし女神だしで毎日俺は乙女のように胸を高鳴らせている。(同僚たちはそれを発作と呼んでいる)
サイカ様が毎日優しくて美しくて可愛くて愛らしくて尊くて。
サイカ様を守って死ねるなら護衛として本望だ。
「…俺、いつかサイカ様を守って死ぬんだ。
危険に陥ったサイカ様を最後の最後まで守って……レナード死なないでって涙を流すサイカ様に手を握られながら看取られて死ぬのが夢なんだ…。」
「壮大な夢だな。」
「ね。どういう状況なのそれ。」
「以前まで可愛い嫁を貰うのが夢だって言ってなかったか?」
「いや。戦争に巻き込まれたどっかの国の美しい王女と運命的な出会いを果たし恋に落ちるのが夢って言っていたと思う。」
「そんな運命的な出会いは絶対にない。」
同僚たちが何か言っているけどいいじゃないか。夢をいくつ持ったって。
時々発作を起こす俺をやいやい言っているこの同僚たちだってサイカ様が好きで好きで好きで好きで堪らない連中だ。
休みの日はゆっくり休めばいいのに、休みの日に各々が態々差し入れを持ってくるのもサイカ様を一目見れたらなという打算があっての事。
屋敷を警護するにも日々で担当する場所が違う。
屋敷の外を担当するのは外れ。サイカ様を見守れる時間が少ない。
庭はまあ…当たり外れがある。散歩してたら天国、散歩しなければ地獄ってとこ。
屋敷内は当たり。その日一日サイカ様を頻繁に見られる。
帝都への護衛は大当たり。四日間はお側に居られる。
屋敷内の警護になった時、同僚の一人はダイニングで朝食を食べるサイカ様を見てにっこにこだった。普段涼しい顔をしているそいつの、見たこともないにっこにこの笑顔に俺は引いた。
帝都までの護衛に指名された時は五人で胸の前で手を組み神に感謝を捧げたものだ…。
「シグルド、ベンジャミン、アレス、ジェイク、レナードは俺とサイカが乗る馬車周辺の警護を頼む。」
「皆いつもありがとう。宜しくお願いします。」
『はっ!!お任せ下さい!!』
俺たち五人はクライス侯爵の私兵の中でもそこそこ実力があるので五人一組で動く事が多い。
厳しい鍛練にも励まし合いながら、競い合いながら成長してきたので絆も結構深い…と俺は思っている。
この五人ならどんな相手にも勝てそうな気がするし、安心して背中を、命を預ける事が出来る。頼もしい同僚でもあり、よき理解者でもあり、かけがえのない友でもあり…
「いつもありがとうだってよ…俺らの方こそありがとうだよな…。」
「宜しくとも言われた……超頑張るしかない…。」
「微笑みが眩しい…」
「一瞬呼吸が止まった。」
「…………尊過ぎて死ねる…本望…。」
そして全員がサイカ様の信者だった。
クライス領から帝都へ。二日間は天国だった。
道中何事もなく途中で滞在する町に辿り付くとクライス侯爵家の馬車だと気付いた町の人たちが遠巻きに集まる。
もう何度もこの町に訪れ、この宿を利用しているので誰が乗っているのか皆分かっているんだと思う。
陛下の婚約者として公になったサイカ様は姿を隠す事なく、先に降りたクライス侯爵に手を取られ馬車を降りる。
サイカ様が姿を現した時にわあっ!と周りから歓声が起こるものもう馴れた。
サイカ様は微笑みながら小さく頭を下げる。……これも、本来であれば信じられない行為だ。
でもサイカ様だから当たり前だ。うん。サイカ様だから。
「おや、本日は侯爵様も一緒だったんだねぇ!」
「はい!」
「突然ですまないな女将。迷惑をかける。」
「いいえいいえ。サイカ様が今日来る事は知らせてもらってましたからね!
