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68 ヴァレリア⑤
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「…ふう。これで粗方終わりましたね…。
ふふ、明日は問題なくサイカに会いに行けます。」
一日たりと日を無駄には出来ない。
何故ならもうあと二週間もしない内にサイカが月光館を去るからだ。
婚約者ではないけれど、私とてサイカの恋人。会う権利は当然ある。
けれどこの帝都ではく、クライス領までは馬車で二、三日はかかってしまう距離にある。
帝都にあった花街のようにすぐに行ける距離ではない。
サイカが娼婦を辞めるまでの間、私はサイカに二回しか会えないのだから、一日たりと無駄にはしたくない。
「…まだ時間はありますね…。念のためもう少しやってから帰りましょうか。そうすれば長くサイカと一緒に居られますし。」
再びペンを取り手を動かす。
少し前までは億劫だった仕事も、今は遣り甲斐を持つようになった。
それもこれもサイカがいるから。
サイカに会う前まではこれ以上父の汚点にならないように、父が周りに何か言われないようにと毎日毎日気を使い続けていた。
気を使いすぎる余り、終わった後はいつも疲労感が凄まじいものだった。
一日一日疲弊して帰る毎日。帰っても疲れた様子で帰宅した私を見て家族に心配ばかりかけていた毎日はサイカと出会って変わった。
誰かを愛す、そして愛する人と結ばれるという奇跡…毎日が光輝いていた。
私の人生にサイカが、愛する人がいるだけでこうも違う毎日になった。
「ヴァレ、お帰りなさい!」
「お帰りヴァレー!来てるわよ!」
「久しぶりヴァレ!」
「あれ、姉さんたち来ていたのですね!」
「ええそうなの。たまには元気な顔を見せないとね!子供たちは夫が見てくれてるんだけど。」
「私の所は今日はお留守番。お義母様たちが見てくれているわ!」
「うちもたまにはって向こうのご両親が見てくれてるの。」
「各々が月に何度も帰って来てるのはたまにはではないですよ。
甥姪たちが来てないのは残念ですけど…でも嬉しいです。こうして姉弟四人一緒は久しぶりですから!」
「ヴァレ…いい顔をするようになったわね…!仕事は楽しい?」
「楽しい、と言いますか、遣り甲斐はあります。
毎日毎日色んな案が浮かんで、したい事があるのです。仕事ではありませんが私は今、毎日が充実しているのですよ。」
「そう…!そうなのね!続きはダイニングで聞くわ!早く行きましょう!?」
姉たちは私を心配して頻繁に家に様子を見に来てくれる。
私が疲れた顔で帰って来た時に姉たちがいると、仕事の話は聞かず楽しい話ばかりしてくれた。いつも元気づけようとしてくれていた。
傷ついた私にこれ以上傷を負わせないように、家族もまた私に気を使ってくれていたのだろう。
それが心苦しい時もあった。でも今は違う。
「母さん、只今帰りました。」
「お帰りなさいヴァレ。今日も疲れたでしょう?」
「ええ、でも大丈夫です。」
「お帰りヴァレリア。今日は私の方が少し早かったみたいだね。」
「父さん!ああ、丁度良かったです!仕事で父さんに意見を聞きたい事があって、東にある村の税についてなんですが、」
「東…ああ…今年、東は特に雨が少なかっただろうから来年も同じように税を課すのは止めた方がいいね。」
「ええ。それなんです。ちゃんと視察をした方がいいと思って、」
「あなた、ヴァレ。お仕事の話は食事の後でも宜しいでしょう?折角家族全員揃ってるんですから。」
「あ、ごめんごめん。」
「すみません。」
「ふふ!父様もヴァレも楽しそうね!」
以前はそう。こんな風に明るく仕事の話は出来なかった。
自分から父に仕事の相談をしたいと言い出す事もなかった。
なるべく父に頼らないように、自分で何とかしなければと焦ってばかりだった。
母や姉たちのいる前であれば尚更。心配をかけまいとばかりで、毎日必死だった。
優しい家族にも気を使い、仕事でも気を使い。毎日怯え、気を使い続け、周りの目を酷く気にしていた臆病な私。
