異世界数学教師

牟矢宮鱈人

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異世界数学教師

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ある日、足元に魔方陣…もとい魔法陣が現れて、俺は異世界に跳ばされた。なんてこった。

どうやら元の世界には帰れないようだし、なんとかこっちで仕事を見つけないと。

実は俺、数学の教師だったんだよ。まあ『デモシカ教師』だけどな。

他に何かできるとも思えんし、どうせファンタジー世界なら四則演算できりゃ余裕っしょ!

よし数学教師になるぞ!!



そんなわけでレッツ学校見学。

おお、いるわいるわ。こんな俺でも子どもはかわいいって思うこともある。

窓の外から数学(というか算数だね)の授業を見る。

に教科書を持った先生が机間巡視しつつ発問する。

「じゃあ昨日の復習だぞ。1たす1は?」

「「「にー!!」」」

「じゃあ2たす4は?」

「「「ろくー!!!」」」

ははは元気いいな。

「じゃあ今度はちょっと難しいぞー。
じゃあヨネソン、7たす7は?」

この先生、『じゃあ』が口癖なんかね?はは。

「じゅういちっ!」

おいおい。

「おーよくできたなー!」

?!?!?!?

「じゃあ次は8たす9は?誰か答えてくれるか?」

「「「はーい!!」」」

みんな元気に手を上げている……あっ!

近くで右手を上げている子を見ると



指が6本ある!!


十二進法か?

いや、それでもおかしい。

「おお、じゃあミョニスキョ」

「じゅうしー!!」

「おお、いいぞー。よく勉強してきたなー!!」

「へへへ」

先生が大きな手でミョなんとか君の頭を撫でる……あっ!


指が7本ある!!


「じゅ、じゅうさんしんほう…」

orz



俺は教師をあきらめた。







デモシカ教師…教師を志望した当時、「教師デモやるか」「教師シカできない」という意欲が非常に高いわけではない状態だった先生のこと。
魔方陣…魔の方陣、つまり不思議な正方形の陣。魔法陣と違い、辞書に載っている、はず。
机間巡視…きかんじゅんし。先生が授業中に教室をうろうろすること。
十三進法…どうでもいいけど『十進法』は『じっしんほう』と読むのだけど、ついじゅっしんほうと言ってしまう。我々が十進法を使うのは、指の数が十本だから、という説がある。13本ならやっぱり十三進法になるのかな?
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