それに、侯爵様はうちの常連じゃないですか!迷惑だなんてとんでもない!」
旅先で宿を使う貴族は珍しい。
貴族御用達ではなく、平民が使っている宿に泊まるのは他の貴族は殆どしないだろう。
この町を治める領主の屋敷に泊まらず態々誰でも泊まれる宿を利用するのは侯爵の性格もある。
敬愛する俺たちの領主は堅苦しいのが嫌いで、貴族からのおべっかも嫌いで、そもそも余り貴族が好きじゃない様子なのは仕えていると分かってくる。
民思いの侯爵は人を見たいといつも言う。
その土地その土地でどんな暮らしをしているのか、それを見るのが楽しいし、人々の生活を見れば分かる事が沢山あるのだとか。
それに領主の屋敷はこの町にはなく少し外れた場所にある。
おまけにこの町の領主の事を余りよく思っていない…のも多分ある。でも心配はしていない。何故ならクライス侯爵は頭も切れる主なので、この町の領主ともきちんと話をしているはずだから。
「サイカ。この宿は気に入っているか?」
「はい!女将さんはとても気さくですし、いつも沢山お話をするんです。昔からお義父様がこの宿を利用していたのも聞きました。それに、お義父様の事を凄く良く言って下さるので私も嬉くって!」
「はは!そうかそうか。ここの女将は人を見た目では判断しないからな。お前も気に入ったか。」
貸しきり状態の宿。
護衛も女将も関係なく、皆で一緒に食事を取った。
きっとこれも、他の貴族ではやらない事。
貴族や平民の垣根もない。気安く話して笑い合う。
侯爵一人だと遠慮してしまうけれど、サイカ様が加わればこうも簡単に身分格差の垣根を越えてしまうんだ。
ああ本当に……何て尊い。
王宮へ着くと既に陛下が待っておられた。
いつ見ても体が萎縮してしまう…。だって陛下、威厳というか…めちゃくちゃ強者のオーラみたいなのが出てるから…。
この国を統べるトップオブトップ。レスト帝国の皇帝陛下。
いと高き、尊きお方。それがマティアス・ベルフォーレ・レスト皇帝陛下だ。どえらい身分の差があるからめっちゃ恐い。
いや、侯爵も俺たちからすれば身分の差が大きいけど。
「……チッ。ディーノもいたか。」
「俺がいると何か不都合でもあるのか?」
「いいや、何も。愛するサイカと二人きりの時間が取れないのは非常に残念だと思っただけだ。気にするな。」
「ほう…やはり今日来て良かった。俺がいない日に限って大事な娘が疲れた顔で帰ってくるのでな。」
気にするーーーー!俺がこの空気を気にしてしまうーーーー!!
愛するサイカ様とあんなことやこんな事をしたい陛下VS察して父親として複雑な侯爵!
ばっちばち!陛下と侯爵ばっちばっち!!恐い恐い!!
息苦しい空気に耐えられない!!二人とも超恐い!!
誰かこの空気を何とかしてくれ…陛下様侯爵様神様女神様サイカ様!!
「二人と一緒に過ごすのが私は好きなんですが……お義父様もマティアスも嫌でしたか…?」
「そんな事はない。マティアスも俺にとって友であり子供のような存在だからな。」
「サイカに気を使わせてすまなかった。
俺も、愛するそなたと友であるディーノと過ごせるのはとても嬉しい。」
サイカ様ーーーーー!!サイカ様女神様流石はサイカ様!!
俺は一生貴女に、サイカ様に付いて行きますよ…!!
「そうだ……ディーノ、そこにいる護衛たちも待つ間退屈してしまうだろう。
来た際は鍛練所で暇を潰しても構わないぞ。騎士たちも鍛練をしている者が多い。手合わせでもしたらどうだ?」
「ああ、それはいいな。この五人は中々に腕が立つ者たちでな。
皆、マティアス…陛下の言葉に甘え帝国騎士に指導してもらいなさい。」
「構わないのですか!?」
「陛下がいいと言っているんだ。よく指導してもらいなさい。お前たちにはこれからもサイカを守ってもらわなくてはならないからな。」
『は!有り難う御座います!!』
執事に案内されてやってきた帝国騎士鍛練所。
そこには大勢の騎士たちが手合わせをしたり、思い思いに鍛練をしていた。
クライス邸にある鍛練所もかなり広いけど、やっぱり帝国騎士が使う鍛練所は格が違う。
ここはレスト帝国の軍の中心なんだなと感慨深くなった。
「…あ…!?な、なあ…!あれ…!」
「あん?どしたレナード。」
「あれ、あの人…!御前試合で優勝した騎士団副団長のカイル・ディアストロ卿だよ…!!」
『!!!』
俺の憧れでもあるカイル・ディアストロ卿。
史上最年少で騎士団の副団長にまで登り詰めたその人は騎士たちと手合わせをしている最中だった。
「…す……すげえ……何だあれ、早すぎて分からん…。」
「すごい……相手はどんどん体力削られてて苦しそうなのに…カイル卿は息一つ乱れてないんだけど…。」
「あ、終わった。」
「俺、カイル卿に手合わせしてもらいたいから行ってくるわ!!」
憧れのカイル卿に手合わせを頼むと長い間が空いて『…いいよ』と返事が貰えた。
緊張、それから楽しみという気持ち。
俺の剣はどこまで彼に通じるだろう、そんな期待。
『始め!!』
結果は全く歯が立たなかった。
何なんだこの人、本当に同じ人間?