家族と食事をしていても、会話をしていても伺うように。
話す言葉だっておどおどとして、何を伝えたいのかもまとまっていない。
もうとっくに限界だった私の心を軽くしてくれたのは、私に自信を与えてくれたのは、私の愛する女だった。
今なら分かる。家族でも誰でも私を変える事は出来なかったのだと。
家族の誰かがサイカと同じ言葉を私に伝えても、きっと私は身内だからと素直に受け止めなかっただろう。
息子だから、弟だから、家族だから贔屓をしてくれているのだろうとそういつまで経っても疑って、変わりたいと思うけれど変われなかっただろう。
きっとサイカの言葉だから、私は素直に受け入れられた。
父は父、私は私。誰かとも違う。でもそれでいい。
私はもう、自分の容姿も恥じたりしない。
だってこの醜いと言われる私の容姿を大好きだと言ってくれる恋人がいるのだから。
愛しい人が私を格好いいと言ってくれる。好きだと言ってくれる。
だから私はもう、誰から何を言われようとも自分の容姿で悩んだりしない。
サイカが私を愛し続けてくれる限り、誰の悪意に満ちた言葉にも惑わされない。
「…本当、今のヴァレはすごくいい顔してる。
自信に溢れてるっていうのね。こういうの。」
「はい。今まで私は周りの人たちが怖かった。
父さんや母さん、姉さんたちには心配をかけてばかりで…いつも、私を守ってくれていた事も気付いていました。
だけど私は臆病だったから、気付いていたけれど気付かないっ振りをして、守ってくれている事に甘えていたのです。」
「それでいいのよヴァレ。だって私たち、家族なんだから!
それにヴァレは私の可愛い弟だもの!」
「有り難うございます、姉さん。だけど、それでは駄目なのです。姉さんたちはもう嫁いだ身です。子供もいます。これからだって大切なものがどんどん増えていくでしょう。
私を気にしてばかりではいられなくなります。姉さんたちが大切なものを二の次にしてしまうのは嫌です。」
「…迷惑?」
「私たち…ヴァレの足枷になってた…?」
「いいえ。迷惑なんて!私は、私の甥や姪に情けない叔父と思われたくありません。格好つけたいのです。
それに…私の周りには、凄い方たちばかり。愛する人に頼られたい。そしていつか、自分の子が出来た時…父さんのように、頼られ、尊敬される父親になりたいのです。」
「ヴァレリア…」
「んまあ!ヴァレ!貴方恋人がいたの!?ねえ!!」
「ちょっと初耳なんだけど!!」
「父様も母様も知ってた!?」
「お母様は知らなかったわ…。だけど、最近のヴァレを見てて…もしかしたら、とは思っていたの。
最近というか…一年くらいかしらね。ね?あなた。そうよね?」
「…流石。母は鋭いな。」
「父さんには話をしていました。
…そうですね…母さんや姉さんたちに隠しておくのも嫌です。
全部、お話します。私と、そして私の恋人の事。家族に嘘も隠し事もしたくありませんから。」
家族皆が集まるダイニング。
食事が運ばれ、きらきらと期待の膨らんだ表情の母や姉たちは待ちきれないと早く話をするように促してくる。
サイカが娼婦である事は本当であれば隠しておいた方がいい事実。
だけど父さん、母さん、そして姉さんたちならきっと、私が愛した人がどんな人間であろうと受け入れてくれる気がしていた。
「彼女はサイカといいます。
出会いは一年前、花街で出会いました。」
「……花街?待て待てヴァレリア。……花街という事は…娼婦だったのかい?」
「はい。あの頃の私は周りの悪意の声、眼差し、態度に慣れようと毎日必死で、」
全てを包み隠さず話した。
人から悪意を向けられていた私が毎日どんな思いで過ごしていたか。
仕事でも随分気を使っていたこと。自分を小さく見せなるだけ周りの視界に入れないしていたこと。
だけど悪意は無くならず寧ろ増えていくばかりで、そんな悪意に慣れようと花街に訪れていた事。
一年花街を歩き続けても、それでも悪意に慣れなかった事も。
「…ヴァレ……そんな無茶を…!」
「もう、父様!王宮は一体どうなってるんですの!!」
「全くよ!!自分たちがどれだけ偉いのか知らないけど!!
