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74 包み隠さず

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大丈夫だと確信があった。
このひとになら、否、私の愛するひとたちになら…私の秘密を話してもきっと受け入れてくれるとそう確信していた。


「信じられないかも知れない。…でも、本当の話なの。
あちらの世界で私は…死んだ。覚えているのは痛みと恐怖、真っ暗な世界。
でも不思議な事に私は生きてた…姿形、どこも何ともなく、傷一つなくこの世界で目を覚ました。」

「……。」


マティアスは最初こそ信じられないといった表情をしていたけれど、私が話す内、真剣に聞いてくれていた。
日本でのそれまで。両親のこと。そして美醜のこと。
私の国ではこの世界とは正反対でマティアスたちの容姿は一般的に美しいと言われる部類であること。ただ其々好みは当然ある。
最初から言っていた通り私はマティアスたちの容姿を格好いいと思っていたし、その言葉は真実、嘘偽りはなかったと改めて伝えた。
私の秘密を全て包み隠さず話し終えれば…マティアスは私を強く抱き締めこう言ったのだ。

「辛かったろう。ご両親とは死して別れたのではなく…今も別の世界で生きているのだというなら尚更…。
これまでに会いたい気持ちが募る事も当然あっただろう。」

「…うん。ふふ…実は…お義父様の屋敷で泣いた事があるんです。
ディーノ様が私の父に重なって。…全く似てないんですけどね。」

「…そうだったか。」

「思い出すと今でも苦しい。でも、私の両親は私が幸せだと喜んでくれるから…胸を張って幸せに生きていれば、そうかって笑ってくれるから。だから私は、もう会えないと嘆くより…幸せですって、生きていたい。」

「ああ。…そなたのご両親の分も、俺が幸せにする。必ず。
そなたがここに来た事を後悔しない様に、ここに来てよかったとそう思えるように。」

「もう思ってますよ?」

「これから先もだ。これから先、最後を迎えるその時まで。
俺はそなたを幸せにする。」

「…じゃあ、私もマティアスを幸せにします。
マティアスだけじゃなくて、私の愛する皆を幸せにしますから。」

「もう既に幸せなんだが。」

「これから先も、です。最後を迎えるその時まで。」

「ふ、…そうか。」

「はい、そうです。」


秘密を全部話して、少しだけ不安になったのは…美醜のこと。
皆私を優しいと言うが、私とて周りと変わらない。
大好きな人たちにがっかりされたくないけれど、きっとこの話をして少しはがっかりしただろうなとそう思ったのだが、マティアスは首を横に振った。

「醜いからと言ってそなたは誰かを蔑んだりしたか?
月光館にいる者たちを、ディーノの屋敷にいる者たちを、付き添った護衛たちの事を気持ち悪いとそう思ったか?」

「思わない…。」

「そなたがいた世界の基準で言えば…この世界のそこかしろを歩いている者全てが“醜い部類”になるだろう。だがそれで、そなたが態度を変えた事があるか?俺は見たことがないんだが。
キリムは?そなたの付き人であった者は?今そなたの世話をしているリリアナやレジーヌに対しては?
醜いと、気持ち悪いとそう思った事はあるか?」

「ううん。…皆、大好きです。でも…襲って来た人の事は…気持ち悪いってすごく思った…。この豚野郎って。」

「ぷっ…豚野郎か!まぁ、それは当然だな。
サイカ。そなたが自分を周りを何ら変わらないと言うならそうだろう。だが言っておくと…周りは差別する事を当然としている。誰かを当然のように蔑み、下に見て、あからさまに態度を変える。そんな者たちとサイカが同じなものか。」

「マティアス…。」

「そなたは人を見る。関わった者たちを一人の人間として見てくれている。…だが周りはそうではない。醜ければ皆総じて化け物、貧しい者を卑しい人間と蔑み馬鹿にする。そういうものだ。」

「……。」

「秘密を知って俺が落胆したかとでも思ったか?」

「…うん。」

「馬鹿な。…落胆などするものか。」

「…豚野郎って…心の中では汚ない言葉を使う女でも…?」

「その程度の汚ない言葉なら俺はどうしたら?
俺とて心の中では色々…サイカには聞かせたくない言葉で相手を罵る事もある。
俺は寧ろ…感謝さえしているぞ。」

「感謝?」

「そうだ。信じては裏切られ続けた神が俺を憐れに思い願いを聞き届けてくれたのだと。
異なる世界からそなたという宝を授けてくれた。
出会わせてくれた。…きっと、この世界の者では俺を愛してくれる女はいなかったろう。」