早いのに一つ一つが凄い重かった…隙一つないから攻撃という攻撃は出来なくて、ただ防御に徹するだけだったけど何とか一撃でも入れてやりたいと攻撃に転じた瞬間見事にやられた俺…いい所なし。
「……焦りすぎ。力みすぎ。……でも、見所、ある。……次に、期待。」
淡々と言われたけどすんごい嬉しかった。
「有り難う御座いましたっ!!頑張ります!!」
「……ん。頑張って。……サ……クライス侯爵令嬢の、護衛でしょ…?頑張って、ちゃんと、あの女……守って。」
「はいっ!!」
ひらひらと手を振って鍛練所を後にしたカイル卿。
くうう…かっけーーーー!!と心の中で叫んだつもりがまた口に出てた。
カイル卿は休憩の合間、気分転換に鍛練していただけだったらしく…仕事に戻った為同僚たちの相手は出来なかった。
俺は同僚たちから羨ましいとやっかみを受けながら鍛練所にいた騎士たちと手合わせしたり指導してもらった。
「クライス邸でのサイカ嬢はどんな感じなんだ!?」
「え、あ、めちゃくちゃ優しいです。」
「そこんとこ詳しく!!」
「え、あ、…色々あるんですけど、」
「色々ってなんだ!?」
ちょっと休憩、と五人で休んでいたらあっという間に騎士たちに囲まれた俺たち。圧がすんごい。
今……これどういう状況?
「サイカ様は僕たちにもきちんとお礼を言ってくれますね。
出発する時も、いつもありがとうって。宜しくお願いしますって言われたんですよねー。」
「なんというご褒美…!!俺が守って差し上げたい…!!」
「庭の散歩は結構あるんだ。今日の朝も二人で散歩してた。
で、クライス侯爵が飽きないか?ってサイカ様に聞いた。」
「それで!!」
「“こうしてお義父様と散歩出来るのは嬉しいですし、この時間が私は大好きです。もう何度も歩いているこの庭だって、同じように見えて毎日ちょっとして変化もありますし。”って言ってたな。侯爵も堪らなかっただろうよ。俺も堪らなかった。」
「くう…!五十手前の独身男のささくれた心を一瞬で潤してくれやがる…!!野太い声じゃなくサイカ嬢の声でその台詞を聞きたかった…!!」
「それで…本当に美味しそうに食べるので見ている此方も幸せな気持ちになる。
それに、サイカ様は料理人や使用人たちにも毎日礼を言う。
今日も美味しかった、ありがとうと。」
「食材になりたい。内側から守ってやりたい…。」
「鍛練で怪我した時があって、たまたまサイカ様が通りかかったんだよ。俺たちからすれば掠り傷くらい鍛練してたらよくある事でしょ?
でもサイカ様、小さな傷でもちゃんと手当てはしなくちゃ駄目ですよ、もしジェイクが病気にでもなって、ここからいなくなったりしたら私は悲しいですからって、俺怒られちゃった!」
「あ………尊い…召される……。」
この状況に混乱していたけど、分かった。
集まった騎士たちも俺たち五人と同じように…立派なサイカ様信者だという事に。
しかも俺みたいな発作を起こしてる人も結構いる事実。
仲間仲間。俺嬉しいよ。
俺たちはお互いに知らないサイカ様の事を話して盛り上がった。
「もうっ、もうなぁ…!!子供を慰めるサイカ嬢見て俺は、俺はっ…!涙が滝のように止まらなくてなぁっ…!!思い出しただけで泣けてくる…!!」
「……何それ泣ける……サイカ様……尊い…好きだ……大好きだ…。」
「サイカ嬢女神……尊い…俺も好きだ…」
「女神だよ……まごうことなき女神だよ……クライス邸でサイカ嬢の護衛出来るお前たちが羨ましいを通り越してもう憎い……」
「殺すならレナードだけにしてくれ。
こいつの夢、サイカ様を守って死ぬ事らしいから。」
「いやいや状況が違うから。望んでる状況と違うから。」
こうしてクライス邸の護衛である俺たち五人と、帝国騎士鍛練所にいた騎士たちはごく自然の流れでサイカ教…サイカ様を見守る会を発足。
帝都に来た時はそれぞれ情報交換という名のサイカ様談議に明け暮れるのであった。
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