人の悪口を言う暇があったら仕事しろっていうのよ!!」
「…落ち着きなさいな。それでヴァレ、そのサイカさんという方とはその時に?」
「ええ。サイカが娼館のオーナーと一緒に買い物をしていた時にぶつかってしまったのがきっかけでした。
私への態度は何処に居ても皆同じ。まるで化け物でも見るかのように…勿論花街でも同じでした。
落とし物を拾えば罵倒されたり、私が触れた物はもういらないとも言われました。少し体が触れただけで気持ち悪いと言われもしました。何もしていないのに、まるで今から私が何かをするみたいに。」
「…そんな、」
「酷い…酷いわ…!」
「だけどサイカは違いました。ぶつかって、彼女が転びそうになって、私は咄嗟に彼女の腕を取り転びそうになっていた体を支えました。
…私の容姿を見ても、サイカは嫌な顔一つする事なく。
当たり前のようにお礼を言ってくれました。」
今でも覚えている。あの時に感じた思い。
信じられなかった。だけど嬉しかった。
私をちゃんと人間として扱ってくれる。態度を変える事なく人として当たり前に礼をとってくれた。
「…余り誉められた事ではありませんが……私はどうしても彼女が気になって、その、後をつけたのです。
ある娼館に入るのを見て、彼女がその店の娼婦である事を知りました。
…まあ、オーナーには後をつけているのはバレてましたので恥ずかしい限りなんですけど…。」
「……娼婦かぁ……ヴァレの恋は応援したいけど……うーん、その…ヴァレ、騙されてるんじゃ……」
「皆の気持ちは理解しています。
けれど娼婦という職で判断しないで欲しいのです。
私の心を軽くしてくれたのも、自信を与えてくれたのもサイカなのです。
慎ましく、優しく、包み込むような温かい心を持つ素晴らしい女性です。いつも感謝を忘れず誰かを思う温かい女性です。
私は、彼女に出会えた奇跡を宝に思います。」
『………。』
受け入れて欲しい。大切な家族だからこそ、私はサイカを受け入れて欲しいと思う。
私の愛した人は、素晴らしい女性だ。
私の愛した人は、心も美しい女性だ。
私の愛した人を、家族にも好きになってもらいたい。
「苦しんでいた私にサイカはこう言いました。
人を貶める人間は程度の低い人間だと。
そういう人は私だけでなく、色んな人の悪い部分ばかりを見て、良い所は見ないのだと。
そういう人間は相手にしなくていい。…そう言われた時に私は納得しました。」
「…その通りだよ。」
「はい。あの方たちは私だけじゃない。父さんや他の人たち、あの方たちが気に入らないと思う人間に対して常にそうでした。
他の人もそうです。よく観察すれば私にだけじゃない。
気に入らない人間に対し、その人の悪い部分、失敗した事ばかりを何度も繰り返し悪意ある言葉を発していました。
…初めて、下らないと思えました。」
「…そう、そうだね。本当に下らない事だ。」
「ええ。だからこんな程度の低い人たちの悪意ある言葉で、私が傷付く必要はないのだと。
サイカはこうも言いました。程度の低い人たちの悪意で私が傷付き、その人たちの意のままに私が沈み、塞ぐ事の方が問題なのだと。私らしさが失われていく事は私が大切にしている家族を傷付けている。」
「…ああ、ヴァレ…」
「考えさせられました。本当にその通りだったと。
私が沈み、塞ぎ、臆病であった為に父さんも母さんも、そして姉さんたちも…そんな私を見て傷付いていた。
サイカの言葉は私の目を覚ませてくれました。
他人の言葉を鵜呑みにし傷付くのではなく、私を案じてくれる人たちを大切にして欲しい、その言葉に目が覚めたのです。
サイカに出会わなければ、きっと私は変われなかったでしょう。」
今の私があるのは、愛する人のお陰。
今、人生が楽しいと思えるのも、仕事に遣り甲斐を感じるのも、全て愛する人がいるから。
サイカが私の生きる活力になる。私の力の源になる。
「私はサイカに求婚するつもりです。…私の愛する人を父さんや母さん、姉さんたちに好きになってもらいたいのです。
娼婦である事を負に捉えず、サイカ自身を見てもらいたいのです。そうすれば私の愛する人が、どれだけ素晴らしい女性か分かるはずですから。」
お願いしますと頭を下げる。
すると暫くして、顔を上げなさいと父の声がした。
「私は反対しない。娼婦という事は聞いていなかったから…最初は驚いたけれど、私はヴァレリアからサイカさんの事をずっと聞いていたしね。娼婦という事は置いておいて、ヴァレリアの愛する人が素晴らしい女性である事は知ってるよ。
…皆はどうかな。」
「反対しませんよ。ヴァレがそこまで思っている方なのだから。娼婦であるという事は追々考えましょう。きっとなんとかなるわ。」
「私も応援するわ!いい子じゃない!」
「ええ、そうね。娼婦だって言うから…ヴァレが騙されてるんじゃないかと思ったけど。…でも、話を聞いてすごく素敵な人だと思ったわ。」
「程度の低い人間…!ふふ、何だかスカッとしたわね!
