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第一章 辺境の村の解体部へようこそ
0話 プロローグ
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「らっしゃーせー」
王都の冒険者ギルドは来客が多い
「邪魔をする」
紅のマントに磨き上げられた金属鎧を着こんだ壮年の男が速足で解体部に入ってくる
受付カウンターの若者は憧れのまなざしで挨拶をする
「ギルダーン様!ひさかたぶりですね。どこかへ行かれてたのですか?」
ギルダーンが腰に下げる装飾つきの長剣は騎士団長の証だ。
「うむ。ちょっと国境の視察にな。ところで奴はおらぬか?」
ギルダーンは解体部を見回す
「奴?ですか?」
「名前を何と言ったか・・・黒髪の若いのがいただろう。
刈り上げの。」
受付の若者はああと思い出してにっこり笑う。
「ギルダーン様、刈り上げではありませんよ?」
「「ツーブロックだ」」
声が重なると二人は顔を見合わせてフフっと笑う。
受付の若者が説明する
「わざわざご足労いただいて申し訳ないのですが、あいつは左遷されちゃいましたよ」
「左遷?なぜだ?どこに?」
「なんでも貴族のご息女の不興を買ったと聞いてます。どこに飛ばされたかはちょっとわかりませんが辺境オブ辺境だって話です。」
「そうか・・・わかった。ありがとう」
ギルダーンはギルドを後にする。
「あのアホめ。何度女で失敗すれば学ぶのか・・・」
眉根を寄せながらつぶやく
部下を引き連れ王城に戻り、指示を出す。
「ギルドを追い出された男の行き先を調べろ。
名前は確かリッパーだったはずだ。」
------
「おい、おい!起きろ刈り上げ!」
呼ばれた若い男は馬車の荷台で目を覚ます。
荷台には男のほかには野菜や衣類や樽が並んでいる。
商人の荷馬車だ。
「おやっさん、これは刈り上げじゃなくてツーブロックだって言ってるでしょ?王都の流行りよ?わかる?」
男はこめかみから下の髪を刈り上げ、それより上は長めに残している。
ツーブロックではあるが刈り上げ成分は高い。
「わかったわかった。村の入り口に着いたぞ。降りろ。」
小さな村の入り口だ。門の看板にはサテハイ村と書かれている。
「おやっさんありがとうな。
お礼にこれをやるよ。奥さんにプレゼントしてあげて」
男は馬車の主にナイフを渡す。
ナイフは刃渡り15cm程度、乳白色で柄には細かい彫り物が入っている。
「おいおいいいのかい?結構高そうだぞ?」
「いいから受け取ってくれよ。
奥さんに渡す時は『これを使うたびに俺の事思い出してくれよな』って必ず言うんだぞ?」
馬車の主は禿げ頭に手をあてて笑う
「ハッハッハそんな事言えるか恥ずかしい。
だがいい土産ができた。ありがとう刈り上げ。達者でな。」
馬車は村の奥へと向かっていった。
「刈り上げじゃねえって言ってるのになぁ。
さて、ここが新しい地元になるわけだ。
新しい職場にも挨拶に行かないとな。」
男は背負い袋と小さな樽を抱えて歩き出すと門の近くにいた恰幅のいい中年女性に声をかける。
「そこのお肌がピチピチなお姉さん、
この村の冒険者ギルドってどちらですか?」
王都の冒険者ギルドは来客が多い
「邪魔をする」
紅のマントに磨き上げられた金属鎧を着こんだ壮年の男が速足で解体部に入ってくる
受付カウンターの若者は憧れのまなざしで挨拶をする
「ギルダーン様!ひさかたぶりですね。どこかへ行かれてたのですか?」
ギルダーンが腰に下げる装飾つきの長剣は騎士団長の証だ。
「うむ。ちょっと国境の視察にな。ところで奴はおらぬか?」
ギルダーンは解体部を見回す
「奴?ですか?」
「名前を何と言ったか・・・黒髪の若いのがいただろう。
刈り上げの。」
受付の若者はああと思い出してにっこり笑う。
「ギルダーン様、刈り上げではありませんよ?」
「「ツーブロックだ」」
声が重なると二人は顔を見合わせてフフっと笑う。
受付の若者が説明する
「わざわざご足労いただいて申し訳ないのですが、あいつは左遷されちゃいましたよ」
「左遷?なぜだ?どこに?」
「なんでも貴族のご息女の不興を買ったと聞いてます。どこに飛ばされたかはちょっとわかりませんが辺境オブ辺境だって話です。」
「そうか・・・わかった。ありがとう」
ギルダーンはギルドを後にする。
「あのアホめ。何度女で失敗すれば学ぶのか・・・」
眉根を寄せながらつぶやく
部下を引き連れ王城に戻り、指示を出す。
「ギルドを追い出された男の行き先を調べろ。
名前は確かリッパーだったはずだ。」
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「おい、おい!起きろ刈り上げ!」
呼ばれた若い男は馬車の荷台で目を覚ます。
荷台には男のほかには野菜や衣類や樽が並んでいる。
商人の荷馬車だ。
「おやっさん、これは刈り上げじゃなくてツーブロックだって言ってるでしょ?王都の流行りよ?わかる?」
男はこめかみから下の髪を刈り上げ、それより上は長めに残している。
ツーブロックではあるが刈り上げ成分は高い。
「わかったわかった。村の入り口に着いたぞ。降りろ。」
小さな村の入り口だ。門の看板にはサテハイ村と書かれている。
「おやっさんありがとうな。
お礼にこれをやるよ。奥さんにプレゼントしてあげて」
男は馬車の主にナイフを渡す。
ナイフは刃渡り15cm程度、乳白色で柄には細かい彫り物が入っている。
「おいおいいいのかい?結構高そうだぞ?」
「いいから受け取ってくれよ。
奥さんに渡す時は『これを使うたびに俺の事思い出してくれよな』って必ず言うんだぞ?」
馬車の主は禿げ頭に手をあてて笑う
「ハッハッハそんな事言えるか恥ずかしい。
だがいい土産ができた。ありがとう刈り上げ。達者でな。」
馬車は村の奥へと向かっていった。
「刈り上げじゃねえって言ってるのになぁ。
さて、ここが新しい地元になるわけだ。
新しい職場にも挨拶に行かないとな。」
男は背負い袋と小さな樽を抱えて歩き出すと門の近くにいた恰幅のいい中年女性に声をかける。
「そこのお肌がピチピチなお姉さん、
この村の冒険者ギルドってどちらですか?」
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