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11 サイカとヴァレリア
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童貞だからと完全に舐めていたヴァレリア様との獣のような初セックスを終え、にこにこといい笑顔で帰っていったヴァレリア様が再び私に会いに来たのはその二日後のことだった。
「…ヴァレリア様、二日振りですね!
また直ぐ会えて嬉しいです…!」
「すみません…こんな、すぐ…、」
あれ?と思った。
ヴァレリア様のまるで初めて会った時のような、自信無さげなおどおどとした様子。
つい二日前この部屋から出ていく時はあんなにいい笑顔で別れたではないか。
童貞を卒業して気弱と可愛さにグッバイしたのではなかったのか?一皮剥けたはずでは?と驚きを隠せない。
「…ヴァレリア様…何かありました…?」
「………いえ。」
何かあったなとすぐ分かった。分りやすすぎたので。
取り合えずヴァレリア様にはソファーに座ってもらい、私は紅茶を淹れる。
穴が空きそうな程の熱い視線を感じるがヴァレリア様は私に声を掛けるでもなく、ただただ私の一つ一つの動きをじっと見ているだけだった。
「…はい。紅茶が入りましたよ。」
「…ありがとうございます…。」
私もヴァレリア様の隣に座り一緒に紅茶を飲む。
ほう、と安堵した様な溜め息が隣から聞こえ、私はテーブルにカップを置くとヴァレリア様を見つめ、膝をぽん、と叩く。
「ヴァレリア様、膝枕をしてあげます。」
「え…!?」
「膝枕はお嫌ですか?」
「…い、いえ…、膝枕なんて、…そんなこと…今まで経験もありませんし…」
「では私の膝に頭を置いて下さい。そしたら私はヴァレリア様の頭を撫でます。」
「あ…頭を…撫で……、」
顔を赤くさせ緊張した面持ちのままヴァレリア様は私の膝に頭を置く。
かちこちに固まっているヴァレリア様を見ると何だかおかしくなった。
セックスの時はあんなに積極的で格好よかったのに、今は気弱で可愛いヴァレリア様に戻っている。
細い、さらさらの銀髪に手を添えて、まずはヴァレリア様の緊張を解かないとなと頭を撫でた。
どれくらいヴァレリア様の頭撫で続けただろう。
かちこちに体を固めていたヴァレリア様の力が抜けていき、今では気持ち良さそうに目を閉じている。猫みたいで可愛い。
「…ふふ、気持ち良さそうですね、ヴァレリア様。」
「……ええ。」
ゆっくりとヴァレリア様の目が開き、じっと私を見る。
ここでは絶世の美女でも下から見られるのは勘弁願いたい。
なので私も顔を下に向けヴァレリア様の目を見た。
「……サイカは…どうしてそんなに優しいのですか…?」
「ん?」
「サイカは私を醜いとは思わないのですか…?」
「全く。…ヴァレリア様は私がどういう娼婦か、知っているんですよね?」
「…私のような醜い相手をしてくれると…この娼館のオーナーから聞きました…でも…」
「信じられない?」
「…ええ。私の顔を見た人たちの態度は酷いものです…でも、それが、当たり前なんです。家族以外で…私の見目を受け入れてくれた人はいない。……サイカ以外は。だからこの間も今も、不思議で…夢、みたいで…信じられない…。」
うーん。やっぱり根が深い。
マティアス様は兎も角、家族に愛されているヴァレリア様ならまだ、“ああ、そういう趣向の人もいるんだな”と納得してくれるかと思ったけれど。
でもそうだ。それは私が決める事ではなくヴァレリア様が決める事だった。
「…二日前にサイカと過ごして…少し、変われたような気がしたんです。
…何というか、自信が出たというか…。…でも、私は全然、変われてなかった。」
「……。」