可愛い弟がこんなに男らしくなったんだもの!愛の力って凄いわねー!」
「…ありがとうございます、父さん、母さん、姉さんたちも…。
…娼婦であっても私の愛する人を認めてもらって嬉しいです。
…その、実は…サイカはもうすぐ娼婦ではなくなるのです。
娼婦を辞めた後はクライス侯爵閣下の養女となります。」
『…え?』
「それからサイカは、陛下の婚約者でもあります。」
『…え?』
「更に言えば…騎士団副団長のカイル殿、それからクラフ公爵閣下もサイカの恋人です。」
『…え?』
ぽかんと口を開けたまま同じ表情になる家族に思わず笑みが漏れる。
「…すみません。まずは娼婦であるという事とサイカ自身を知ってもらいたくて敢えてこの話はしませんでした。
私たちは同じくサイカを愛し、皆で交際を申し込みました。
私もそうですが…本当は、皆独り占めしたいのです。
ですがそうすれば…勝つのは陛下ですから。」
「ヴァ、ヴァレリア、…え?陛下に、それに、クラフ公爵閣下?え?騎士団の副団長殿?クライス侯爵閣下?」
「……皆、この国の中心人物と言ってもいい方たちじゃない…!」
「ちょ、ちょっと待ってヴァレ、…そ、その中にヴァレもいるって…こと…よね!?」
「へ、陛下の婚約者でもあって、ヴァレの恋人でもあるの!?しかも陛下だけでなくクラフ公爵様や騎士団の副団長様まで!?な、なんか、凄い事になってない…!?ヴァレ、貴方大丈夫!?陛下が相手よ!?勝てる!?」
「それよりもクライス侯爵様の養女って何!?クライス侯爵様と言ったら四つある侯爵位の家の中でも一番力のある方じゃないの…!!」
「ええ。まあ…話すと長くなるのですが。」
「いや、いいから話しなさい!大事な事だからねヴァレリア!!」
身を乗り出す勢いとはこのことか。
急な、しかもかなり大事な情報に混乱する家族に私はこれまでの事、今後の事を話した。
皆同じく強い思いでサイカを求めている事。
陛下が相手では誰も勝てない。けれどサイカを守る為に陛下は私たち三人を受け入れてくれた事。
私がサイカに求婚するのはサイカがクライス候の養女となってから。
そして何故、サイカを守らなければならないか。
サイカの美貌とあの忌まわしい事件について。
そしてサイカが娼婦であった事実は内密にして欲しいというお願いも。
「…そうか。それであの時、ファニーニ伯爵の事を聞いてきたんだね。」
「はい。」
「…何て卑劣なの…」
「その事件の事は覚えてるわ。すっごく嫌な男だって思ったもの!」
「そうね。貴族だろうと平民だろうと、それが娼婦であろうと。か弱い女を無理矢理ものにしようとするだけでなく暴力まで。…あってはいけないわ。」
「サイカさん、とても怖い思いをしたでしょうね…。同じ女として許せない!!」
「だけど、彼女は見事に乗り越えたのね。…強い人だと思うわ。
流石、ヴァレが選んだお嬢さんね。会うのが楽しみよ。」
「娼婦であると言わずにいる事も考えました。
ですが、私は家族に嘘をつきたくありません。
…でも、私が思った通りでした。父さんも母さんも、姉さんたちも、応援すると言ってくれて、娼婦だからではなく、サイカ自身を見ようとしてくれました。…ありがとう。本当にありがとうございます。」
長く掛かった話で食事はすっかり冷めてしまっていたけれど、だけどとても温かくて、幸せな食卓になった。
私の好きな人を、愛する人のことを家族に話せる喜び。
少し照れくさくもあったけれど、だけど父が、母が、姉たちが嬉しそうに、時には興味深げに聞いてくれるから。
少し前の私であれば恋の話なんて絶対に出来なかったから。
諦めていたものが、私にはきっと無理だと思っていたものが今、奇跡の様に。
ふふ、明日は問題なくサイカに会いに行けます。」
一日たりと日を無駄には出来ない。
何故ならもうあと二週間もしない内にサイカが月光館を去るからだ。