そんなことない、と言おうとした言葉はマティアスの唇で遮られた。
何度も落ちてくるマティアスの唇。
どさりと花畑の上に倒れ込み、切なげに、でも幸せそうに細まった青い宝石の様な瞳に見つめられ、何度も何度も口付けが降ってくる。

「そなたには悪いが俺は嬉しい。
自分勝手だと思われても構わない…。だが、嬉しい。
そなたは俺の為にこの世界へ、そしてこの国へ落ちてくれた女神だ。そう思わずにいられない。」

「マティアス、」

「これ程愛しい女を俺の元へ授けてくれた神に、そなたのご両親に、そして全てに感謝を。
そしてサイカ…そなたにも。…サイカ。俺の女神、俺の宝。
きっと生涯、俺はそなたを愛さずにはいられないだろう。だが望む所だ。」

「…勝手だなんて思わない。
だって、向こうではきっと…私は死んだ存在だろうから。
死んで…両親を随分悲しませたと思う…ううん、今も悲しんで、苦しんでいるかも知れない…。
だけどきっといつか…“あの子は天国か何処かで幸せにしているかも”とそう思ってくれる。」

「サイカ…」

「だって幸せだもの。
私の初めては大好きなマティアスに、それから皆と出会って、大切なものが増えて。心から幸せだと思える。
きっとこの気持ちが、お父さんにもお母さんにも伝わる日が来るはず。
…私は幸せ。とても、とてもよ。…愛してる、マティアス。恋をするのも男の人をこんなに愛しいと思うのも、全部初めてなの。」

「…っ、愛している…。俺も、そなたを心から愛している…!」

「嬉しい…、マティアスたちの為にこの世界に来たなら…何て素敵なことなの。
マティアスを、皆を愛する為に、愛される為にこの世界に来たのなら…それはとっても素敵なことだと思うの…。まるで、そうなるべくしてなったみたいに、…運命みたいに。」


見つめ合い、口付けを交わす。
雄大な自然の中私たちは着ているものを脱ぎ素肌で愛し合う。
吐息を溢し、涙を流し、燦然と輝く日の下で草木に、花々に見守られ、聞こえてくるさざ波の音と潮の香りを感じながら、心の底から溢れてくる愛しい感情のまま交わり合う。

「…愛している、サイカ……俺の唯一の妃。」

「愛してる…マティアス…、」

愛していると何度も飽きる事なく互いに伝え続け、マティアスから与えられる熱に身を任せた。
何て幸せなんだろうか。

「…早く俺の妻にしたい…、はっ、こうして朝も昼も夜も関係なく愛し合いたいっ…」

「私も、…んぁ、…ああ、…わたし、も、…まてぃあすの、奥さ……なりたっ…あんっ…!
あ、あっ、…だいすき、…まてぃあす、…だいすき、…あいしてる、んっ、は…!」

「っ、…そなたは、可愛すぎるっ…!俺が、…どれだけ、我慢して…、」

「は、ぁんっ…!ああ…!くる、…またぁ、…まてぃあす、まてぃあすっ…!」

「ああっ…イけ、サイカっ…好きなだけ、……はっ、…連れ帰りたいっ…今すぐ、連れ帰って、…子を孕ませたいっ…!
俺の、妻になったそなたをっ……ベッドで組み敷き、…朝も、昼も、夜もっ…そなたが嫌がろうともっ…!許しを乞おうとも、……俺の愛を、知らしめてやりたい…!!」

ばちばちと頭の中、体中も電流が流れるみたいに弾ける。
大きな波から逃れようと口を開ければマティアスに塞がれ、びくびくと体を震わせながら達した私の子宮をマティアスは追い討ちをかけるように小突く。
体重を乗せぴったりと子宮口に鈴口を宛がい重い精液を流し込んでくる。
息も出来ない程に唇を塞がれ、逃げる舌を執拗に追い絡ませる。
背中から肩に回ったマティアスの腕に力が入り、私たちの体は隙間なく重なっていた。

「あ…あっ、…んっ、」

互いの混じった唾液がとろりとマティアスの唇から垂れてきて、こくりと飲み込む。

「…蕩けた顔をして…」

「ん……」

「全く……これ以上骨抜きにさせてどうする…。
俺を愚王にするつもりか…?」

呆れたようなその声色とは裏腹にマティアスの表情はとても優しいもので…日が沈みかけている中、私は再びマティアスのモノを受け入れる。
ゆっくり、ゆっくりと。
広く大きな海へ日が落ちるその世にも美しい光景を愛し合いながら二人で見つめ…そして二人で果てた。