「この二日、私はやっぱり誰かの態度や言葉に傷付いて…俯いて…耐えるしかなかった…。
自信がどんどん萎んで…あの時の私は何だったんだろうって。」
「…それで、今日来てくれたんです?」
「…はい。」
じゃあ、そのまま聞いて下さいねと私は自分の美的感覚が周りの人と違っている事をヴァレリア様に話した。
周りよりもうんとヴァレリア様が格好よく見える事、そして臆病だけどその真面目で優しい性格も好感しかないという事も。
「世の中には沢山の人がいます。…どんな人も、誰からも好かれるなんてそんな奇跡みたいな事は絶対にありません。
私だって、きっと誰かには嫌われる。」
「…そんな事…」
「いいえ。私は人から嫌われないように、無難に生きようとしてきたけれど…それでもやっぱり誰かには疎ましく思われてきたんです。
大半は私に興味がありません。ただの知り合い。一緒に働く仲間。
でも私を嫌う人は必ずいて、陰口を言われたり、無視をされたり。
そんな時はやっぱり悲しいし、何もしてないのにって腹が立ちました。」
「…ええ……分かります…痛いほど。」
「はい。でもその反対に私を好いてくれる人もいます。気が合って、時間をかけて友人になったり。
否定されると悲しい。何とかその人と仲良くなりたいと思った時もありました。」
「…出来たのですか…?」
「…残念ながら。誰かに自分を否定され続ける事はとても苦しくて、それが続くと周りの全ての人に嫌われていると錯覚しそうになる。
不思議ですね。好意よりも悪意の方が気になる。
私も悩んだ時がありましたけど、でも、それで気付く事もあった。」
「…何に、気付いたんですか…?」
「ふふ。私を好きだと言ってくれる人がどれだけ大切な存在か、です。
私はこれ以上その人に嫌われないように、自分を小さく、小さくして生きていました。
自分の存在が消えるように、その人に見えなくなるように。
小さくなって、その人の顔を伺って。」
「………。」
そうしていく内に性格まで変わっていく。
それまで明るい性格だったのに、まるで人が変わったように暗く。
そんな時に私を助けてくれたのは友人だったり家族だったり。
私を好いて、大切にしてくれる人たちだった。
「外に出るのも億劫になって、遊びに誘ってくれたのに断って。
一緒にいても鬱々してて。何でそんな人のせいで、性格まで変えなくちゃいけないのって言われました。
私を好いている人より、私を嫌っている人の方が大切なのかって。
その時に私はやっと気付いたんですよね…私を好いてくれている人を傷付けていたんだって。」
「………は、い…。」
「ヴァレリア様。貴方を嫌う人たちは、程度の低い人間です。
そんな人たちはヴァレリア様だけではくて、自分以外の人の悪い所ばかりを見て、人の良い所を見ない人たちです。
そんな人たちと同じ場所に立ってやる必要もないし、負けるかと挑発に乗ってやる必要もないです。無視です無視。相手にするだけ無駄なんですから。」
「……ふ、」
「そんな人たちよりも、ヴァレリア様を大切に思ってくれる人たちの方が大切です。
世界中の人がヴァレリア様を嫌っていると思わないで。
私は、ヴァレリア様が好きですよ。」
「…サイカ…」
私の言葉でヴァレリア様が変わるとは思ってない。
でも、誰だってずっと否定されて生きていれば、自信を失う。
マティアス様やヴァレリア様のように。
少しずつでいい。自信を持たせたい。
「…努力、してみます。直ぐにはきっと無理でしょう。…でも、貴女の言う通りだ…。
私は、家族と………貴女が、大切です。」
「ヴァレリア様…。」
「私を嫌う人より…私を好いてくれる家族と、貴女が大切です。大切にしたい。」
「はい!」
「必ず…変わってみせます。
……だから、…それまで……待っていて下さい…。」
「?はい。待ってますね。あ、でも、無理は駄目ですよ?