婚約者ではないけれど、私とてサイカの恋人。会う権利は当然ある。
けれどこの帝都ではく、クライス領までは馬車で二、三日はかかってしまう距離にある。
帝都にあった花街のようにすぐに行ける距離ではない。
サイカが娼婦を辞めるまでの間、私はサイカに二回しか会えないのだから、一日たりと無駄にはしたくない。
「…まだ時間はありますね…。念のためもう少しやってから帰りましょうか。そうすれば長くサイカと一緒に居られますし。」
再びペンを取り手を動かす。
少し前までは億劫だった仕事も、今は遣り甲斐を持つようになった。
それもこれもサイカがいるから。
サイカに会う前まではこれ以上父の汚点にならないように、父が周りに何か言われないようにと毎日毎日気を使い続けていた。
気を使いすぎる余り、終わった後はいつも疲労感が凄まじいものだった。
一日一日疲弊して帰る毎日。帰っても疲れた様子で帰宅した私を見て家族に心配ばかりかけていた毎日はサイカと出会って変わった。
誰かを愛す、そして愛する人と結ばれるという奇跡…毎日が光輝いていた。
私の人生にサイカが、愛する人がいるだけでこうも違う毎日になった。
「ヴァレ、お帰りなさい!」
「お帰りヴァレー!来てるわよ!」
「久しぶりヴァレ!」
「あれ、姉さんたち来ていたのですね!」
「ええそうなの。たまには元気な顔を見せないとね!子供たちは夫が見てくれてるんだけど。」
「私の所は今日はお留守番。お義母様たちが見てくれているわ!」
「うちもたまにはって向こうのご両親が見てくれてるの。」
「各々が月に何度も帰って来てるのはたまにはではないですよ。
甥姪たちが来てないのは残念ですけど…でも嬉しいです。こうして姉弟四人一緒は久しぶりですから!」
「ヴァレ…いい顔をするようになったわね…!仕事は楽しい?」
「楽しい、と言いますか、遣り甲斐はあります。
毎日毎日色んな案が浮かんで、したい事があるのです。仕事ではありませんが私は今、毎日が充実しているのですよ。」
「そう…!そうなのね!続きはダイニングで聞くわ!早く行きましょう!?」
姉たちは私を心配して頻繁に家に様子を見に来てくれる。
私が疲れた顔で帰って来た時に姉たちがいると、仕事の話は聞かず楽しい話ばかりしてくれた。いつも元気づけようとしてくれていた。
傷ついた私にこれ以上傷を負わせないように、家族もまた私に気を使ってくれていたのだろう。
それが心苦しい時もあった。でも今は違う。
「母さん、只今帰りました。」
「お帰りなさいヴァレ。今日も疲れたでしょう?」
「ええ、でも大丈夫です。」
「お帰りヴァレリア。今日は私の方が少し早かったみたいだね。」
「父さん!ああ、丁度良かったです!仕事で父さんに意見を聞きたい事があって、東にある村の税についてなんですが、」
「東…ああ…今年、東は特に雨が少なかっただろうから来年も同じように税を課すのは止めた方がいいね。」
「ええ。それなんです。ちゃんと視察をした方がいいと思って、」
「あなた、ヴァレ。お仕事の話は食事の後でも宜しいでしょう?折角家族全員揃ってるんですから。」
「あ、ごめんごめん。」
「すみません。」
「ふふ!父様もヴァレも楽しそうね!」
以前はそう。こんな風に明るく仕事の話は出来なかった。
自分から父に仕事の相談をしたいと言い出す事もなかった。
なるべく父に頼らないように、自分で何とかしなければと焦ってばかりだった。
母や姉たちのいる前であれば尚更。心配をかけまいとばかりで、毎日必死だった。
優しい家族にも気を使い、仕事でも気を使い。毎日怯え、気を使い続け、周りの目を酷く気にしていた臆病な私。
家族と食事をしていても、会話をしていても伺うように。
話す言葉だっておどおどとして、何を伝えたいのかもまとまっていない。
もうとっくに限界だった私の心を軽くしてくれたのは、私に自信を与えてくれたのは、私の愛する女だった。