馬車の中、マティアスの膝を枕にしながら屋敷へ帰る。
とても幸せな時間だった。
外で致したという恥ずかしさも後悔も一切なく、あの時あの美しい場所で愛し合ったのは当然だったとさえ思えた。
太陽に、海に、草木に花に。全てに祝福されたようなそんな気持ちだった。


「サイカ。…今日、そなたから聞いた話をディーノやリュカらにもしようと思う。…いいか?」

「うん。…お義父様にも、ヴァレにも、カイルにも、リュカにも黙っていたくない。
これから夫婦に…家族になるんだから…。」

「まあ、何の心配もないだろうさ。」

「…そう思う…?」

「ああ。皆そなたが何者であろうと気にしない。驚きはするだろうがな。
…大切なのはただ一つだけ。そなたが傍にいる事だ。」


屋敷に戻れば仏頂面になったお義父様が出迎えてくれた。
遅かったなと主にマティアスに不機嫌な言葉を投げ掛け…夕食を済ました後に今日の話をするのかなと思ったけれど…それは皆が集まってからの方がいいだろうという事で後日になった。
そして七日後、その日はやってきた。
屋敷の客間にはお義父様にマティアス、ヴァレにカイル、リュカと私の六人だけ。
使用人の皆には呼ぶまで入ってこない様にとマティアスが伝えていた。


「…皆驚くだろうが聞いて欲しい。…サイカがこの国に来るまでの話だ。
…サイカ。話してくれるか?」

「はい…。」


少しだけ重苦しい雰囲気の中、私はマティアスに話した様に自分の秘密を皆に話した。
大丈夫だと確信があった。この人たちはきっと、私の何もかもを受け入れてくれる。どんな事も。それが信じがたい話でも、嘘だとは思わず、冗談だろと笑いもせず、真剣に聞いてくれるとそう確信があった。

「…これが私の秘密です。
全部、本当の話なの。……信じてくれますか。」

「信じるに決まっているだろう。
大切な娘のことだ。お前が意味もなくこんな重大な嘘をつくわけもない。」

「…ええ。驚きはしましたが…話してくれて嬉しいです。
言い辛かったでしょうに…勇気を出して話してくれて、本当にありがとうございます。
私の気持ちは何も変わりません。ただ貴女が愛しいだけ。」

「……サイカ、死んだって、……大丈夫?今は、何とも…?
サイカが死ぬ…それ、元の世界のことでも、…俺、苦しい、…悲しい、嫌だ…、すごく、胸、…苦しい…、」

「まさか異世界とは…とても信じられん話だが信じるしかあるまい。お前はこんな嘘を吐く女じゃないしな。
それに……不謹慎かとは思うが…僕はお前が死んで、この世界に来てくれた事が嬉しいと思った。
でなければ僕らは出会う事すら出来なかった。…だろう?」

「…うんっ、……ありがとう……信じてくれて、嬉しい…。きっと、秘密を話しても皆なら受け入れてくれるって、そう思ったのは間違いじゃなかった。
カイル、私は大丈夫。何処にも事故の傷はないし、元気だから、ね?
それに私は今とても幸せ。両親に会いたい気持ちは勿論あるし、日本を思い出して苦しくなる事もあるけれど……でも、私には今、皆がいる。…大好きな皆がいるから、寂しくはないの。
私の両親は私が幸せなら喜んでくれる…そんな両親だから。」

「ご両親の分まで俺たちがサイカを幸せにすればいいだけのこと。…まあこの話を聞いて疑ったり怖じ気付いた者はサイカを愛する資格などないとそう俺は思っていたが…いなかったようだな。」

「ふん。僕の想いをその程度と見くびるなよマティアス。
異世界から来た?だから何だ。こいつが僕の傍にいるならそんな事は関係ない。」

「そうです。大切なのは今と、そして未来のこと。
聞いて、知って。私は殊更サイカを愛しく思いました。」

「…ん、サイカが、大切。
話してくれて、ありがとう…サイカ。」

「サイカ。お前の御両親は素晴らしい方だ。
お前を見れば分かる。愛情を持ってお前は育てられ、人の大切さを教えたのもきっと御両親だろう。
俺は御両親には決して敵わない。だがな、俺とてお前が大切だ。お前は、俺の娘なのだから。」