無理せず、ヴァレリア様のペースで変わっていけばいいんです。
辛くなったらまた話を聞きますから。」
「…膝枕も?」
「ぷ。ふふ、はい。膝枕をして頭を撫でますね?」
「…ありがとうございます。
…ねえ、サイカ…、」
「はい。」
したいです。とヴァレリア様からのお誘い。
ヴァレリア様は私の後頭部に長い片腕を回し、私の頭を自分の方へ引き寄せるとそのまま唇を重ねてきた。
「…ん…」
「ん。……サイカとセックスしたいです。いい…ですよね?」
「…はい。じゃあ…ベッドに連れていって下さい。」
「ええ、マイレディ。貴女の仰せのままに。」
ひゃあああ!と心の中で狂喜乱舞。
マイレディ!マイレディだと!?きゅんときた。すごくときめいた。
「…お、重くないですか?」
「いいえ。言ったでしょう?私は貧弱な体つきですが…男なんです。
サイカくらい抱き抱えるのはわけないんです。」
「ふふ…そうみたいですね。失礼しました。」
ヴァレリア様は男性にしては細いけれど、それでも力強い。
それは二日前の夜に嫌という程思い知った。
私を押さえ付けるヴァレリア様の力は本当に強くて、抗ってもびくともしない。
私の体にのし掛かるヴァレリア様の体も。体重だけであれば動かす事は出来ただろう。けれどヴァレリア様から与えられる快楽に身を捩ろうとする事も叶わず、私は抵抗すら許されなかった。
男と女の力の差をあれほど感じた事はない。
「…あの夜みたいに、自信を下さい。
私に、貴女を支配させて下さい…。貴女を組み敷いている男は私だと…自覚させて下さい…。」
「…そうすると自信がつく…?」
「…ええ…あの日もそうでした。私の下で貴女が快楽を享受していると思うと…支配欲が沸いて…。…少し…乱暴でしたけど…。」
「いいえ。乱暴なんて。あの日の夜、ヴァレリア様は私の体を傷付けたりしませんでしたよ?」
「…サイカの体を傷付けるなんて…そんな事、出来るはずないでしょう?
こんなに可愛い、愛らしい貴女を傷付けるなんて。」
どさりとベッドの上に下ろした私のドレスを、ヴァレリア様が素早く脱がせる。
「…ああ、本当に貴女は美しい…。」
「…ヴァレリア様…」
「寝ても覚めても貴女の姿がちらついて…。早く、…早く貴女と交わりたいと思っていたんです。」
私を見下ろすヴァレリア様は自分の着ているものを手早く脱いで、お腹に付くほど反り立ったものを私に触れさせた。
「…貴女とセックスすると考えるだけでほら…もう堪らない気持ちになる…。
早く貴女の中に入って、子種を植え付けたくなるんです。
愛しい雌を孕ませたいと、動物の…獣の本能ですね…。」
べろりと獣が舌なめずり。
私は再びヴァレリア様に翻弄されることになる。
「…ヴァレリア様、二日振りですね!
また直ぐ会えて嬉しいです…!」
「すみません…こんな、すぐ…、」
あれ?と思った。
ヴァレリア様のまるで初めて会った時のような、自信無さげなおどおどとした様子。
つい二日前この部屋から出ていく時はあんなにいい笑顔で別れたではないか。
童貞を卒業して気弱と可愛さにグッバイしたのではなかったのか?一皮剥けたはずでは?と驚きを隠せない。
「…ヴァレリア様…何かありました…?」
「………いえ。」
何かあったなとすぐ分かった。分りやすすぎたので。
取り合えずヴァレリア様にはソファーに座ってもらい、私は紅茶を淹れる。
穴が空きそうな程の熱い視線を感じるがヴァレリア様は私に声を掛けるでもなく、ただただ私の一つ一つの動きをじっと見ているだけだった。
「…はい。紅茶が入りましたよ。」
「…ありがとうございます…。」
私もヴァレリア様の隣に座り一緒に紅茶を飲む。
ほう、と安堵した様な溜め息が隣から聞こえ、私はテーブルにカップを置くとヴァレリア様を見つめ、膝をぽん、と叩く。
「ヴァレリア様、膝枕をしてあげます。」
「え…!?」
「膝枕はお嫌ですか?」
「…い、いえ…、膝枕なんて、…そんなこと…今まで経験もありませんし…」
「では私の膝に頭を置いて下さい。そしたら私はヴァレリア様の頭を撫でます。」
「あ…頭を…撫で……、」
顔を赤くさせ緊張した面持ちのままヴァレリア様は私の膝に頭を置く。
かちこちに固まっているヴァレリア様を見ると何だかおかしくなった。
セックスの時はあんなに積極的で格好よかったのに、今は気弱で可愛いヴァレリア様に戻っている。
細い、さらさらの銀髪に手を添えて、まずはヴァレリア様の緊張を解かないとなと頭を撫でた。
どれくらいヴァレリア様の頭撫で続けただろう。
かちこちに体を固めていたヴァレリア様の力が抜けていき、今では気持ち良さそうに目を閉じている。猫みたいで可愛い。
「…ふふ、気持ち良さそうですね、ヴァレリア様。」
「……ええ。」
ゆっくりとヴァレリア様の目が開き、じっと私を見る。
ここでは絶世の美女でも下から見られるのは勘弁願いたい。
なので私も顔を下に向けヴァレリア様の目を見た。