今なら分かる。家族でも誰でも私を変える事は出来なかったのだと。
家族の誰かがサイカと同じ言葉を私に伝えても、きっと私は身内だからと素直に受け止めなかっただろう。
息子だから、弟だから、家族だから贔屓をしてくれているのだろうとそういつまで経っても疑って、変わりたいと思うけれど変われなかっただろう。
きっとサイカの言葉だから、私は素直に受け入れられた。
父は父、私は私。誰かとも違う。でもそれでいい。
私はもう、自分の容姿も恥じたりしない。
だってこの醜いと言われる私の容姿を大好きだと言ってくれる恋人がいるのだから。
愛しい人が私を格好いいと言ってくれる。好きだと言ってくれる。
だから私はもう、誰から何を言われようとも自分の容姿で悩んだりしない。
サイカが私を愛し続けてくれる限り、誰の悪意に満ちた言葉にも惑わされない。
「…本当、今のヴァレはすごくいい顔してる。
自信に溢れてるっていうのね。こういうの。」
「はい。今まで私は周りの人たちが怖かった。
父さんや母さん、姉さんたちには心配をかけてばかりで…いつも、私を守ってくれていた事も気付いていました。
だけど私は臆病だったから、気付いていたけれど気付かないっ振りをして、守ってくれている事に甘えていたのです。」
「それでいいのよヴァレ。だって私たち、家族なんだから!
それにヴァレは私の可愛い弟だもの!」
「有り難うございます、姉さん。だけど、それでは駄目なのです。姉さんたちはもう嫁いだ身です。子供もいます。これからだって大切なものがどんどん増えていくでしょう。
私を気にしてばかりではいられなくなります。姉さんたちが大切なものを二の次にしてしまうのは嫌です。」
「…迷惑?」
「私たち…ヴァレの足枷になってた…?」
「いいえ。迷惑なんて!私は、私の甥や姪に情けない叔父と思われたくありません。格好つけたいのです。
それに…私の周りには、凄い方たちばかり。愛する人に頼られたい。そしていつか、自分の子が出来た時…父さんのように、頼られ、尊敬される父親になりたいのです。」
「ヴァレリア…」
「んまあ!ヴァレ!貴方恋人がいたの!?ねえ!!」
「ちょっと初耳なんだけど!!」
「父様も母様も知ってた!?」
「お母様は知らなかったわ…。だけど、最近のヴァレを見てて…もしかしたら、とは思っていたの。
最近というか…一年くらいかしらね。ね?あなた。そうよね?」
「…流石。母は鋭いな。」
「父さんには話をしていました。
…そうですね…母さんや姉さんたちに隠しておくのも嫌です。
全部、お話します。私と、そして私の恋人の事。家族に嘘も隠し事もしたくありませんから。」
家族皆が集まるダイニング。
食事が運ばれ、きらきらと期待の膨らんだ表情の母や姉たちは待ちきれないと早く話をするように促してくる。
サイカが娼婦である事は本当であれば隠しておいた方がいい事実。
だけど父さん、母さん、そして姉さんたちならきっと、私が愛した人がどんな人間であろうと受け入れてくれる気がしていた。
「彼女はサイカといいます。
出会いは一年前、花街で出会いました。」
「……花街?待て待てヴァレリア。……花街という事は…娼婦だったのかい?」
「はい。あの頃の私は周りの悪意の声、眼差し、態度に慣れようと毎日必死で、」
全てを包み隠さず話した。
人から悪意を向けられていた私が毎日どんな思いで過ごしていたか。
仕事でも随分気を使っていたこと。自分を小さく見せなるだけ周りの視界に入れないしていたこと。
だけど悪意は無くならず寧ろ増えていくばかりで、そんな悪意に慣れようと花街に訪れていた事。
一年花街を歩き続けても、それでも悪意に慣れなかった事も。
「…ヴァレ……そんな無茶を…!」
「もう、父様!王宮は一体どうなってるんですの!!」
「全くよ!!自分たちがどれだけ偉いのか知らないけど!!