「お義父様…」

「甘えたい時は甘えなさい。御両親を思い寂しくなった時は俺が御尊父に代わってお前を抱き締める。
俺はお前に甘えられると嬉しい。いつまでも甘やかしたくなる。
お前の御両親がお前を愛しく思う気持ちが分かる。大事なお前を失った悲しみも…。
お前は心根が素直で、可愛い娘だ。…血は繋がってないが…だがそれの何が問題だろうか。俺はサイカ、お前が愛しいよ。」

「お義父様…私も、…私も、お義父様が大好きです。
お父さんやお母さんと同じように、大好きです…!」

ぼろぼろと嬉し涙が止まらない私を、お義父様は軽々と片手で抱き抱える。
大きな体に危なげなく抱えられ、私はお義父様の頬にすり寄るように甘えると分厚い手で優しく頭を撫でられた。
父とは全く似ていないけど、でも父のようだ。
重ねはしない。だけどディーノ様も、私の大切な父なのだ。


「はあ。今日はディーノの一人勝ちか。
…まあいい。これからの事を話すぞ。」

マティアスのその言葉にお義父様に下ろして貰うようとんとんと腕を叩いて合図したものの…お義父様は私を抱えたままソファーに腰を下ろす。
…え、このまま?このまま話をするの?と気恥ずかしくなったものの、皆優しい笑顔を浮かべたままで話は始まった。

「めでたくサイカが俺たちの婚約者になって一月が経った。
進めても問題なさそうか、ディーノ。」

「ああ。サイカはダンス以外何の問題もない。夫人もサイカを褒めていたくらいだ。
序列でいけばまずはマティアス、次にリュカ殿、ヴァレリア殿、カイル殿になるか。進めても問題ないだろう。」

「…お義父様…何の話です?」

「お前は皆の婚約者となった。
その挨拶だな。」

「あ、挨拶…!そ、そうですよね!そ、そっか、そうだ…!」


結婚…いや、婚約者としての挨拶。
そうだ、社交デビューの前にそのイベントがあったと思い出して一人勝手に緊張する私。

「ああ…楽しみです…。私の家族に…大切な貴女を紹介出来る…!やっとなのですね…!」

「…俺も…楽しみ。父さんや、弟に…報告したい…。あと、団長にも。…他は…別にいいけど。」

「ま、僕はヴァレリアやカイルのように純粋に楽しみ…という訳じゃなくある意味楽しみだな。…どんな反応をしてくれるか……なあ、マティアス。化け物と蔑んできた僕らが女神のように美しいサイカを婚約者として紹介するんだ。きっと笑えるぞ。」

「くっ、はは、そうだな。
父や母、それに臣下たち……面白いくらいの反応を見せてくれるだろうさ。
サイカ、そなたを利用する様で悪いが…ちょっとした意趣返しに付き合ってくれ。」

「それは構いませんけど…意趣返し…?」

「ああ。俺もリュカも…まあ、ここにいる全員に言えるが。
周りから色々言われ続けて腹が立っていない訳はない。
俺やリュカは身内からも色々あったからな。
…言ってしまえば、そなたとは相思相愛だという事実を突き付けてやりたい。」

「ま、平たく言えば自慢だ。自慢。性格が悪いと思うかも知れんが…僕らに付き合ってくれ。」

「…ええと、それで意趣返しになります…?」

『なるとも。』


にっこりと笑顔でそう言われてしまえば頷く他ない。
それに私も聖人君子じゃない。
マティアスたちの話を聞いて腹が立ったし、そんな事しちゃ駄目、今後は皆仲良く出来るようにしましょうと物語の聖女のようには出来ない。
話して分かり合える事もあればそうでない事もある。
マティアスたちの問題は根が深いものだ。話して解決するのであればとっくに解決していた。
時代のせいだと言えばそれまで。だけどきっと、まだまだ差別や格差が無くなるには遠い世界。
時代の進んだ日本にだってまだ沢山の差別や格差があるのだから。


「ではまずは俺の両親との顔合わせだな。
その場で婚約の証明書にサインも行う。」

「そ、粗相しないように頑張ります…!」

「そなたはそのままでいい。何があろうとも俺がフォローする。安心せよ。」

「は、はい。」

「…安心しろと言っても緊張するものは緊張するものだ。
なあサイカ。」

「お、お義父様、」

「だが気負いすぎずとも大丈夫だ。
マティアスの言った通り、お前はいつものお前でいなさい。
お前の美しさは自然体の中で一番発揮される。」

「?は、はい。」


彼氏の両親&家族と初顔合わせというイベントに緊張しないわけがない私は当日までひたすらリリアナとレジーヌに体をぴかぴかに磨かれるのであった。


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