「……サイカは…どうしてそんなに優しいのですか…?」
「ん?」
「サイカは私を醜いとは思わないのですか…?」
「全く。…ヴァレリア様は私がどういう娼婦か、知っているんですよね?」
「…私のような醜い相手をしてくれると…この娼館のオーナーから聞きました…でも…」
「信じられない?」
「…ええ。私の顔を見た人たちの態度は酷いものです…でも、それが、当たり前なんです。家族以外で…私の見目を受け入れてくれた人はいない。……サイカ以外は。だからこの間も今も、不思議で…夢、みたいで…信じられない…。」
うーん。やっぱり根が深い。
マティアス様は兎も角、家族に愛されているヴァレリア様ならまだ、“ああ、そういう趣向の人もいるんだな”と納得してくれるかと思ったけれど。
でもそうだ。それは私が決める事ではなくヴァレリア様が決める事だった。
「…二日前にサイカと過ごして…少し、変われたような気がしたんです。
…何というか、自信が出たというか…。…でも、私は全然、変われてなかった。」
「……。」
「この二日、私はやっぱり誰かの態度や言葉に傷付いて…俯いて…耐えるしかなかった…。
自信がどんどん萎んで…あの時の私は何だったんだろうって。」
「…それで、今日来てくれたんです?」
「…はい。」
じゃあ、そのまま聞いて下さいねと私は自分の美的感覚が周りの人と違っている事をヴァレリア様に話した。
周りよりもうんとヴァレリア様が格好よく見える事、そして臆病だけどその真面目で優しい性格も好感しかないという事も。
「世の中には沢山の人がいます。…どんな人も、誰からも好かれるなんてそんな奇跡みたいな事は絶対にありません。
私だって、きっと誰かには嫌われる。」
「…そんな事…」
「いいえ。私は人から嫌われないように、無難に生きようとしてきたけれど…それでもやっぱり誰かには疎ましく思われてきたんです。
大半は私に興味がありません。ただの知り合い。一緒に働く仲間。
でも私を嫌う人は必ずいて、陰口を言われたり、無視をされたり。
そんな時はやっぱり悲しいし、何もしてないのにって腹が立ちました。」
「…ええ……分かります…痛いほど。」
「はい。でもその反対に私を好いてくれる人もいます。気が合って、時間をかけて友人になったり。
否定されると悲しい。何とかその人と仲良くなりたいと思った時もありました。」
「…出来たのですか…?」
「…残念ながら。誰かに自分を否定され続ける事はとても苦しくて、それが続くと周りの全ての人に嫌われていると錯覚しそうになる。
不思議ですね。好意よりも悪意の方が気になる。
私も悩んだ時がありましたけど、でも、それで気付く事もあった。」
「…何に、気付いたんですか…?」
「ふふ。私を好きだと言ってくれる人がどれだけ大切な存在か、です。
私はこれ以上その人に嫌われないように、自分を小さく、小さくして生きていました。
自分の存在が消えるように、その人に見えなくなるように。
小さくなって、その人の顔を伺って。」
「………。」
そうしていく内に性格まで変わっていく。
それまで明るい性格だったのに、まるで人が変わったように暗く。
そんな時に私を助けてくれたのは友人だったり家族だったり。
私を好いて、大切にしてくれる人たちだった。
「外に出るのも億劫になって、遊びに誘ってくれたのに断って。
一緒にいても鬱々してて。何でそんな人のせいで、性格まで変えなくちゃいけないのって言われました。
私を好いている人より、私を嫌っている人の方が大切なのかって。
その時に私はやっと気付いたんですよね…私を好いてくれている人を傷付けていたんだって。」
「………は、い…。」
「ヴァレリア様。貴方を嫌う人たちは、程度の低い人間です。
そんな人たちはヴァレリア様だけではくて、自分以外の人の悪い所ばかりを見て、人の良い所を見ない人たちです。
そんな人たちと同じ場所に立ってやる必要もないし、負けるかと挑発に乗ってやる必要もないです。無視です無視。相手にするだけ無駄なんですから。」
「……ふ、」
「そんな人たちよりも、ヴァレリア様を大切に思ってくれる人たちの方が大切です。
世界中の人がヴァレリア様を嫌っていると思わないで。
私は、ヴァレリア様が好きですよ。」
「…サイカ…」
私の言葉でヴァレリア様が変わるとは思ってない。
でも、誰だってずっと否定されて生きていれば、自信を失う。
マティアス様やヴァレリア様のように。
少しずつでいい。自信を持たせたい。
「…努力、してみます。直ぐにはきっと無理でしょう。…でも、貴女の言う通りだ…。
私は、家族と………貴女が、大切です。」
「ヴァレリア様…。」
「私を嫌う人より…私を好いてくれる家族と、貴女が大切です。大切にしたい。」
「はい!」
「必ず…変わってみせます。
……だから、…それまで……待っていて下さい…。」
「?はい。待ってますね。あ、でも、無理は駄目ですよ?