人の悪口を言う暇があったら仕事しろっていうのよ!!」
「…落ち着きなさいな。それでヴァレ、そのサイカさんという方とはその時に?」
「ええ。サイカが娼館のオーナーと一緒に買い物をしていた時にぶつかってしまったのがきっかけでした。
私への態度は何処に居ても皆同じ。まるで化け物でも見るかのように…勿論花街でも同じでした。
落とし物を拾えば罵倒されたり、私が触れた物はもういらないとも言われました。少し体が触れただけで気持ち悪いと言われもしました。何もしていないのに、まるで今から私が何かをするみたいに。」
「…そんな、」
「酷い…酷いわ…!」
「だけどサイカは違いました。ぶつかって、彼女が転びそうになって、私は咄嗟に彼女の腕を取り転びそうになっていた体を支えました。
…私の容姿を見ても、サイカは嫌な顔一つする事なく。
当たり前のようにお礼を言ってくれました。」
今でも覚えている。あの時に感じた思い。
信じられなかった。だけど嬉しかった。
私をちゃんと人間として扱ってくれる。態度を変える事なく人として当たり前に礼をとってくれた。
「…余り誉められた事ではありませんが……私はどうしても彼女が気になって、その、後をつけたのです。
ある娼館に入るのを見て、彼女がその店の娼婦である事を知りました。
…まあ、オーナーには後をつけているのはバレてましたので恥ずかしい限りなんですけど…。」
「……娼婦かぁ……ヴァレの恋は応援したいけど……うーん、その…ヴァレ、騙されてるんじゃ……」
「皆の気持ちは理解しています。
けれど娼婦という職で判断しないで欲しいのです。
私の心を軽くしてくれたのも、自信を与えてくれたのもサイカなのです。
慎ましく、優しく、包み込むような温かい心を持つ素晴らしい女性です。いつも感謝を忘れず誰かを思う温かい女性です。
私は、彼女に出会えた奇跡を宝に思います。」
『………。』
受け入れて欲しい。大切な家族だからこそ、私はサイカを受け入れて欲しいと思う。
私の愛した人は、素晴らしい女性だ。
私の愛した人は、心も美しい女性だ。
私の愛した人を、家族にも好きになってもらいたい。
「苦しんでいた私にサイカはこう言いました。
人を貶める人間は程度の低い人間だと。
そういう人は私だけでなく、色んな人の悪い部分ばかりを見て、良い所は見ないのだと。
そういう人間は相手にしなくていい。…そう言われた時に私は納得しました。」
「…その通りだよ。」
「はい。あの方たちは私だけじゃない。父さんや他の人たち、あの方たちが気に入らないと思う人間に対して常にそうでした。
他の人もそうです。よく観察すれば私にだけじゃない。
気に入らない人間に対し、その人の悪い部分、失敗した事ばかりを何度も繰り返し悪意ある言葉を発していました。
…初めて、下らないと思えました。」
「…そう、そうだね。本当に下らない事だ。」
「ええ。だからこんな程度の低い人たちの悪意ある言葉で、私が傷付く必要はないのだと。
サイカはこうも言いました。程度の低い人たちの悪意で私が傷付き、その人たちの意のままに私が沈み、塞ぐ事の方が問題なのだと。私らしさが失われていく事は私が大切にしている家族を傷付けている。」
「…ああ、ヴァレ…」
「考えさせられました。本当にその通りだったと。
私が沈み、塞ぎ、臆病であった為に父さんも母さんも、そして姉さんたちも…そんな私を見て傷付いていた。
サイカの言葉は私の目を覚ませてくれました。
他人の言葉を鵜呑みにし傷付くのではなく、私を案じてくれる人たちを大切にして欲しい、その言葉に目が覚めたのです。
サイカに出会わなければ、きっと私は変われなかったでしょう。」
今の私があるのは、愛する人のお陰。
今、人生が楽しいと思えるのも、仕事に遣り甲斐を感じるのも、全て愛する人がいるから。
サイカが私の生きる活力になる。私の力の源になる。
「私はサイカに求婚するつもりです。…私の愛する人を父さんや母さん、姉さんたちに好きになってもらいたいのです。
娼婦である事を負に捉えず、サイカ自身を見てもらいたいのです。そうすれば私の愛する人が、どれだけ素晴らしい女性か分かるはずですから。」
お願いしますと頭を下げる。
すると暫くして、顔を上げなさいと父の声がした。
「私は反対しない。娼婦という事は聞いていなかったから…最初は驚いたけれど、私はヴァレリアからサイカさんの事をずっと聞いていたしね。娼婦という事は置いておいて、ヴァレリアの愛する人が素晴らしい女性である事は知ってるよ。
…皆はどうかな。」
「反対しませんよ。ヴァレがそこまで思っている方なのだから。娼婦であるという事は追々考えましょう。きっとなんとかなるわ。」
「私も応援するわ!いい子じゃない!」
「ええ、そうね。娼婦だって言うから…ヴァレが騙されてるんじゃないかと思ったけど。…でも、話を聞いてすごく素敵な人だと思ったわ。」
「程度の低い人間…!ふふ、何だかスカッとしたわね!
可愛い弟がこんなに男らしくなったんだもの!愛の力って凄いわねー!」
「…ありがとうございます、父さん、母さん、姉さんたちも…。
…娼婦であっても私の愛する人を認めてもらって嬉しいです。
…その、実は…サイカはもうすぐ娼婦ではなくなるのです。
娼婦を辞めた後はクライス侯爵閣下の養女となります。」
『…え?』
「それからサイカは、陛下の婚約者でもあります。」
『…え?』
「更に言えば…騎士団副団長のカイル殿、それからクラフ公爵閣下もサイカの恋人です。」
『…え?』
ぽかんと口を開けたまま同じ表情になる家族に思わず笑みが漏れる。
「…すみません。まずは娼婦であるという事とサイカ自身を知ってもらいたくて敢えてこの話はしませんでした。
私たちは同じくサイカを愛し、皆で交際を申し込みました。
私もそうですが…本当は、皆独り占めしたいのです。
ですがそうすれば…勝つのは陛下ですから。」
「ヴァ、ヴァレリア、…え?陛下に、それに、クラフ公爵閣下?え?騎士団の副団長殿?クライス侯爵閣下?」
「……皆、この国の中心人物と言ってもいい方たちじゃない…!」
「ちょ、ちょっと待ってヴァレ、…そ、その中にヴァレもいるって…こと…よね!?」
「へ、陛下の婚約者でもあって、ヴァレの恋人でもあるの!?しかも陛下だけでなくクラフ公爵様や騎士団の副団長様まで!?な、なんか、凄い事になってない…!?ヴァレ、貴方大丈夫!?陛下が相手よ!?勝てる!?」
「それよりもクライス侯爵様の養女って何!?クライス侯爵様と言ったら四つある侯爵位の家の中でも一番力のある方じゃないの…!!」
「ええ。まあ…話すと長くなるのですが。」
「いや、いいから話しなさい!大事な事だからねヴァレリア!!」
身を乗り出す勢いとはこのことか。
急な、しかもかなり大事な情報に混乱する家族に私はこれまでの事、今後の事を話した。
皆同じく強い思いでサイカを求めている事。
陛下が相手では誰も勝てない。けれどサイカを守る為に陛下は私たち三人を受け入れてくれた事。
私がサイカに求婚するのはサイカがクライス候の養女となってから。
そして何故、サイカを守らなければならないか。
サイカの美貌とあの忌まわしい事件について。
そしてサイカが娼婦であった事実は内密にして欲しいというお願いも。
「…そうか。それであの時、ファニーニ伯爵の事を聞いてきたんだね。」
「はい。」
「…何て卑劣なの…」
「その事件の事は覚えてるわ。すっごく嫌な男だって思ったもの!」
「そうね。貴族だろうと平民だろうと、それが娼婦であろうと。か弱い女を無理矢理ものにしようとするだけでなく暴力まで。…あってはいけないわ。」
「サイカさん、とても怖い思いをしたでしょうね…。同じ女として許せない!!」
「だけど、彼女は見事に乗り越えたのね。…強い人だと思うわ。
流石、ヴァレが選んだお嬢さんね。会うのが楽しみよ。」
「娼婦であると言わずにいる事も考えました。
ですが、私は家族に嘘をつきたくありません。
…でも、私が思った通りでした。父さんも母さんも、姉さんたちも、応援すると言ってくれて、娼婦だからではなく、サイカ自身を見ようとしてくれました。…ありがとう。本当にありがとうございます。」
長く掛かった話で食事はすっかり冷めてしまっていたけれど、だけどとても温かくて、幸せな食卓になった。
私の好きな人を、愛する人のことを家族に話せる喜び。
少し照れくさくもあったけれど、だけど父が、母が、姉たちが嬉しそうに、時には興味深げに聞いてくれるから。
少し前の私であれば恋の話なんて絶対に出来なかったから。
諦めていたものが、私にはきっと無理だと思っていたものが今、奇跡の様に。
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