無理せず、ヴァレリア様のペースで変わっていけばいいんです。
辛くなったらまた話を聞きますから。」
「…膝枕も?」
「ぷ。ふふ、はい。膝枕をして頭を撫でますね?」
「…ありがとうございます。
…ねえ、サイカ…、」
「はい。」
したいです。とヴァレリア様からのお誘い。
ヴァレリア様は私の後頭部に長い片腕を回し、私の頭を自分の方へ引き寄せるとそのまま唇を重ねてきた。
「…ん…」
「ん。……サイカとセックスしたいです。いい…ですよね?」
「…はい。じゃあ…ベッドに連れていって下さい。」
「ええ、マイレディ。貴女の仰せのままに。」
ひゃあああ!と心の中で狂喜乱舞。
マイレディ!マイレディだと!?きゅんときた。すごくときめいた。
「…お、重くないですか?」
「いいえ。言ったでしょう?私は貧弱な体つきですが…男なんです。
サイカくらい抱き抱えるのはわけないんです。」
「ふふ…そうみたいですね。失礼しました。」
ヴァレリア様は男性にしては細いけれど、それでも力強い。
それは二日前の夜に嫌という程思い知った。
私を押さえ付けるヴァレリア様の力は本当に強くて、抗ってもびくともしない。
私の体にのし掛かるヴァレリア様の体も。体重だけであれば動かす事は出来ただろう。けれどヴァレリア様から与えられる快楽に身を捩ろうとする事も叶わず、私は抵抗すら許されなかった。
男と女の力の差をあれほど感じた事はない。
「…あの夜みたいに、自信を下さい。
私に、貴女を支配させて下さい…。貴女を組み敷いている男は私だと…自覚させて下さい…。」
「…そうすると自信がつく…?」
「…ええ…あの日もそうでした。私の下で貴女が快楽を享受していると思うと…支配欲が沸いて…。…少し…乱暴でしたけど…。」
「いいえ。乱暴なんて。あの日の夜、ヴァレリア様は私の体を傷付けたりしませんでしたよ?」
「…サイカの体を傷付けるなんて…そんな事、出来るはずないでしょう?
こんなに可愛い、愛らしい貴女を傷付けるなんて。」
どさりとベッドの上に下ろした私のドレスを、ヴァレリア様が素早く脱がせる。
「…ああ、本当に貴女は美しい…。」
「…ヴァレリア様…」
「寝ても覚めても貴女の姿がちらついて…。早く、…早く貴女と交わりたいと思っていたんです。」
私を見下ろすヴァレリア様は自分の着ているものを手早く脱いで、お腹に付くほど反り立ったものを私に触れさせた。
「…貴女とセックスすると考えるだけでほら…もう堪らない気持ちになる…。
早く貴女の中に入って、子種を植え付けたくなるんです。
愛しい雌を孕ませたいと、動物の…獣の本能ですね…。」
べろりと獣が舌なめずり。
私は再びヴァレリア様に翻弄されることになる。
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